mikumari「色とりどりミクマリサラダ、カラフル果実酒」

顔を見た瞬間、お互い「あ! あの時の!」とピンときた。

彼との出会いは今から2年前の「カフェ & ミュージックフェスティバル」の打ち上げ。ひときわ盛り上がっている輪の中心にいたのがmikumariの高橋尚邦さんだった。ウイットに富んだダジャレを自信満々で言っていたのをよく覚えている(笑)。なぜだかツボにはまって、とても楽しかった。その時は「栃木県でカフェをやっています!」ぐらいのご挨拶だったので、mikumariの方だとは知らなかった。また、会えたらいいな、と思っていた。

あれから2年。栃木県にも野菜にも縁があったので、mikumariさんの担当に手を挙げさせていただいた。そう、あの時の人がmikumariの高橋さんだとは知らずに。ブログ用の取材をするにあたって色々と調べていくと、高橋さんのブログにたどり着いた。とっても詩的で、繊細で、でも男らしく、メッセージ性の強い文章。高橋さんは照れるかもしれないが、一説をご紹介させていただきたい。

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「想いを、込める」

いつもお店に来てくれる人達は、何を思って来てくれているのだろう。
人によって、思いや考えは様々だから、どんなに考えたって、きっと解らない。
だから今日も悩み続ける訳だけど、1つだけ解っている事がある。
「想いを込める」ことだ。
それをする事で、答えが解るわけではないけれど、今できる事はそれしかない。
いや、多分この先もそれしかないと思う。
だから今日も、想いを、込める。
ただ、それだけだ。 

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どんな人なんだろう。きっと思慮深く、もの静かで繊細な方なんだろう、と想像していた。で、冒頭の再会。偶然の担当と、再会の喜びと、ブログとのギャップで驚いた。あのブログの筆者が、あの時ダジャレを連発していた愉快な方だったなんて! でも、一瞬で場の空気はあたたかくなった。ご縁があったんだなと嬉しくなった。

mikumariは栃木県の芳賀町にある人気のカフェである。その料理と空気、そして高橋さんに魅せられて、県外からもお客さんが集まる。今年でオープンして7年になるという。元々は自宅として利用していた建物を高橋さん自らが改装し、お店に仕上げた。だからなのかお店のために作られた、作為的な感じがしない。とはいえ、生活臭とは違う、自然な佇まい。

「カフェとレストランの違いって何だと思いますか? 僕はね、レストランはお料理を食べさせる場所。カフェはライフスタイルを提案する場所だと思うんです」

その言葉の通り、お店には書斎もある。2階のロフトにはベッドも置いてある。所々に旅のエッセンスを感じる。恐らくここの住人は旅好きなのだろうと想像させられる。こんな暮らしができたらいいな。高橋さんの罠にまんまとはまった。

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高橋さんはお店をされる前はカフェ、ギャラリー、ショップを展開する益子にある人気店「starnet」で料理長を務めていた経歴を持つ。お子さんが生まれて自宅にいる必要ができて、自分でお店を開店することになったのだとか。mikumariといえば野菜、と言われるほどになったそもそものきっかけは、ある農家さんとの出会いだという。益子で30年以上農薬を使わず、有機肥料を使った栽培をしている山崎さんだ。

「山崎さんのところへ行った時に、玉ねぎを囲炉裏の火に突っ込んで焼いて、オリーブオイルと塩を掛けて食べさせてくれたんです。その味に衝撃を受けました。畑も見せてもらったんですけど、お花畑みたいでした」

mikumariの看板メニューであるプレートは、肉料理などの一般的にメインと呼ばれる料理の横に、野菜がもりっと盛られていて、まるで畑を再現したような一皿だ。その季節に、栃木で採れる新鮮な野菜を本当にたっぷりと使っている。明らかにこのお皿では野菜がメインだ。野菜は地元栃木県の安全に栽培をしている農家さんたちから仕入れている。

いい素材はそのまま食べるのが一番いい。こんな話をよく耳にする。確かに一理ある。でも、高橋さんの料理を食べて、ちょっと違うなと思った。過度に手を加えることはないけれど、適切にすることで確実に味はよくなる。サラダは特にシンプルなものだけれども、ひとつひとつの野菜にきっちりと仕事がされていた。大地の香りを感じるようなフレッシュなリーフ、じっくりローストされた玉ねぎにトマト、チーズとブラックペッパーが添えられた根菜。私はじっくりローストされたトマトの濃厚で甘酸っぱい味が忘れられない。ああ、この人は野菜を美味しく食べてもらおうとしているな、野菜の味を、良さを最大限に引き出しているなと思った。高橋さんの想いが込められた、いいお皿だった。

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もみじ市にも高橋さんは栃木の野菜をいっぱい積んでやってくる。栃木の野菜は、この農家さんの作る野菜はこんなに美味しいんだよって、伝えるために。看板メニューのミクマリサラダ、そしてシチューや栃木県のお酒と果実を使った果実酒などを用意してくれているそうだ。あの河川敷で食べるミクマリサラダは格別なんだろうな。19日(土)のみの出店ということが残念でならない。でも、それも高橋さんの「想いを、込める」ということだろうから、納得してしまうのだ。

【mikumari高橋さんに聞きました】
Q1 もみじ市に来てくれるお客様に向けて自己紹介をお願いします。
栃木県芳賀町で地元の野菜をふんだんに使った料理を、目の前に広がる田園風景、裏の山からは鳥たちのさえずりが聞こえる中、季節とともに味わえるカフェを営んでいます。

Q2 今回のテーマは「カラフル」ですが、あなたは何色ですか?
mikumariは水を分け与える場所というのを意味していますので、水色です。

Q3 今回はどんな作品をご用意してくれていますか? また「カラフル」というテーマに合わせた作品、演出などがあれば教えてください。
ミクマリサラダを持って行こうかなと思っています。野菜がとてもカラフルです。カラフルな帽子を被っていこうかなと思っています!

Q4 ご来場くださる皆さんにメッセージをお願いします!

さて、続いてご紹介するのは、料理家とイラストレーターの仲良し二人組。どんな美味しい組み合わせをご用意してくれるのでしょうか。

文●竹内省二