もみじ市 in 神代団地,出店者紹介,ジャンル:ILLUST&DESIGN

柴田ケイコ(出品のみ)

【柴田ケイコプロフィール】
今や「絵本作家」としても大活躍の高知県在住・柴田ケイコさん。2016年の絵本デビュー作『めがねこ』(手紙社)を皮切りに、『おいしそうなしろくま』『あま〜いしろくま』『おべんとうしろくま』『うみのごちそうしろくま』( PHP研究所)といった「しろくまシリーズ」は、なんと4作合計16万部を出版、数々の絵本賞も受賞する大ヒット作に! さらに『ぽめちゃん』(白泉社)ほか、今年2019年には4月に『めがねこのぼうけん』(手紙社)、6月『おにゃけ』(パイ インターナショナル/文 大塚 健太)、7月『にんじんかりかりかじったら』(金の星社/文 石津 ちひろ)など精力的に作品を発表、9月にはしろくまシリーズ第5弾『おやさいしろくま』(PHP研究所)が発売となりました。もちろんイラストレーターとしても幅広く活動中。広告・出版物のほか、手紙社をはじめ飲食店のパッケージや紙もの雑貨など多岐にわたり手がけられ、彼女の手により生み出された、一度見たらクセになるキャラクターたちは、私たちの笑いある生活に欠かせない存在として、今日も多くのファンを虜にしているのです。
https://momijiichi.com/2019/creators/kirinya
Instagram:@keikoshibataillust
facebook:https://www.facebook.com/keiko.shibata.5209

(2019/10/14追記)
【絵本『めがねこ』(手紙社)のLINEスタンプができました!】

2019年もみじ市の開催を記念して、今年のテーマでもある「YEARS」を受け、絵本作家・柴田ケイコが誕生した年を振り返り「めがねこ」のLINEスタンプを制作いたしました!

「OK」「おやすみ」などといったふだん使いの言葉から、「ひとりになりたい」「(老眼)」など、思わず使ってみたくなるめがねこ独特の表情のスタンプまで、たっぷり全40種。隠れ人気のサブキャラ、ねずみ3兄弟も登場しています。せわしない毎日も、愛嬌たっぷりのこの表情に、フッと肩の力が抜け癒されることでしょう!

【めがねこLINEスタンプダウンロードはこちら】
https://line.me/S/sticker/9358589
PCからご覧の方は、左のQRコードをスマホより読み込みください。


【柴田ケイコの年表・YEARS】

【柴田ケイコさんインタビュー】
ユーモアたっぷりのイラスト・絵本作品を続々と生み出している柴田ケイコさん。そのルーツはどこにあるのか、年表の行間より探ってみたいと思います!

---まず気になったのは10歳の時の「画家宣言」ですよね。小学生が「マンガ家になりたい!」ならわかるのですが、「画家になる!」と言ったことに驚きました。
柴田:父親がわりと絵が上手で、日常的に絵を描く環境にあったことも関係しているかもしれません。図工の授業で描いた絵が褒められたり、夏休みの宿題が賞をとったりと、“私、得意なのかも”と思わせてくれる出来事もあって、風景なんかを描くのが好きだったんです。

画家への憧れはその後も続き、高校生の時は絵の塾にも通っていたそう。そんな多感な学生時代に、最初の転機が訪れます。

【転機1】ケイコ、十七歳。『イラストレーションファイル』に出合い衝撃を受ける。

---本屋さんでデザイン本と『イラストレーションファイル』に出合ったとのことですが、高校生が見るような本ではないですよね。
柴田:高校3年で周りも進路などを考え始め、自分にできることはなんだろうと考えていた時、近所の書店・金高堂で、当時有名だった広告ディレクターの本と、『イラストレーションファイル』(玄光社)を初めて見て、“こんな仕事があるんだ!”と衝撃を受けたんです。

そしてイラストや広告に関わることを勉強しようと奈良の芸術短大へ進学。卒業後は高松での印刷会社→高知での印刷会社と、印刷業界を渡り歩いた柴田さん。担当していたのは、デザイナーが作った手書きのレイアウト用紙をデータにしていくDTPオペレーター業務でした。

---「DTPオペレーター」なんて、当時は最先端の仕事でしたよね。
柴田:ちょうど世の中にMacが浸透してきて、QuarkXpressというDTPソフトを使える人がまだ少ない時代で。MOやフロッピーディスクより前の、VHSテープの半分くらいの大きさのメディアをガチャンと差し込んでデータを保存していました。最初は覚えるのに精一杯で……。やりがいはありましたが、だんだん人がデザインしたものを整えるだけでは物足りなくなって“私は何をやっているんだろう?”と思い始めて……。そんな時にたまたまデザイン会社の求人を見つけたんです。

【転機2】ケイコ、二十五歳。デザイン会社に就職。イラストを描かせてもらう。

---晴れて地元高知のデザイン会社で働くことになったわけですが、のびのびと自身の感性でデザインに取り組まれていったのでしょうか?
柴田:そこなんです。いざデザインをさせてもらったら、文字組みは下手くそだし、修正箇所は間違えるし、私はデザイナーには向いていないってことに気づいたんです(笑)。デザイン事務所では、時々企業のパンフレットなどにカットイラストも描かせてもらっていたのですが、先輩にも“しばちゃんは、デザイナーよりイラストレーターの方が向いていると思う”と言われました。そんなある日、デザイナーの先輩とギャラリーを借りて二人展を開催し、自分で描いた絵が1枚売れたんです。それがとっても嬉しくて……。自分の絵で誰かが喜んでくれることがとても嬉しかったんです。

イラストで表現することの楽しさに開眼した柴田さんは、デザイン会社の解散を機に、ついにフリーのイラストレーターへとして歩み始めます。

【転機3】ケイコ、四十二歳。絵本作家への扉をたたく。

---柴田さんと手紙社とのつながりはいつ頃からなのでしょうか?
柴田:2008年に、手紙社代表の北島さんが以前編集長をされていた雑誌『自休自足』にイラストを掲載してもらったのがきっかけで、2010年に初めて「もみじ市」に声をかけてもらいました。それから今までずっと、もみじ市などのイベントに参加したり、お店で個展を開催してもらっています。

『自休自足』2008 夏号

柴田:そうやってイラストレーターとして仕事をしているうちに、子どもが生まれ、絵本を読み聞かせていく度に、それまでは雲の上の存在でしかなかった絵本を、自分で作ってみたいなと思うようになりました。小学校の読み聞かせボランティアにも参加したのですが、絵本を作るには何をどうすれば分からなかったので、数少ない東京の出版社の知り合いの方にご相談して。忘れもしない、2014年2月の星野源さんの復帰ライブの日に上京して、その方に武道館の近くまできてもらったんですよね。話を聞いてもらうのに、呼ぶなんてひどいですよね(笑)。

---(今回の年表作りで、それぞれの項目はなかなか年代を思い出せなかったのに、これだけははっきりと年月を覚えている柴田さん……)それ、もしかしてもしかするとですけど、高知から東京へ星野源さんのライブに行きたくて、ご家族への言い訳として絵本の企画を持ち込んだわけじゃ……ないですよね。
柴田:……いえいえいえ、決してそんなことは(動揺)。そこで出版社の方にはいろいろ為になるアドバイスをいただきました。翌日には手紙社さんとの打ち合わせがあったので、流れで絵本の話をしたら、思いがけず“それ手紙社で出してみませんか?”と言っていただいて。

---それは私たちもラッキーでした!
柴田:ずっと心の中にあった「めがね」を題材としたストーリーを軽くお話しし、そのほかのお話しを2つお送りしたところ、「めがねを題材とした絵本を作ろう!」ということになりました。

---最初から『めがねこ』(注:その後手紙社で出版した絵本タイトル)だったわけではなかったのですね。
柴田:この段階では、主人公は人間で、暗〜い話だったんですよね。でも手紙社さんに「柴田さんなら動物が主人公の方がいいんじゃないか」とアドバイスをいただいて、「めがね」と「ねこ」で「めがねこ」というキャラクターが生まれました。『めがねこ』の制作が決まったあとすぐに、手紙社さんのお店で私のグッズを見てくれたというPHP研究所さんからも「絵本をつくりませんか?」というメールをいただいて。残りの2案をお送りしたら「動物がたべものと絡む絵本の方で行きましょう」と。それがのちの『おいしそうなしろくま』になるわけです。

---すごい! 3案中2案が形になるなんて、柴田さんのアイデアのおもしろさはもちろん、星野源さんが引き寄せたと言っても過言ではないですね(笑)。

絵本デビュー作『めがねこ』2016と『めがねこのぼうけん』2019(手紙社)
その後5作続くシリーズとなる『おいしそうなしろくま』(PHP研究所)2017

今年はどんなyears?

---今年に入ってすでに4冊もの絵本が発売されましたが、この後も出版の予定はあるのでしょうか?
柴田:そうですね、いくつか進んでいる企画はあります。とにかく体に気をつけて、常に楽しいことを考えたいですね。所ジョージさんみたいな、常に“何しようかな〜”って楽しいことを考えているような生き方が理想なんです(笑)。

---そういえば8月の時点で、既に今年のもみじ市の顔ハメパネルも完成していましたよね?
柴田:まだやらなきゃいけないことはたくさんあるのに……つい楽しくって作っちゃいました。以前もイベント用に大きなティーカップを作ったら、大きすぎて宅配便で送れなくて車で持って行くことになったり、トンネルを外で作ったときは、大きすぎて家に入らず外でブルーシートをかけて保管したり……。

今年のもみじ市で登場する「顔ハメパネル」

---「今、作りたい!」という衝動が抑えられないんですね(笑)。
柴田:去年のもみじ市では、ウマとシロクマの被り物を作ったのですが、当日私は絵本に似顔絵サインをさせていただいている時間が長いので、なかなか皆さんが楽しんでいる姿を見れないんです。でも終わった後に、インスタなどに載せてくれているのを見るのが嬉しくて。

「海のカフェフェス」にて 2013

---今年の顔ハメも楽しみにしていますね!
柴田:はい! ぜひ皆さんに記念として顔ハメを楽しんでほしいです。それと今回はテーマがYEARSなので、懐かしい「だるまさんの一輪挿し」をもみじ市2019限定品としてご用意します。また今回年表を作るにあたり、いろいろと振り返ってみたのですが、おそらく私のルーツになっているのは、楽しくて激動だったあの昭和の思い出番組。時にはしようもない内容、だけど懸命に笑いを番組にしていた昭和時代。家族揃って茶の間で見ていたあの頃。今思えばかけがえのない時代でした。私が感じたその記憶を、猫とコラボして描いた絵を新作ポストカードとして販売します。

ほかには高知のパン屋「chimney」さんから限定品の焼き菓子やパン、コラボ作品として mado cafeさん用に描いた包装紙も。当日絵本を購入くださった方には似顔絵サインもお書きしますので、楽しみにお越しください!!


《インタビューを終えて》
高校時代に『イラストレーションファイル』に出合った高知の書店「金高堂」で、今は自身の絵本の原画展を開催している柴田ケイコさん。聞けば今現在も、驚くほどの数の絵本の企画を抱えているそうですが、切羽詰まった感はなく、いつも笑顔で楽しそうなのは、やらなきゃいけないことはあっても顔ハメパネルを作らずにはいられない、その「常に楽しいことを考える」姿勢なのだなと感じました。生み出すキャラクターの、いたずらっこのような愛嬌たっぷりの表情は、まさに柴田さん本人なのだな!と。つい先日も描かれていた武富士CM風の猫……最高でした。柴田さんの頭の中では、いつもこんなことを考えているのでしょうね。

(手紙社 城田波穂)