uguisu × organ「uguisu × organの青空デリカテッセン」

紺野真さんにとって“みんなで何かをすること”は、人生を豊かに生きるために欠かせないことなのかもしれない。

紺野さんは、2005年にはじめた三軒茶屋の「uguisu」と2011年に西荻窪にオープンした姉妹店「organ」を切り盛りするオーナー兼シェフ。どちらのお店もなかなか予約を取ることがかなわない人気のレストラン。雑誌やメディアで取り上げられることも多く、味にうるさいお客さん、常連さん、仕事帰りにワインを一杯飲んで帰るお客さんが、絶妙な味付けのビストロ料理と作り手の顔が見える選りすぐりの自然派ワインを楽しみに訪れる。先日uguisuを訪れた時は、40〜50代くらいの方々が優雅に食事を楽しんでいた。大いに食べて、笑い、ワインをたしなみ、「また来るよ」と言って去っていく。仲間たちとここで幸せな時間を過ごし、また明日から頑張ろうというエネルギーをもらって帰っていく、そんな光景に見えた。

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紺野さん率いる「uguisu×organ」チームにとって、もみじ市は今年で2回目の参加となる。前回は青空のもと、炭火で焼いたブーダンノワール(豚の腸詰)や、キャロットラペ、ジャガイモと玉ねぎ、オリーブを使った前菜など、ライブ感あふれる“青空デリカテッセン”というフランス料理店をオープンしてくれた。

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私が紺野さんと何度かお話をするうちに気がついたことは、紺野さんはいつだってサービス精神にあふれ、とてもポジティブな考え方の持ち主だということ。なにかを相談すると、こちらの期待に応えようと、真摯に対応してくれようとする姿勢がすごく伝わってくる。初めてお会いした時からその印象は変わらない。アイディアをいくつも挙げて、積極的に関わってくれようとするのだ。

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しかし連日予約でいっぱいのお店を営みながら、もみじ市の準備をするのはどんなに大変なことだろう。スタッフの体力、お客さまのこと、設備の整わない会場でのオペレーション、さまざまな不安要素をかかえながらの準備……。きっと、軽やかでポジティブにみえる紺野さんにとっても、簡単なことではないと思う。紺野さんが、それでももみじ市に参加してくださる理由は何だろう。多忙な日々を過ごす紺野さんが、こんなふうに語っていたことがある。

「僕はもともと料理をつくるのではなく、楽器をかき鳴らしていたんですよ。バンドを組んでプロを目指していた時もあったのですが、挫折してしまいました。自分には才能がなかったみたいで……。でもその間勤めていた飲食店でのサービス経験が今の仕事に結びついています。そしていつからか、自分でお店をやりたいと思うようになったのです」

また前回のもみじ市が終わったあとには、こんなふうにも。

「本当に大変だったけれど、みんなで一緒に汗をかいて、楽しかったです。片付けが終わった後、夕日のなかでみんなで写真を撮ったんだけど、それがとってもいい写真だったんです」

そう、紺野さんは、信頼できるメンバーとともに、なにかひとつのことを一緒にやりたいのだ。好奇心に満ちた少年のように。バンドもお店もきっと同じ。個性あふれる仲間たちと、一緒にひとつの空間で、汗をかきたいのだ。

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そしてそれは、私たちが「この作家さんに参加してもらいたい、このアーティストに参加してもらいたい、そして一緒にひとつのものを作りたい」という思いから始めた、もみじ市と同じような気がしてならない。全国からやってくる、料理人、作家、アーティストたちが集まる舞台。その舞台に、思いを同じくした「uguisu × organ」という名のバンドが上がってくれる。こんな誇らしいことが他にあるだろうか。

最近ではスタッフたちと畑を借りて野菜を作っているという紺野さん。料理への尽きない探究心、そして、これだけ知れ渡っているにもかかわらず、新しいことに果敢にチャレンジする姿勢。私たちはいつだって、そんな紺野さんと「uguisu×organ」のメンバーに刺激を受ける。

舞台の幕が開くのはもう間近。今年はどんなステージを見せてくれるのか? もみじ市に訪れたら、ライブ感あふれる「uguisu × organ」のお店を、ぜひ訪れてほしい。

【uguisu × organ 紺野真さんに聞きました】
Q1 もみじ市に来てくれるお客様に向けて自己紹介をお願いします。
三軒茶屋の小さなワインカフェuguisuと、その姉妹店である西荻窪のorganです。
フランスの市場で売られている様な素朴で美味しいお惣菜と、青空の下で身体に染み入るような優しい味わいのワインを紹介したく思います。

Q2 今回のテーマは「カラフル」ですが、あなたは何色ですか?
紺色です。

Q3 今回はどんな作品をご用意してくれていますか? また「カラフル」というテーマに合わせた作品、演出などがあれば教えてください。
場所は河川敷になりますが、お店の雰囲気そのままに、みなさんに楽しんでいただけるよう、
自分達も楽しみながら本気でやります。その様子をぜひ見に来てください。

Q4 ご来場くださる皆さんにメッセージをお願いします!

さて、続いてご紹介するのは、栃木県からもみじ市初出店のあのお店です!

文●増田千夏