【カフェ手紙舎プロフィール】
調布市のレトロな団地の一角から始まったカフェ手紙舎。ボリュームたっぷりのご飯、新しい季節が待ち遠しくなるような旬の果物を使ったデザート、個展に合わせた特別メニュー、どのお料理も全ていちから手作りしています。食べてくれた方が、思わず笑みをこぼしてくれるような、そんな瞬間を提供できるよう、心もお腹もいっぱいになる一品をご提供します。
杉見朝香
【杉見朝香プロフィール】
たくさんの絵本と紙芝居を鞄に詰め込んで颯爽と河川敷に現れる、ものがたりの魅力の伝道師・杉見朝香さん。ありったけのわくわくやはらはら、どきどきで子どもたちの瞳を輝かせつつも、誰よりもそのストーリーを楽しんでいるのは、他ならぬ彼女自身なのだろう。「読み聞かせではなく、読み語りでありたい」と願う彼女の眼差しは、いつだって“教える”ではなく“学ぶ”歓びに満ちているからだ。そして身分やステータス、経験さえも脱ぎ捨てた、上も下もないフラットな地平にこそ豊かな生の意味があることを、この語り部の声は知っている。
古書モダン・クラシック
【古書モダン・クラシック】
オンラインの古書店「古書モダン・クラシック」。店主の古賀大郎さんが男性向け、妻の加代さんが女性向けの本をセレクトしています。古書だけに捉われず、古い紙ものやマッチ箱など使われていた当時を感じさせるものを取り揃えています。SNSが一般的になり、だれでも気軽に情報を得られる時代に、すぐに手に取れる新本ではなく一期一会の出会いがある古書の魅力を人々に伝えています。手紙舎の店舗にある古書も、すべてモダン・クラシックさんによるセレクト。手紙社西調布基地・EDiTORSで開催している古本イベント「3days Bookstore」の立役者でもあり、「コアな古本好き」にも「素朴な古本好き」にも楽しんでもらえる場を作っています。
http://www.mc-books.jp
【月刊 モダン・クラシック 7月号】
特集「人生を変えた本」
オンラインの古書店「モダン・クラシック」を営む店主の古賀大郎さんと加代さん。常に本に囲まれた生活をしている、根っからの本好きであるお二人。その二人がお勧めする本とはどんなものなのか、みなさん気になりませんか? そこで今回は「人生を変えた本」というテーマで、大郎さん加代さんの思う一冊をお互いに紹介してもらいました。はたして、人生に影響を与えた本にはどんなエピソードが隠されているのでしょうか。
大郎:小学生くらいまでは何でも出来て、怖いものなんてないと思っていた。所謂やんちゃな少年だったけど、中学生にあがるとそれが激変したんだよね。急に周りのことが気になりはじめて、大人の言うことや将来のこと、人の考えとかが途端にわからなくなった。今思い返せば「思春期」という言葉で片付けられる時期だったけど、常に不安な気持ちでいっぱいで、映画とか音楽とか色々なものに手を出して助けを求めてたね。そんな時出会ったのが本だったんだ。周りの言うことが嘘に聞こえてきて仕方なかった時に、本には真実が書かれている、そう実感した。心情、思考、出来事、そこにはありのままのことが書かれていて、何に悩んでいるかわからなかった自分にスッと手を差し伸べてくれた存在のように思えた。頭がおかしくなるんじゃないか、そこまで深刻に思っていた思春期に、まさに求めていた答えが本にはあった。
このリルケの書いた「ドゥイノの悲歌」に出会ったのも悩みが多い時期だった。はじめは何を書いているかわからなかったけど、何度も読み返しては気になる言葉を調べ、そしてまた理解を深めていきどんどん世界を掘り下げていった。強さ、美しさ、儚さ、そういったものが文字という枠組みを超えて感じられた一冊。この本があったからこそ、自分というものを肯定でき、さらに本の世界へと推し進めてくれた。まさに人生を変えた一冊だね。
加代:17年同じ会社に勤め事務の仕事をしていましたが、本当にやりたい仕事かと言われるとそうではなかったんです。何がやりたいとかは無くて、でもそんな中、唯一本を読むことは好きで、本を買いに書店にはよく通っていました。あるとき、手に取った本に感動したんです。それがこの「暮しの手帖」。あの朝ドラのモチーフにもなった大橋鎮子さんが編集を勤め、花森安治さんが装丁を手掛けた初期のものが特に好きだったんです。何といってもその装丁に一目惚れしてジャケ買いをし、中を読み進めていき更に感動しました。
この写真に写る61号の最初の特集は“入院しているひとを見舞うときに”というものなんですけど、お見舞いに行くときに喜ばれる道具やお土産を、貰う人の視点になってしっかり考えられたラインナップで紹介されているんです。ユニークな内容でしょう。単なる商品紹介じゃなくて、人を労わる気持ちとか優しさが丁寧な文章で書かれていて、当時こんな雑誌は他には無いって思いました。
雑誌から熱意というものを感じ取ってからは、さらに本に没頭するようになって、30代半ばあたりからオンラインの古書店というものが流行りはじめてからは、これだ! って思ったんですね。気づいたときには自分もその道でやっていきたいと思うようになって、長年勤めていた会社に辞表を出してました。本を仕事にしていこうと思えたきっかけ、それが暮らしの手帖です。
いかがでしたでしょうか。二人の人生観そのものを変えてしまう出会いが、この本たちには隠されていました。それまで自分の中で燻っていたものがなんだったのか、本が教えてくれたのですね。さて次はどんな本を紹介してくださるのか、乞うご期待!
(編集・上野樹)
【古書モダン・クラシック 10月号】
特集「これまでの古書モダン・クラシック、これからの古書モダン・クラシック」
前回まで店主の古賀大郎さん、加代さんの思い入れの深い本を特集してきました。次に紹介する本の取材に伺った私は、到着するなり突然大郎さんから「これまでの古書モダン・クラシックは、今回のもみじ市で最後になると思う」という衝撃的な発言を聞かされました。「最後とはどういう……」と呆気に取られる私に、大郎さんはその真意を伝えてくれました。予定していたテーマを大きく変更し、その言葉に隠された意味を追っていきます。
まず、この話をするために古書モダン・クラシックと手紙社の関係をお伝えしようと思います。元々もみじ市の前身となる「花市」というイベントに参加してくださったのが、私たちと古書モダン・クラシックとのはじまりでした。それからは手紙社のイベントに参加してくれたり、各店舗の古書をセレクトしてくれたりと、古書にまつわるものは古賀さんの力がなければ成立しないものばかりでした。
また、今年の春には西調布・EDiTORSで古書店だけを集めたイベント「3days Bookstore」を開催し、厳選された本と店主の個性的なテーマで、魅力的な空間をつくってくださいました。もみじ市や東京蚤の市を飛び出し、古書だけを扱うイベントとしてははじめての試み。そこで感じた古本好きの人々の生の声を聞くことで多くのことを感じたそうです。また、ひとつの店舗ではできないいくつものお店が集まることで生み出される化学変化というのも、新しい発見だったと言います。取り扱うアイテムも古書だけでなく、戦前のポストカードやマッチ箱、版画で刷られた蔵書票など古い紙ものも新たに取り入れました。
古書モダン・クラシックは今年で設立12年になります。長年古書だけを扱ってきて、ここへ来てがらりと古書店としての方向性が変わったそうです。3days Bookstoreというイベント、もしかしたらもっと前からかもしれません。目に見えない変化の要因が大郎さんの中に溜まっていき、ドカン、といきなり何かが弾けたそうです。
蛹から蝶になるように、今まさに古書モダン・クラシックは孵化しようとしている真っ只中にいるのです。これまで選んできた大郎さんの男性向け古書、加代さんの女性向け古書の集大成を、このもみじ市で見せたいと思っているそうです。「その変化の現場がこのもみじ市であったこと。よりたくさんの方に見てもらえることを嬉しく思います」と大郎さんは仰います。
これからは古書も扱いながら、ひとつのジャンルにとらわれることなく、古いものをメインとした様々なチャレンジをしていくそうです。その“新”古書モダン・クラシックは秋の東京蚤の市で少しだけお披露目できれば……と予定しているそうです。といってもこのもみじ市も見逃せません。大郎さんと加代さんの12年分の審美眼が光る古書を、ぜひこの機会に手に取ってみてくださいね。
成城・城田工房
【成城・城田工房プロフィール】
もみじ市当日、初秋の河川敷に咲き乱れる花と見紛うばかりにそこかしこにあふれる渦巻き状のソーセージ、その名も“うずまきちゃん”。狛江が誇る自家製パストラミの名店「成城・城田工房」が確かな技術と最高の素材でていねいに創り上げたそれは、見た目の華やかさとは裏腹に、じつに寡黙で誠実で、だからこそギミックなしにおいしくて。「おいしいは正義」とは誰が嘯いたか、だがこの圧倒的なまでのおいしさへの勤勉さの前に、どこか真を射抜いているようにすら思える。そしてそれは決してどこにでもあるおいしさ、ではない。あたりまえに咲く花などないように。
http://seijohamu.com
小菅幸子
【小菅幸子プロフィール】
陶器ブローチの代名詞とも言える陶芸家。地元である三重県津市を活動拠点に、全国各地で個展&イベントに出店しています。「おばあちゃんになるまでお気に入りで使えるようなモノ」を根底にブローチ、器、ボタン、フェーブ(幸せを運んできてくれると言われる陶器製の小さな置物)などを製作。時代を刻んだような、愛らしくも美しい佇まいのブローチは、眺めているだけでドキドキときめくものばかり。もみじ市では、始発電車が動き出す時間から1、2、3人……と人が集まり始め、開場前にはうんと長い列をなすほどに。この光景をご本人はどう思われているのかというと「今回は誰も……」と、とっても控えめなのです。
http://kosugesachiko.com/
大森木綿子
【大森木綿子プロフィール】
紙もの雑貨の制作や書籍の挿絵などを手がけるイラストレーター。絵の具に色鉛筆、クレヨンなど、様々な画材を用い、淡い色彩で心に浮かんだことや身のまわりのものを描いています。みずみずしい光と色に満ちた大森さんのイラストは、記憶の中に埋もれていた心象風景をそっと甦らせてくれる力を持っています。『よだかの星』をモチーフにしたイラストを見たとき、物語を読み終えたときのやりきれない想いが、なんだか少し救われたような気持ちになりました。
http://omoriyuko.com/
岡崎直哉
【岡崎直哉プロフィール】
グラフィックデザイナー、写真家。CDジャケットや映画のポスターなどのデザインを手がけるほか、全国各地で写真を撮影し作品を制作する。作品づくりに欠かせない、プリントや断裁、小箱の制作まですべての工程を自らの手で行っている。移り変わる季節、過ぎ去る時間の中で、変わらない美しさ、そして変わる美しさを鮮明に映し出した岡崎さんの写真に心を奪われた人は数知れない。
http://www.color-travel-guide.com/
たに農園
【たに農園プロフィール】
千葉県佐倉市からすぐ近くの大佐倉で、ご夫婦で農園を営むたに農園。山羊は雑草取り係、鶏はおいしい卵部隊、猫は自由気ままなムードメーカーとして、自然そのままの環境で元気な野菜を育てています。その季節に一番美味しく育つものを一生懸命に育てる谷さん。週末にはキッチンカーに乗って、穫れたての野菜を使ったフードも振舞っています。新しくはじめた自家製ビールづくりも今年で2年目。はたしてどんな絶品野菜料理が出てくるのか、楽しみにしていてくださいね。
http://taninoen.com
coupé
【coupéプロフィール】
“10年後も履きたい靴”をテーマに、中丸貴幸さん・美砂さん夫婦がお互いの得意分野を活かしながら製作をしているcoupé。東小金井にあるお店「atelier tempo」には、様々な色・デザイン・製法の靴がずらりと並び、訪れた人を圧倒させます。トレードマークは、コッペパンのようにまるっとしたカーブを描いたつま先。革靴だからといって構えることなく、普段着にもすっと馴染む親しみやすさも、どんな具材ともよく合うコッペパンのよう。履いてお出かけするたびに、少しずつ変化していく風合いを楽しみながら、coupéの靴とともにこれからの人生を歩んでみませんか?
http://coupe-shoes.com/
かいじゅう屋(14日)
【かいじゅう屋プロフィール】
橋本宣之さん・橋本美香さんの夫婦2人が営むパン屋。昨年3月、10年愛された目白のお店を閉め、現在の場所、立川に移転・新規オープンする。店頭には天然酵母のパンや焼き菓子が並ぶ。水曜日には、同敷地内の鈴木農園のカラフル野菜を使ったサンドイッチが並ぶ。決して便利とは言えない立地でも、「かいじゅう屋のパンを」と足繁く通うお客さんの姿は絶えません。焼き立てのパンを口にすると、橋本さんご夫婦のパンへの熱意と誠意が伝わってくるかのように、お腹も心もじんわり温まります。
https://www.instagram.com/kaijyuya/?hl=ja