「よい週末を!」
自転車で街に現れたケーキ屋さんは、そう言って人々をうれしい笑顔に変えていく。“オーガニックでジャンキー”、そんなケーキを作るのは、鎌倉を拠点に自転車でケーキの移動販売を行う「POMPON CAKES」の立道嶺央さんだ。
POMPON CAKESさんを初めて知った時、私は無性にこのケーキ屋さんに逢いに行きたくなった。それは美味しそうな“ケーキ”のせいなのか、私の地元にほど近い“鎌倉”を拠点にしているせいなのか、“自転車”で移動販売をしているせいなのか、はたまた何かで見かけた立道さんの“笑顔”のせいなのか。とにかく、無性に逢いに行きたくなった。
初めて会った立道さんは、まるで以前からよく知る近所のお兄さんのような人だった。「こんにちは」「久しぶり」と、顔なじみのお客さんも多く、多い時で12種類ほど用意するというケーキは、次から次へとお客さんの笑顔と共に消えていく。「たくさんのお客さんとお話をできるのが、商いをやっていて一番うれしいこと」と、箱にケーキを詰めている時も、お客さんとの会話に花が咲く。そして別れ際には「よい週末を!」と必ず声をかけてくれる。
家に帰ってケーキの包みを開けると、楽しかった一日の想い出と、立道さんが最後にかけてくれた言葉とが、ふわぁっと包みの中からあふれるようで、私をまた嬉しい気持ちにしてくれた。そして、その時食べたケーキの味は初めて食べた味なのに、どこか懐かしいような、じんわり暖かい気持ちになる味がした。
POMPON CAKESさんのケーキは、アメリカンケーキがベースになっている。アメリカンケーキとは、パティシエが作る西洋菓子のそれとは違い、お母さんがおばあちゃんから受け継ぐ家庭の味のケーキ。POMPON CAKESさんのケーキは、お菓子研究家である立道さんのお母様のレシピを元に作られる、まさにホームメイドなアメリカンケーキだ。定番のチーズケーキ、キャロットケーキ、サバラン、ガトーショコラの他に、季節のフルーツを使ったレシピがなんと100種類以上もあるのだとか!
さらに、“毎日ぱくぱく食べられるケーキ”を広めたい、と言う立道さんのケーキは、無添加、国産、オーガニックの材料を使い、ひとつひとつ手作りで作られている。無添加だとパティシエが作るような見た目が繊細なケーキにするのは難しい。国産の素材だと原価はどうしても高くなる。さらにオーガニックとなると素材を探すのも一苦労だ。だけど「妥協しないでやっているうちにだんだん自分も楽しくなってきた。生産者さんのところに行って、直接買って作ることがとても楽しいことだと気づいた」と話してくれた。だから、同じ想いを持つ仲間と一緒に日本全国の色々な生産者さん訪ねてお菓子に使える素材を探す「素材探しの旅」はとってもとっても楽しくて、まだまだ行きたい場所がたくさんあるのだとか。
話が進み、もみじ市が開催される秋の話題になると、立道さんは本当に嬉しそうな顔をした。
「秋は、ものすごくおいしいものがたくさん。10月のことを考えるとワクワクしちゃうくらい。リンゴも出てくるし、栗も出てくるし、違った意味でのカラフルな部分、抜けた色ではないけれど、ちょっと落ち着いた色かもしれないけれど、味の豊かさのカラフルを持っていきますからね!!」
たくさんのレシピの中から、もみじ市にはどんなカラフルなケーキを持ってきてくれるのだろう。みなさんも多摩川の河川敷で、手づかみでぱくぱくケーキを食べてませんか? POMPON CAKESさん、もみじ市初出店です!!
それでは、みなさん「よい週末を!」
【POMPON CAKES 立道嶺央さんに聞きました】
Q1 もみじ市に来てくれるお客様に向けて自己紹介をお願いします。
“鎌倉の街のどこかに突如あらわれる移動cake shop。無添加なアメリカンケーキを中心に販売しています。「オーガニックでジャンキー」を掲げて老若男女、毎日ぱくぱく食べられるケーキを作っています。
Q2 今回のテーマは「カラフル」ですが、あなたは何色ですか?
緑。インスピレーションを森や木から受けることが多いです。
Q3 今回はどんな作品をご用意してくれていますか? また「カラフル」というテーマに合わせた作品、演出などがあれば教えてください。
一生懸命、心をこめてケーキを作りますので、召し上がって頂けたらすごくうれしいです。秋はとても美味しい果物がたくさんあるので、美味しいケーキがたくさん作れると思います。たくさんの方とお話できるのが、この商いをやっていて一番うれしいことです。皆様にお会いできるのを本当に楽しみにしております!
Q4 ご来場くださる皆さんにメッセージをお願いします!
さて、続いては郷土玩具好きなあのイラストレーターさんの登場ですよ。
文●上村明菜