【喫茶tayu-tauプロフィール】
昨年、三重県の津から一駅、一身田駅のそばに移転しリニューアルオープン。長屋を自分たちで改装した店内は、オーナー・飯島さんの愛する、国内やフランスのアンティークの品々によって、隅々まで歩き回りたくなるような空間になっています。ピアノをはじめとした楽器やレコードなど音楽にまつわるものもたくさん。季節感を大事にしたメニューも素晴らしい。特に季節のフルーツを使ったデザートは優しい甘さで絶品。山の湧水で淹れたコーヒーと合わせれば至福の時間が待っています。
http://tayu-tau.jp/
【商品カタログ予習帳】
まん丸いメンチカツをメインにしたメンチカツプレート
メンチカツプレートを彩るROUND型野菜の盛り合わせ
自家製ジンジャーエール
【スペシャルインタビュー「5人家族でもみじ市に臨みます」】
三重県津市の「喫茶tayu-tau」を夫婦で切り盛りする飯島慎さん・寿代さんに、コーヒーをいただきながら話をうかがいました。
移転リニューアルオープンへの道のり
ーーー移転リニューアルして1年経ちましたね。
慎:去年のもみじ市がまさに移転オープンから1週間後だったんです。新しいスタッフも入ったばかりで、とにかく色々やらないといけないことが山積みで、よく出店できたなと思います。本当は8月までにはオープンさせて、余裕をもって迎えるはずだったんですけど、そううまくはいきませんでした。
ーーー広いですけど、隙がないというか、どこを切り取っても画になるお店です。新天地はこの場所ってすぐに決まったんですか?
慎:移転前の3倍以上の広さで、まだ手をつけられていない部分もあるんですよ。とにかくこの1年はお店を整える1年でした。この場所にはすぐ決まったといえば決まったのですが。
寿代:前のお店の契約期間が決まっていたので、2012年にtayu-tauをはじめた頃から次の場所を探していたんです。私の知らないところでも彼(慎さん)、1人で物件探ししてたんですよね。それで、今の場所が空くという情報を仕入れて、1人で1か月くらい悩んでいたようです(笑)
慎:前のお店を探してた時にも一度2人でここ見てるんですよ。駅も近いし、新しく始めるには最高の場所。それで、(寿代さんに)相談したら即決で。
寿代:どっちかというと彼がじっくり考えるタイプで、私がすぐ決めちゃうタイプ(笑)。話したらすぐに決めてしまうと思ってたんでしょうね。
ーーー本当に良い場所と建物です。そもそもカフェをはじめるに至ったのは……?
寿代:以前の職場であるレコード店で出会いました。三重出身の私が鈴鹿店、茨城出身の彼が東京の本社。岐阜に新店舗を作るっていう時にそれぞれ招集されて、そこからです。どんどんCDが売れなくなる中で、何か幸せになるようなことを2人でできたらいいね、ってなって。
慎:2人で笑って生活するためにお店をやろうか、と。彼女は製菓出身でしたけど、僕はまさかカフェやるなんて考えてなかったから、そこから調理師免許取って修業がはじまります。当時読んでいた「自休自足」、(もみじ市をつくり、現在手紙社代表でもある)北島さんが作っていた雑誌ですよね、そこに出ていたcafe la famileがスタッフ募集していて、僕の地元茨城のカフェということもあって、門を叩いたんです。
寿代:募集人員がパン作りできる1名だけだったので、実際にfamileで働いたのは私だけなんですが、彼もオーナー・奥澤さんに紹介してもらった洋食店で修業できることになって。
慎:2年半近く、2人にとってこれ以上ない転機でしたね。感性も変わってしまいました。
自分たちの店から新しいコミュニティをつくりたい
ーーー感性まで! 場所柄色々なつながりもありそうですね。
慎:つくれるものは自分たちでつくろうっていう意識が芽生えたり、アンティークとか古いものが好きになったり。あとは何と言っても北関東の良いお店を知ることができたのが大きいです。
ーーー北関東、アンリロさん、日光珈琲さん、maruyoshiさん、mikumariさん、仁平古家具店さんなどもみじ市にも出ていますね。
慎:famileもそうですけど、みなさん店の周辺に素敵なコミュニティ作ってるじゃないですか? いくつかの良いお店が集まって。この新しいtayu-tauの周辺もそういう風にできればな、と思っています。
ーーー寿代さんの地元三重で独立したわけですが。
寿代:将来の子育てのことなんかを考えると、どちらかの地元が良いと思ってまして、でも茨城でやっても北関東の先達のみなさんがいるので、どうせなら離れたところでお店をやろうと。
ーーーそこから東海エリアでのつながりも広がってきたんですか?
慎:もちろん三重周辺のつながりは広がっていますが、famile時代とか、その前からの縁もけっこうありますね。mado cafeさんは、famileに遊びにきてくれた時に知り合って、独立してからもイベントに呼んでくれたり、店を始める前にお店でパンを販売させてくれたり。今でも親交が続いています。
寿代 ブローチが人気の小菅幸子さんは、レコード店時代に職場が一緒でした。私たちが独立する記念にfamileの一角でお店をやらせてもらったことがあって、そのとき作家になる前の小菅さんが手伝ってくれたりしてたんですよ。
ーーー世間は狭い? というか良いつくり手のまわりには良いつくり手が集まるんですね。
慎:三重も良いつくり手が多いですよ。もみじ市関連では木彫のはしもとみおさんも、パンのきりん屋さん、赤畠大徳さん。まっちんさんも岐阜のイメージ強いですが三重の方ですしね。今回のもみじ市では、近くの作家さんと一緒にブースを作ろうかな、なんて考えているんです。
もみじ市、今年はいままでのtayu-tauとは違います
ーーーそれは楽しみです! もみじ市にも色々なエピソードがおありとか。
慎:大変だった思い出が多いですが(笑)
寿代:実はfamile時代にも出店したことがありましたし、お客さんとしても行っていました。「ああいう風に楽しく出店できたらな」とお客さん目線では思っていたんですけど、いざ出店となると全然違うものですね。
慎:最初の出店の時は大雨で急遽京王閣での出店になって。火が使えなくなってしまったので用意していたメンチカツが揚げられなくて。
寿代:もう半泣き状態で、心が折れてしまってたんです。当時、布博にも出ている「nuit」の牧野さんがお手伝いしてくれていたんですけど、彼女だけは前向きで、他の出店者さん同様楽しんでブースに立っていてくれて、救われました。未熟だったと反省しましたね。こんなんじゃだめだ、もっと柔軟に楽しまなきゃ、と切り替えました。
ーーー今回もテーマ「ROUND」に合わせてまん丸のメンチカツを用意してくれていますね。
慎:今度こそメンチカツの苦い思い出を払拭します。
ーーー以前と今で大きく変わっていることはありますか?
慎:去年と今年でも大きく違います。最初もみじ市に出てた頃は、お店も2人だけでやっていました。去年移転して、スタッフ5人になったんです。去年は5人体制になりたてのもみじ市、しかもリニューアルオープン1週間後だったのでてんやわんやでしたけど、今年は5人の信頼関係も育って良いチームワークで臨めると思うんです。
寿代:2人でやっていた頃は、店休日もずっと仕事の延長のようで、休みなく進んでいた感じでしたけど、今は完全に休みの日を作ることができているので、インプットも増えますし良い流れができています。
慎:あまり人と接するのが得意な方じゃないんですが、スタッフを入れることで、人を雇うことの楽しさというか「人を信じてみるもんだな。こんなに力になってくれるなんて」という思いが強くなりました。信頼というか、もう5人家族のような気持ちです。最近では店のことよりも、スタッフのことを考える時間が多いです。もみじ市のブースを誰かと一緒に作ってみたいと思ったのも、スタッフの子たちとの関係があったからですね。
寿代:今回もtico moonさんのライブイベントを終えて次の週がもみじ市なんですけど、成長して頼りになるスタッフたちと一緒に臨めるので、去年とは全然違う楽しみがあります。
ーーー飯島慎さん、寿代さん、どうもありがとうございました。最高のチームワークでつくるtayu-tauブース、楽しみにしています!
〜取材を終えて〜
新生tayu-tauの、スタッフを大事に思い、スタッフはそれに応えるという関係が感動的でした。そして、偉大な先輩cafe la famileの背中を追って素晴らしいカフェを作り上げてきているところもドラマチックでした。周辺を巻き込んで、また人を呼び込んで新しいコミュニティをつくるというのはこれからかもしれませんが、お店の中で熱い絆を育んでいる飯島さんならば、その先はきっとうまくいくと思いました。とても居心地の良いお店、また行きたくなっています。(手紙社 小池伊欧里)
【もみじ市当日の、喫茶tayu-tauさんのブースイメージはこちら!】
三重の仲間たちとつくる特別なブースをお楽しみに!