atelier h 本間節子「ジャム菓子屋」(20日)

美味しいお菓子を食べたら、誰もがみんな幸せそうな笑顔になる。美味しい笑顔がもっと見たい。「atelier h」を主宰する本間節子さんがお菓子作りの世界に入ったきっかけも、そんな思いだった。

もともと子ども時代からお菓子作りは好きだった。スコーンを焼いたり、クッキーを焼いたり……。でもそれはあくまで趣味の範囲。20代の頃は普通のOL生活を送っていた。

「たまたま会社のそばにあったお菓子屋さんの教室に参加して、本格的なお菓子作りの面白さに目覚めたんです。そのころからお菓子作りを仕事にしたいなぁと思い始めました」

結婚してOLを辞めた本間さんは、家の近所のケーキ屋さんで働くことにした。しかし、プロの世界は思っていた以上にハードだった。

「新米主婦との両立はやっぱり無理があって、結局挫折しました」

でも、「好きなことを仕事にしたい」という本間さんの情熱は冷めなかった。そのあともお菓子作りの勉強を続け、1999年「atelier h」を立ち上げた。

「最初はカラーコピーで作った手製のパンフレットを友人知人に送って、『ぜひ食べてみてください』とお願いしたという感じです。そこから頒布会という形がスタートして、数年にわたってたくさん人に季節の焼き菓子をお送りしました」

その当時から「材料は国産で、できるだけ添加物の少ないものを使う」というポリシーは変わっていない。

「バターは使わないとか、砂糖は使わないとか、そういうことはありません。ただ、外で買うお菓子って味が濃いでしょう。少しならいいんですけど、お菓子を作るのが好きな人、お菓子を食べるのが好きな人は食べる回数も量もついつい多くなってしまう。ですから甘さも最低限に抑えるようにしています。ワンホールのケーキを焼くにしても、家で美味しく食べきれるようなレシピを心掛けているんです」

いい素材を使って、ていねいに作る、お店では買えないお菓子。それが「atelier h」のお菓子だ。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

OLYMPUS DIGITAL CAMERA月に一度自宅で「12か月のお菓子教室」をひらいている。少人数のアットホームな雰囲気の中で「atelier h」のお菓子作りが学べる

本間さんのお菓子には、美味しそうな季節の果物が使われる。イチゴ、レモン、ナップル、リンゴ、栗……。

「思わず皮まで残さず食べてしまいたくなるような果物ってあるでしょう。そういうのを見つけると、すぐに生産者の人に連絡をとって、毎年送ってもらうようにしているんです」

全国に広がる「美味しいものネットワーク」から取り寄せた素材を前に、それを使ってどんなお菓子をつくろうか、熱くなったオーブンのなかで生地がふくらんでいくように、本間さんの頭の中でもイメージがどんどんふくらんでいく。

「まずは味ですね。この素材を使って、こんな味を作るためには、どんな組み合せにしたらいいか。そこからスタートです。それが決まったら、じゃあどんな形にしようかと考えます」

お菓子のデザインは「プラス」ではなく「マイナス」。「シンプルだけど、ちょっとカワイイ。思わずマネしたくなるようなデザインが好き」だという。

anzu2_000【7月】杏のタルト

blue2【8月】ブルーベリーのミルクレープ

apple2_000【9月】りんごとサツマイモのパイ
*写真は「atelier h」のホームページから

もみじ市への出店は2年ぶり、3回目。今年のテーマ「カラフル」のために本間さんが用意してくれたお面は、なんと、本物のクッキー! (下の動画をご覧下さい)

「焼き菓子って、見た目がどうしても地味なんですよね。いろいろ悩んだけど、やっぱりみんなが大好きなクッキーかなと思って」

オーブンでこんがりと焼けて、満面の笑みを浮かべるクッキーくん。シンプルだけど、すごくカワイイ。「atelier h」のお菓子には、やっぱり笑顔がよく似合う。

【atelier h 本間節子さんに聞きました】
Q1 もみじ市に来てくれるお客様に向けて自己紹介をお願いします。
お菓子作りの「atelier h」です。人の手から生まれるものが好きです。着るもの、使うもの、もちろん食べ物も。食べた人をにっこりさせてくれるお菓子作りを教えています。

Q2 今回のテーマは「カラフル」ですが、あなたは何色ですか?
好きな色はグレー。いろんな色と相性がいいでしょう。

Q3 今回はどんな作品をご用意してくれていますか? また「カラフル」というテーマに合わせた作品、演出などがあれば教えてください。
わたしのジャムはシンプルに果物と砂糖とレモンだけで煮ます。少なめの砂糖でしっかり煮詰めて糖度を上げているから、おいしさがぎゅーっと詰まった濃厚なジャムが出来上がります。杏、ラズベリー、無花果、ブルーベリー、レモン、栗。初夏から秋にかけて、わたしがお気に入りの素材から作ったジャム。それを使って焼き菓子を作りました。この機会に楽しんでいただけたら嬉しいです。ちょっと地味な焼き菓子だけど、味わいはカラフルなのかなって思っていただけるような形に表現できたらと思います。

Q4 ご来場くださる皆さんにメッセージをお願いします!

さて、続いてご紹介するのは、あなたの顔をカラフルにしてくれるあの方です! 当日はフェイスペインティングであなたもカラフル人になりましょう!!

文●秋月康