Sunday Bake Shop「週末ピクニック屋」

 今年の夏、Sunday Bake Shopは2カ月という長い夏休みをとりました。その間、店主の嶋崎かづこさんが何をしていたかというと……

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東京は初台。日曜日にしか開かないお菓子屋さん、その名も「Sunday Bake Shop」の前には、朝9時のオープン前だというのに、店頭にはお客さんがずらり。近所の顔なじみさん、ジョギング中のおじさん、お母さんといっしょに来た子供たち、ずっと来たかったんですという乙女たち。みんなが待ち遠しかった日曜日を迎えて、ワクワクしながらやって来ます。

それもそのはず、小さなお店に一歩足を踏み入れると、そこに並ぶのは、世にもおいしそうな焼き菓子の数々! オリジナルスコーン、えだまめのスコーン、イギリスの全粒粉とレーズンのスコーン、トリプルチョコレートブラウニー、ナッツのブラウニー、スペシャルビクトリアスポンジ、バニラチーズケーキ、チョコレートレイヤーケーキ、キャロットケーキ、ローステッドバナナケーキ、ブラムリーアップルのフラップジャックストレイベイク、上がじゃりっとしたレモンのケーキ、上がじゃりっとしたオレンジとクランベリーのケーキ、コーンミールアーモンドブレッド、ネクタリンとアーモンドのケーキ、ライ麦とちょっとのヤギのケーキ、新しょうがのケーキ、ライ麦とプルーンのクランブルケーキ、ベリーとブラムリーアップルとスペルト小麦のクランブルケーキ……

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私のお気に入りは、上がじゃりっとしたレモンのケーキ。あの甘酸っぱいレモンの味と、上に乗ったじゃりっとした食感の砂糖がたまらないのです。一度食べれば、あなたもきっと恋に落ちるはず。

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もうひとつのお気に入りはスコーン。初めて食べたときの衝撃は、今でも忘れられません。私はSunday Bake Shopのスコーンを食べるまで、スコーンがこんなにおいしいものとは知りませんでした。それまでは、なんとなく固くてぼそぼそしているもの、というイメージがあったのですが、Sunday Bake Shopのスコーンは全然違うのです。しっとりして、やさしくて、一口食べただけで幸せが……ああ、食べたい……。

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嶋崎さんがお菓子を作る上で心掛けていることはひとつ。“楽しむこと”。好きな音楽をかけたり、食べてる人を想像しながら作ると、作る方も楽しくなって、きっとそれがお菓子の調味料となって、おいしくなってしまうのです。だから、嶋崎さんの作るお菓子は、いつもにこにこ笑っているよう。おいしそうなのはもちろん、楽しそうなのです。
「お菓子があると、みんな仲良くなれるんです。これってとても素晴らしいこと!」
そういう嶋崎さんもにこにこ。そう言えば私、笑顔ではない嶋崎さんに会ったことがありません。

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今年の夏、嶋崎さんは、2カ月間イギリスを旅しました。焼きっぱなしの大きなケーキをざくざく切って、大きなポットにたっぷりいれたお茶でティータイム。イギリスの田舎町で見られるそんな風景が、嶋崎さんが提供したいお菓子や時間のイメージにぴったりなのだそう。それを見たくて、毎年のようにイギリスに行っています。

今回の旅で、最も印象に残ったのが「丘の上でのピクニック」。陽が傾き始めると、ワインのボトルとグラスを持って、サンドイッチやサラダ、ケーキ、パン、ディップをみんなで持ち寄って、ピクニック。とてもとても楽しかったそうです。

私たちにとって嬉しいことは、嶋崎さんのイギリスでの記憶が覚めやらないうちに、もみじ市があるということ。今回もみじ市でSunday Bake Shopは、イギリスでの楽しい記憶を再現するべく、「週末ピクニック屋」を開いてくれます! 持って来てくれるのは、ピクニックにぴったりなスコーンやブラウニー、私の好きなレモンのケーキに季節の果物を使ったいろいろな焼き菓子、それからスコーンのサンドイッチ。え? スコーンに何かが挟まっているんですか? これ以上は聞かないようにしましょう。それは、もみじ市当日、Sunday Bake Shopのお店に来てくれた人だけが知ることができる特権です。

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青空の下、心地よい秋風を感じながら、芝生でピクニックはいかがですか? お供にはもちろん、Sunday Bake Shopの焼き菓子を携えて。

【Sunday Bake Shop 嶋崎かづこさんに聞きました】
Q1 もみじ市に来てくれるお客様に向けて自己紹介をお願いします。
Sunday Bake Shop、東京初台の日曜日のおかし屋です。

Q2 今回のテーマは「カラフル」ですが、あなたは何色ですか?
お店の色はうすみどり色です(緑と青の中でおかしを食べるのが好きです)。

Q3 今回はどんな作品をご用意してくれていますか? また「カラフル」というテーマに合わせた作品、演出などがあれば教えてください。
今回はピクニックをうちのテーマにしました。
河川敷でピクニックしたくなるようなおかしを、ちょっとしょっぱいものが欲しい人にも甘くいたい人にもたのしんでいただけるように、用意していく予定です。
うちのおかしは地味なのですが、くだものなどの力を借りてカラフルにしていけたらな、って思っています。
いつもは日曜日だけですが、もみじ市では土曜日、日曜日とはりきってオープンしますので、しきもの持ってぜひいらしてください!

Q4 ご来場くださる皆さんにメッセージをお願いします!

さて、続いては福島からやってくるあの果樹園。色とりどりの果物をたくさん積んでもみじ市へやってきます!

文●鈴木静華

marutoとle perchoir(石坂しづか・口広真由美)「oyatsu+hako」(19日)

机の上にその箱が置かれると、一瞬にして箱の周りにあるものの見え方までもが変わった。机の木目、傍に置かれたグラス、照明の光、それが作る影までもが美しく見える。箱の蓋をそっと開けると、美しい焼き菓子が綺麗に並べられていた。

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これは、もみじ市のときだけ結成されるチーム「marutoとle perchoir」による「oyatsu+hako」。焼き菓子を作るmarutoの清水美紀さんと、イラストレーターの石坂しづかさん・口広真由美さん(le perchoirは、石坂さんと口広さんのユニット名)の3人がコラボレーションして作った、もみじ市限定のおやつの箱だ。

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「自然と出会ったんですよね。縁があって、出会って、一緒に出かけたり、おいしいものを食べたり、それぞれ違う感性だけれど、それぞれの感覚を信頼していますね」

3人の関係について、こう話してくれたのは石坂さん。書籍の装丁や雑誌の挿絵、CDのジャケットなど、さまざまなメディアで活躍する石坂さんのイラストは、どうやって生まれるのだろう?

「あの時見た光の感じ、あの時の美しかった光景……旅先で出会った色だったり、匂いだったり、そのとき感じた感覚、空気感をなんとか表現したい、と思って描いています。手が先に動いてゆくこともあります。それでも、手と脳は繋がっていて、手を動かすことによって、“あの時の空気感”を見つけ出せたりもするんです」

石坂さんは旅先などで好きな色を見つけると、帰って来てからそれを画材やパソコンで再現してみるそう。いわば、「記憶の色」を「実在の色」にするのだ。時にはそれをプリントアウトしてみる。そうやって、世界中から集めた色をストックして、絵を描くときに出会った景色の空気感を紙に落としてゆくのだと、石坂さんは教えてくれた。

04イラスト 石坂しづかさん

石坂さんが旅先で見つけた色、かっこいいと思うもの、匂いや、おいしいと思うもの、美しいと感じた一瞬が、やがて石坂さんが描く絵の中に表現される。だから私たちはその絵の持つストーリーに、線や色の持つ景色に、ふと立ち止まってその先の世界を想像するのだ。

今日という一日は、一瞬は、人生のなかでもう二度と訪れない。今見えている景色はもう二度と見ることが出来ない瞬間の連続だ。それでも私たちは作り手が感じた過ぎ行く一瞬を、作品を通して味わうことができる。それは、とても幸運なことだ。

05イラスト 口広真由美さん

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石坂さんと口広さんの“甘い記憶”が閉じ込められたイラストは、今回もみじ市で、甘いお菓子を包む。ふたりが作る箱の中に入るのは、清水さんが作るお菓子だ。箱の中のお菓子を、そっと箱から取り出し、食べてみた。じんわり暖かい気持ちになる味で、食感も口に入れた時の大きさも、しっくりなじむ。ずっと昔から食べていたような、ずっとこれからも食べていくようなお菓子だ。

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「味はもちろん大切にしていますが、箱を開けるとき、食べるとき、誰かにプレゼントするとき、いろんな場面を想像しながら作っています。それから、お菓子には自分の気持ちが味にとても影響すると思うので、作るときはいい気分で楽しく作っています」(清水さん)

「もみじ市は自分が思うままに、楽しんで作れる場所」という3人。

「実は『お菓子の入った箱』の他にもうひとつ『何かが入った箱』も販売します。『何か』の中身はナイショですが…」

と、石坂さん。箱を開けるまでわくわくが続きそうな、箱好きの3人ならではのいたずらな仕掛け。中身をこっそり教えてくれたのだけれど、ここでは秘密にしておおこう。

marutoとle perchoirの3人が、甘いおやつと、楽しい気持ちと、3人の友情をたっぷり詰め込んだ箱を持って、多摩川河川敷へやって来ます。清水さんのおやつを食べてしまった後はどうか、もみじ市の記憶を、石坂さんと口広さんの箱にそっとしまっておいて下さいね。

【marutoとle perchoir 石坂しづかさんに聞きました】
Q1 もみじ市に来てくれるお客様に向けて自己紹介をお願いします。
marutoは東京で焼き菓子を作っている清水美紀さん、le perchoirはイラストレーターの石坂しづかと口広真由美のユニットです。le perchoirはフランス語で止まり木という意味で、いろんな人の止まり木になってアイディアなどを増やせたらという気持ちで付けた名前です。

Q2 今回のテーマは「カラフル」ですが、あなたは何色ですか?
水色です。

Q3 今回はどんな作品をご用意してくれていますか? また「カラフル」というテーマに合わせた作品、演出などがあれば教えてください。
色々なイラストで、たくさんの箱をカラフルにしたいと思います。ひとつの箱の中にいろいろな種類のお菓子が入っているので、味でカラフルを表現したいと思います。

le perchoirのお楽しみ箱は、もみじ市を楽しんでいただけるように心をこめてつくりました。秋の一日を色々な人達と楽しく過ごせたら嬉しいです。

Q4 ご来場くださる皆さんにメッセージをお願いします!

さて、続いてご紹介するのは、歌なき歌を奏でるおもちゃの鼓笛隊。今年初出演となるあの人たちが会場を盛り上げてくれます!

文●鳥田千春

まっちん・町野 仁英 「おやつや まっちん」

甘い話に気をつけろ! というけれど、気をつけなくてもいい甘い話だってあります。それは、和菓子職人まっちんこと町野仁英さんの手から生み出される、おやつの話。

「和菓子っていうと堅いイメージがあって、食べてくれる人が構えてしまうかなと思ったんです。みんなで囲んで食べられて、和んでもらえるような、そんなおやつを作りたいんです」

まっちんは和菓子を独学で学びました。全国の和菓子屋をまわって技を見て学んだり、レシピを汲みほどいて、何度も何度も実践を重ねました。こうした経験を通して、まっちんは、素材の魅力の引き出し方と、技術を習得して行きました。

◆ まっちんにだからこそ生み出せるおやつ

素材の魅力を存分に引き出せるまっちんにだからこそ、生み出せるものがあります。

「和菓子という文化を大切にしながら、型にはまらない、自分にしか作れないおやつを作ろうと思いました。自分が食べたいおやつを考えた時、素材の味を活かした、栄養価の高いものだったので、和菓子ではあまり使われない全粒粉や玄米、粗糖を取り入れることにしたんです」

大地の実りがぎっしりと詰まったまっちんのおやつは、素材そのものが持つ本来の味や自然の甘さを、しっかりと感じることができます。

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今年、まっちんは初めての書籍を著しました。その名も『まっちんのおやつ』。

「だれでも気楽においしく作れるということを伝えたくて、どの家庭にもあるような材料で作れるレシピを考えました」

シンプルで簡単だけど飽きのこない、おいしくてやさしい味が詰まった一冊には「特別なものじゃなくて、日常のおやつとして、みんなに作ってほしい。おやつって、いいなぁって思ってほしい」というまっちんの想いが込められています。

◆ しあわせの塊

まっちんの技術、知識、経験、そして想いがぎゅ〜っと詰まった、この上ないおやつ。

わらびまんじゅうもその中のひとつです。

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何なんでしょう、ぽってりしたこの魅惑の塊は。人は、このぽってりした塊を「わらびまんじゅう」と呼んでいます。香り高いきな粉の下には、みずみずしくてぷるんぷるんなわらび餅。さらに、そのモチモチぷるんな食感の中から顔を出す、上品な甘みのこしあん。思わず、ため息まじりの「おいしぃ〜」が飛び出しちゃいます。全ての素材から、自然の甘味が風味として口の中にふわっと広がる、あの感じ。何なんでしょう、あの感じは。あの、思わず口角が上がって、ニヤっとしてしまうあの感じ。人は、あの感じを「しあわせ」と呼んだらいいと思います。

◆ 30年後のおやつ作り

まっちんの作る生菓子は他の生菓子と比べ、保存期間が短くなっています。これは、自然の甘さを引き出すために、糖度を極力落としているから。

「自分のおやつを全国の人に食べてもらいたいけど、生菓子は賞味期限がシビアなので……」

そこで生まれたのが「大地のかりんとう」です。

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全粒粉と厳選した卵を使用した、ザクザクとした噛み応えのあるかりんとうは、噛めば噛むほど口の中に甘みが広がります。

「親子三代に渡って食べられる『30年後のおやつ作り」をテーマにして、開発に開発を重ねました』

素朴な味だけど、きめの細かい丁寧な味。『30年後のおやつ作り』というだけあって、これはおやつタイムの定番になりそうです。おじいちゃん、おばあちゃん、おとうさんにおかあさん、おにいちゃんにいもうと、みんなの中心にある、いつのまにか増えた家族のようなおやつ。「おとうさんが小さいころ、こんな話があってね」とか「今度の日曜日どこ行こっか」とか、いつも会話の真ん中にいる。「大地のかりんとう」は、そんなイメージが浮かぶような、誰かと一緒に食べたくなるおやつです。

まっちんの作るおやつは、「おいしい」を生み出すのはもちろん、みんなでおやつを囲む楽しい時間を生み出してくれます。大切にしたいそんな時間を、さりげない甘さで日常のワンシーンにしてくれるまっちんのおやつ。

まっちんのおやつが届いた先に、おいしくて、楽しくて、うれしくなってほっぺが弾む、そんな甘い話が待っています。

【まっちん 町野 仁英さんに聞きました】
Q1 もみじ市に来てくれるお客様に向けて自己紹介をお願いします。
はじめまして!お久しぶりで! まっちんこと町野仁英です。

三重県伊賀上野にて10年前に「和菓子工房まっちん」をオープン。後に岐阜市の和菓子屋「ツバメヤ」の立ち上げをきっかけに岐阜市に移り住み、現在は「山本佐太郎商店」で商品開発・販売を行いながら、岐阜市長良で月に一度のお店「おやつや まっちん」や、全国各地で まっちんのおやつ会を開催してます。

Q2 今回のテーマは「カラフル」ですが、あなたは何色ですか?
白と紺色がまっちんカラーです。

Q3 今回はどんな作品をご用意してくれていますか? また「カラフル」というテーマに合わせた作品、演出などがあれば教えてください。
今年は2年ぶりのもみじ市復活をこめ…

・復活! 「わらびまんじゅう」

・復刻! きりん屋&まっちんコラボ商品 (もみじ市限定モデル)
「まるける」
「餡バターサンド」
※パンの販売終了後にきりん屋ブースにて販売開始

・素材が命!
「大地のかりんとう」
「おいも泥棒」
「うのはな日和」
「まっちんのつぶつぶ粒あん」

・魂の一冊! 「まっちんのおやつ本」

もみじ市ならではの想いをこめて…自身のおやつをイメージとしたカラーと、もみじ市でしか味わえない華やかな演出でバッチリ決めたいと思います。

Q4 ご来場くださる皆さんにメッセージをお願いします!

さて、続いてご紹介する方は、同じく三重県から初出店。夫婦で営む小さなカフェながら、近年注目を集めるあのお店の登場です!

文●小木曽元哉

otome-graph. 焼き菓子店 「福田淳子先生のお菓子と川村よしえの文具の詰め合わせ」(19日)

「でもいいんです、だからって美味しいものを我慢する人生より、ちょっとぷくっとしていても美味しいものをたくさん食べれら方がいいなって」

今回の取材で、初めて川村よしえさんにお会いした。素直な気持ちを人に伝えられるようになるまでに時間がかかる私は、初めて会ったにもかかわらず素直な気持ちをコトバにして伝えてきてくれる川村さんを見て、この人となら色々な話ができるかもしれない、そんな気持ちになった。

川村よしえさんは「otome-graph.」という、CDジャケット、書籍の装丁、雑誌、カタログ、広告などの女の子向けのデザインを多く手掛けるデザイン事務所を主催している。川村さんが手掛けるモノには、女の子の”好き”や”かわいい”がぎゅぎゅっと詰まっていて、それはそれは、うっとりとため息きが出るほどだ。

「クリエーターって一発勝負なところがあって、一度失敗したら次はないと思っている。だから一冊一冊適当には作れない。一生懸命、考えながら作っているんです」

それまでは人に頼る仕事のやり方をしていた、という川村さん。でも、ある1冊の本を手掛けたことが転機となって、今の仕事のスタイルができたのだそう。「まわり道ばっかりで人よりも時間がかかるんです」という川村さんの話し方は優しくて、フワフワしているけれど、ひとつひとつのコトバに気持ちがこもっていて、川村さんのまわり道は色々な想いや考えが編みこまれた、芯のある編みもののようだ、と私は思った。

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「私が大好きなクッキーと文房具みたいなものをセットにしたらいいかなって、好きなものを一緒にして売れるっていうのは、もみじ市でしかできないかなって。それで、先生にメールしてラフも書いて、こういうの作りたいですって連絡したんです」

今回もみじ市に持ってきてくれるものについて、伺ったところ、こんな答えが返ってきた。

先生とは、今回一緒に出店をしてくださる料理研究家でパティシエの福田淳子さんのこと。大のクッキー好きである川村さんが今までに出会ったクッキーの中でも、福田さんのクッキーは特別に美味しかったのだそう。「淳子先生はすごい研究熱心なんです」という川村さんのコトバからは、すごく強い気持ちが伝わってくる。だから私もまだ食べたことはないけれど福田さんの作るクッキーは、間違いなく美味しいのだろうという気持ちになってしまう。

もみじ市に来てくれる人たちに手にとってもらえるようなものを一生懸命考えて、ご自身のできることと、福田さんという感性をミックスして今回の形になったのだそう。きっとまたたくさんの時間をかけて考えてくださったのだなぁと嬉しくなって、「これだ」と思ったことに一生懸命進んでいく川村さんのパワーはすごいなぁ、と素直に思った。それにしても、福田さんの美味しいお菓子と、川村さんが手掛けるかわいい雑貨がパッケージされてセットになるなんて、もみじ市はなんて贅沢なんだ!

B-01Bセット「甘い、甘い、アクセサリー」
クッキーをイヤリングやブローチに見立てて写真を撮り、カードなどを作りました。
クッキー、焼き菓子とセット販売します。

c-01マドレーヌなど焼き菓子単品の包装も作りました。

普段からストーリーを作るのが好きで、仕事をする中でも背景にはストーリーが流れていて、それを形にしていくのだそう。今回の作品も、ただかわいいというだけじゃなくてストーリーをひとつのパッケージの中に詰め込んでいったのだとか。ちょこっと教えてもらったそのストーリー、ここではナイショにしておきます。是非もみじ市で手に取って直接聞いてみてくださいね。

「私、ワンピースが好きでずっと着ていて、締め付けないじゃないですか、それでどんどんクッキーを食べて、ぷよぷよしてきたからワンピースを自粛してズボンはくことにしてるんです。もいいんです、だからって美味しいものを我慢する人生より、ちょっとぷくっとしていても美味しいものをたくさん食べれら方がいいなって」

好きなものに一直線、自分の気持ちにまっすぐで正直。
私、とてもステキな人に出逢ってしまいました。

【otome-graph. 焼き菓子店 川村よしえさんに聞きました】
Q1 もみじ市に来てくれるお客様に向けて自己紹介をお願いします。
otome-graph.グラフィックデザイナー。design for romantic girlsというモットーで
デザインをしています。

Q2 今回のテーマは「カラフル」ですが、あなたは何色ですか?
何色かは分からないのですが、グレーがいいです。

デザインをする上でグレーて地味だけど、何色とも合うんです。ピンクとも、水色とも。ひっそりとみんなといい関係を作れるようなそんな風になりたいです。

Q3 今回はどんな作品をご用意してくれていますか? また「カラフル」というテーマに合わせた作品、演出などがあれば教えてください。
私は、好きなモノが2つあります。

ひとつはクッキー。
毎朝クッキーを食べてるんですね。クッキーマニアです!

そして、もう一つは文具紙モノ。
海外のみんなが捨ててるチョコを包んであった紙、フリペや牛乳パック、チケット、値札、タクシー運転手がくれたメモの紙まで捨てれません!

この大好きな2つをセットにしたら、もみじ市に来てくださる方はきっと楽しんでいただける! と思いました。

今回は尊敬する料理家の福田淳子先生にお声がけしてクッキーと焼き菓子を作って頂きました。そして、私はカードや、ノートなどを作りました。

Aセットは「子猫とリボンと女の子」というタイトルで撮りためている作品から、お菓子とノートなどをセットにしました。

Bセットは「甘い、甘い、アクセサリー」というタイトルでクッキーをイヤリングやブローチに見立てて写真を撮り、カードなどを作りました。これも、クッキー、焼き菓子とセットしました。

普段はシンプルなプレーンのクッキーが好きですが、今回はカラフルということでココアや、白いお砂糖、赤いジャムなどを使ってクッキーを作って頂いてます。

Q4 ご来場くださる皆さんにメッセージをお願いします!

さて、続いてご紹介するのは、カフェフェスにも出店してくれたあの人たちの登場です!

文●上村明菜

平澤まりこと桑原奈津子「方舟クッキー」(19日)

「ふたりだからできるんだよね」

全国から、そして海外から珠玉の作り手が集うもみじ市。“もみじ市だからこそ”実現するお楽しみがある。それは、2日間限りのコラボレーション。陶芸家とグラフィックデザイナー、料理家と雑貨作家……、ジャンルの枠を超え、素晴らしき作り手がタッグを組む姿を目撃できるのは、もみじ市ならではの楽しみだ。そして、このおふたりがコラボしてくださるのは、まさにもみじ市ならではの贅沢だ。第1回目のもみじ市から参加して下さっているイラストレーターの平澤まりこさんと料理研究家の桑原奈津子さん。 

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いまでこそ多くの方に足を運んでもらえるようになったもみじ市だが、2006年に行われた第1回目は、今と比べれば小さな規模だった。そんななかで、ひときわ人だかりが出来ていたのが、平澤さんと桑原さんのお店だった。 

平澤まりこさんは、雑誌、書籍、広告など、さまざまな媒体をフィールドに活躍するイラストレーター。最近では、コーヒー飲料「LUANA」のビジュアル全般を手掛けられたのが強く印象に残っている。商品はもちろん、CMやポスターを目にしたことがある方も多いのではないだろうか。

平澤さんが描く人物や風景、暮らしの道具、旅先での一コマは、どれもすっと一本軸が通った、意志のある線で描かれる。すっと伸びた首に高い鼻、背筋がピンとした女性……、これは平澤さんが描く女性だが、“彼女”はまさにその意志を受け継いだようで、時には気高く、時には軽やかに、平澤さんが生み出す世界を動き回る。『京都ご案内手帖』『1ヶ月のパリジェンヌ』『ギャラリーへ行く日』など、多くの“旅の本”も著している平澤さんは、丁寧緻密な取材で文章を綴る良質の書き手でもある。平澤さんのお店を選ぶ視点、街を見つめる視線は、彼女の本を手に取る多くの人を、豊かな旅へと導いたのではないだろうか。

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桑原奈津子さんは料理研究家。大手製粉会社の食品開発室において、製菓・製パンメーカーのための試作・商品化の仕事に携わった後は加工でん粉メーカーにおいて研究職に従事。あくなき粉への探求心が彼女をいまのポジションへと導いた。手紙社のメンバーが彼女を評して言う「粉に愛された料理研究家」というキャッチフレーズは、あながちオーバーではないのだ。

『お砂糖レッスン』『やさいお菓子・くだものお菓子』『ピクニックの楽しい時間』など数多くの著書を持つ桑原さん。最新作『パンといっぴき』は、桑原さんと愛犬キップルの朝食を、来る日も来る日も定点観測的に記録した1冊。レシピはもちろんのこと、写真も、テーブルスタイリングはすべて桑原さんが手掛けている。レシピブックでもあり、写真集でもあり、エッセイでもあるこの本は、桑原奈津子という作り手の才能が集約されていると思う。自身の愛犬を主人公にしたこの本。普通につくれば、“愛情てんこ盛り本”になってしまいそうなものだが、そこは桑原さん、絶妙な距離を保ちつつ、不特定の人が見ても楽しめるよう、バランスをとっている。写真とスタイリングも、もちろん良い。決して押し付けがましいわけではないけれど、“魅せる力”が素晴らしいのだ。

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異なるジャンルで、しかしそれぞれ第一線で活躍している平澤さんと桑原さんがはじめてタッグを組んだのは2007年4月に行われた花市のとき(もみじ市は2008年まで、秋はもみじ市、春は花市の名称で年に2回開催されていた)。きっかけは、第1回のもみじ市。出店場所が、隣同士だったことが、物語の始まり。

「開場したらあっという間になっちゃん(桑原さん)のところにお客さんが来たんだよね。ひとりであまりにも大変そうで、気付いたら袋詰めとか手伝ってました(笑)」

と当時を振り返って話してくれた平澤さん。

「ひとりで心細かったので、とても嬉しかったです」

と桑原さん。7年前のことを振り返り、楽しそうに話すおふたりは、とても仲が良い。だけど、なんというのだろう、ただ仲が良いだけではなく、お互いがお互いを尊敬しあっているのが言葉の端々から伝わってくる。

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話を戻そう。2007年4月の花市ではじめてコラボしたふたりが用意してくれたのは、フォーチュンクッキーならぬ”haru no hitokoto cookie”。 桑原さんの作ったクッキーの中に、平澤さんが、メッセージを書いた紙片(もちろん、イラスト付き!)を入れたスペシャルクッキー。

「作業が細かくて大変だった覚えもあるけど、やっぱりふたりというのが心強かったです」

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あれから6年。もみじ市で、久しぶりにふたりのコラボレーションが実現する。ふたりが今回のために用意してくれるのは「方舟クッキー」。平澤さんが作る方舟に見立てた箱に、桑原さんがカラフルな人や動物のクッキーを作り、ぎゅぎゅっと詰め込む予定とのこと。

「今年はどうしようかと話していくなかで、わりあいスムーズに“箱”というキーワードが出てきたんです。箱っていいよね、と盛り上がって。箱の中にお菓子を入れて、それをたくさん並べたら、見た目にも”カラフル”になるんじゃないかな、と考えました」

方舟のアイディアはどこから?

「普通に箱を作るのではつまらないなと。美味しいお菓子はもちろん、“希望”を詰め込みたいな、と思いました。それには方舟というイメージがぴったりでした。人それぞれ抱えているものはあるだろうけど、これを手にしてくれた人たちに、ささやかかもしれないけど、幸せを届けられたらな、と思います」

それぞれお忙しく活躍されている平澤さんと桑原さん。もみじ市のために打ち合わせを重ねるだけでも簡単なことではないと思うのだが、それでも参加し続けてくれているのはなぜだろう? 平澤さんは言う。

「もみじ市に来てくれるお客さんは、なんだかみんなキラキラしているんです。ここでしか味わえない出会いがあるのがもみじ市の魅力じゃないかな」

続いて、桑原さんが静かに。

「普段はひとりでお菓子を作っていることもあって、たくさんの方と話せるもみじ市は楽しいです。大変だけど、楽しい」

2006年のもみじ市の会場でぐっと距離を縮めたふたり。会場の「森のテラス」の小さな泉を出航した小さな方舟は、平澤まりこと桑原奈津子を乗せて、7年後、多摩川までやって来ました。気づけばその船には、ふたりのほかにもうひとり、誰かが乗っています。乗客の名は、「希望」。ふたりと希望を乗せた方舟が、多摩川河川敷に寄港するのは10月19日(土)だけ。みなさまどうか、乗り遅れないよう。

【平澤まりこさん 桑原奈津子さんに聞きました】
Q1 もみじ市に来てくれるお客様に向けて自己紹介をお願いします。
イラストレーターの平澤まりこと、料理研究家の桑原奈津子です。

Q2 今回のテーマは「カラフル」ですが、あなたは何色ですか?
ピーコックブルー(平澤)

水色(桑原)

Q3 今回はどんな作品をご用意してくれていますか? また「カラフル」というテーマに合わせた作品、演出などがあれば教えてください。
地球上のみんなが仲よく、よい方向に向かいますように!という願いをこめて平澤まりこが方舟に見立てた箱を、桑原奈津子がそこに乗りこむ動物たちをクッキーで表現します。

私たちはそれぞれ色とりどり。カラフルな人や動物をとびきりハッピーな箱に乗せてみなさんにお届けしたいと思います。

Q4 ご来場くださる皆さんにメッセージをお願いします!

さて、続いてご紹介するのは、岐阜県多治見市から初参加のあの店です!

文●市川史織

アノダッテ「栗色、マロンダッテ」

誰にとっても大切なものがある。「これまでの編集者のキャリアのなかで、もっとも大切な仕事は何か?」と問われたら、ぼくは迷いなく「もみじ市です」と答える。そして、もみじ市の歴史はぼくにとって、アノダッテとの歴史でもある。

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2006年夏、もみじ市前夜。ぼくたちは、初めて行うイベントに参加してくれる作り手を捜していた。「ぼくたち」というのは、ぼく北島勲と、渡辺洋子と、増田千夏。3人で始めたもみじ市。小さな青いジムニーに乗って、3人でどこまでも行った。素晴らしい作家さんがいると聞けば、どこまでも。 そんなある日、ふと手にした雑誌の中に、とても印象的なジャムの瓶があった。家をかたどった手描きのイラストと、「アノダッテ」の文字。この瞬間から今に至るまで、ぼくはずっと恋に落ち続けている。恋の相手はもちろん、アノダッテだ。

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プロの編集者や書き手にとって、「禁句」と言うべき言葉が存在する。そのひとつが、優れた作り手やアスリート、表現者を評するときに用いる「天才」という言葉。しかし、アノダッテのお菓子を食べたとき、それを生み出すふじもとようこさんのことを思い浮かべるとき、ぼくの頭にはいつも、この漢字二文字がよぎる。

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もみじ市の2日間だけ販売する「もみじ市公式ガイドブック」のなかに、「もみじ市名言集」というページがある。これまでのもみじ市の歴史のなかで、出店者やスタッフが発した“名言”をまとめているのだが、そのなかにキノ・イグルーの有坂塁さんの言葉がある(アノダッテのふじもとさんの名言も掲載しているので、ぜひご覧下さい)。

『信頼関係かな』
(キノ・イグルーの有坂塁さんの言葉/「もみじ市って聞いて、ぱっと出てくる言葉は何ですか?」という問いかけに対して)

信頼関係。自分で言うのはちょっとおこがましい気がするけれど、ぼくとアノダッテとの関係は、これにつきると思う。「アノダッテなら大丈夫だ」。ぼくはいつも、こう思っている。アノダッテが作るものなら、とびきりおいしいものに違いない。アノダッテがつくる小屋なら、きっと素敵なものに違いない。アノダッテなら、ぼくが表現したいことをわかってくれるはずだ。アノダッテなら、大丈夫だ。7年前に初めて会った日から今日まで、その思いが汚れたことは一度もない。

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「信頼」とは、一方が信頼し、もう一方が信頼されるという一方通行では決してない。双方に「信頼する」というベクトルが存在し、そのベクトルが同じ値であること、それが本当の信頼関係だと思う。つまりそれは、ある意味勝負なのだ。相手に信頼されうる“力”をこちらも持っていなければいけない。相手のベクトルの値が大きくなった時、こちらもそれに合わせて値を大きくしていかなければいけない。

もみじ市に参加してくれる作り手とぼくたちの関係は、つまりはそういうことだ。単なる出店者と主催者の関係ではない。お互いを表現者として高め合っていく関係。信頼関係のバランスを右肩上がりで保っていく関係。それが、もみじ市なのだ。

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この夏、アノダッテから手紙舎に新しいジャムが届いた。それは、あの定番となっているラベルとは異なる、新しいラベルだった。ふじもとさんの手書きによる英文字のラベル。それを見てぼくは、ふじもとさんにメールをした。
「ジャムのラベル、とっても良いですね。新しいチャレンジ、素敵です。ぼくはこれからも、アノダッテの素晴らしい感性を最も感じられるヤツでいたいです」
ふじもとさんからの返事は、すぐ来た。
「私も、北島さんにほめられ続けるヤツでいたいです」

形があるものはいつかは終わる。もみじ市だって、いつかは終わる。でも、もみじ市が続く限り、ぼくはアノダッテの担当をしたいと思っている。そんな話をしたら、ふじもとさんが言った。
「北島さんが、書くことがなくならないように、がんばらなくちゃ」

そう言うなら、ぼくたちもがんばらなくっちゃ。何を? もちろん、今年のもみじ市を。素晴らしいアノダッテに相応しいイベントに。珠玉のごとき出店者たちに相応しいイベントに。みんなで高め合って来たこの7年間を集約した、唯一無二の場所。それが、もみじ市なのだ。

【アノダッテ ふじもとようこさんに聞きました】
Q1 もみじ市に来てくれるお客様に向けて自己紹介をお願いします。
おーきなもみじの木の下でー♪
はじめまして、おやつとジャムのマロンダッテ、 もとい! アノダッテです!

Q2 今回のテーマは「カラフル」ですが、あなたは何色ですか?
もちろん今は、栗色ー!

Q3 今回はどんな作品をご用意してくれていますか? また「カラフル」というテーマに合わせた作品、演出などがあれば教えてください。
アノダッテらしく、色とりどりのジャムたちでみなさんをお迎えしたいです!
橙色の杏・シックな赤紫の完熟プラム、色も甘みも繊細な白桃・フルーティーな黄金桃・濃い赤紫のまるごといちじく、皮をむいてスモーキーピンクにも変身!
クリーム色した香り高い洋梨・トロピカルイエローのパイナップル・バナナにオレンジ、黒い種までおいしいパッションフルーツ!
真っ赤なりんご・紅東や濃厚な山吹色したパンプキン!
これらのカラフルな色と香りの果物たちを、そのままシンプルに、はたまたさまざまなスパイスや木の実を取り合わせてジャムにしていきます!

そして、
2年ぶりの河原でのライブなおやつは、「モンブラン・パンペルデュ」を!
焼きたてパンペルデュに、その場で絞る自家製モンブランクリームの秋色栗色マロンダッテです!
いつもジャムの隣にちょっこり置いてある焼き菓子は、今回はきなこのような香ばしさがおもしろい、栗粉のクッキーを焼いていきます!
お楽しみにー!
「モンブラン・パンペルデュ」を食べて、栗のお面をつけて、みんなもマロンダッテになろー!

Q4 ご来場くださる皆さんにメッセージをお願いします!

さて、続いては、東京の下町で活動を続ける帽子の作り手のあの人たちの登場です。

文●北島勲

ひなた焼菓子店「焼き菓子と木のモノ」(20日)

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「あんまり役に立ってないんですよコレ」

そう語る店主・森和子さんの視線の先にあるのは、とってもシンプルなメニュー表。そこに記されているのは、『TART、SCONE、ROLLCAKE、CAKE、QUICHE…』。一体どんなタルトやケーキやキッシュが出てくるんだろう? そう思ったあなたは、立派な食いしん坊。頭の中に、ありとあらゆるタルトやケーキやキッシュがぐるぐると駆け巡り始めませんか? 想像力が掻き立てられるこんなメニュー表が客席に置いてある、そのお店の名前は「ひなた焼菓子店」です。

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小田急線の東林間にカフェと家具屋さんを併設したお店がオープンしたのは2010年12月のこと。それまでは、町田市にある一軒家で、店頭販売だけを行っていました。今のお店がオープンしてからまもなく丸3年。その場で食べてもらえるメニューを提供できるようになったことで、お菓子の作り手として、森さんの創作の幅が広がっていきました。

「召し上がったお客さまの反応が、その場で直に感じることができるようになったのがいちばん大きな変化であり、喜びですね」

お店がオープンしてから、新しいメニューも増えています。

「何か食べたいのある?」

森さんがこの言葉をお客さまに投げかけるとき、それは彼女が創作意欲に溢れている何よりの証拠です。もしもそんな場面に遭遇することができたのならば、あなたはとってもラッキーです。森さんが作り手として最大のパフォーマンスを発揮する場面に遭遇できたのですから。

「新メニューの創作に必要であり大切なのは、“心”と“時間”の余裕です。そのどちらが欠けても、魅力的なメニューは生まれません。けれど、両方がそろっているときにお客さまからリクエストを受けると、あ、やってみよう! という気持ちになるんです」

実際、お客さまからリクエストされなければ生み出されなかったものもたくさんあります。季節のフルーツを贅沢に使ったパフェはその代表的なメニューのひとつ。

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森さんは、メニューのレシピをノートに残すことはしません。書き残すとしたら、それはもっぱらカレンダー。ある日生まれたメニューは、その日のカレンダーの余白に書き残します。ただ、少々厄介なことは、カレンダーは一年が終われば処分してしまうこと。だから、お客さまに「去年のアレが食べたいなあ」と言われたときに、アレってなんだっけなあ、と考えることもしばしば訪れるのだとか。

「本当はレシピをきちんと残しておかないといけないんですけどね…」

苦笑いしながら話す森さん。けれどもその瞳の奥からは、その状況を楽しんでいるような、作り手としての無邪気な情熱が伝わってきます。レシピがないのだから、当然お客さまが求めていた味と同じにはならないことも多い。でも、間違いなく美味しい。だからこそ、お客さまもその変化を確かめに、楽しみに、そして味わいに森さんの下へ訪れてしまうのです。

「作るたびに進化しているのかな?」

冗談まじりに話すその言葉。けれどもその言葉の裏に感じる、熱く燃えるその情熱。森さんの菓子職人としての核心を垣間見たような瞬間でした。冒頭にお見せしたあのメニュー表。シンプルなあの体裁を変えない理由も、なんとなくわかったような気がします。

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今回、森さんのご主人である木工作家・鰤岡(ぶりおか)力也さんも数年ぶりにもみじ市に参加されます。そう、「木のモノ」が復活するんですよ。何を隠そう、ひなた焼菓子店の什器も、全て鰤岡さんが手掛けているのです。木の温かさも感じさせながらも、余分なものを全てそぎ落としたシンプルなデザインは、森さんのお菓子とも相性が抜群です。もみじ市では、木のプレートや、カッティングボードなど、暮らし、特に「食」にまつわる場面で、私達を豊かな気持ちにしてくれる品をご用意してくださるそうですよ。

今年、ひなた焼菓子店の多摩川出張所には、カラフルなカップで装った色鮮やかなカップケーキが並びます。森さんは、もみじ市当日が晴れであることを願ってやみません。だって、“ひなた”焼菓子店だから。突き抜けるように澄んだ青空と、そっと手を差し伸べられたかのような心地よい日差し。そんな風景をイメージしながら、森さんはたくさんのお菓子を用意してくれるでしょう。

【ひなた焼菓子店 森和子さんに聞きました】
Q1 もみじ市に来てくれるお客様に向けて自己紹介をお願いします。
相模原市の東林間でカフェと家具屋を併設した焼き菓子店です。

Q2 今回のテーマは「カラフル」ですが、あなたは何色ですか?
クッキーやタルトの美味しく焼けた生地の色や、季節の栗の色の、茶色です。

Q3 今回はどんな作品をご用意してくれていますか? また「カラフル」というテーマに合わせた作品、演出などがあれば教えてください。
フルーツの彩りが楽しめる焼き込みのタルト、栗のカップケーキ、定番のクッキーなどの他、コーヒーも用意する予定です。また、併設の家具屋さんも木のお皿などの販売もあります。どうぞ楽しみにいらして下さい。

Q4 ご来場くださる皆さんにメッセージをお願いします!

さて、続いてご紹介するのは、家族のように大切に酵母を育てるベーカリーカフェ!

文●加藤周一

atelier h 本間節子「ジャム菓子屋」(20日)

美味しいお菓子を食べたら、誰もがみんな幸せそうな笑顔になる。美味しい笑顔がもっと見たい。「atelier h」を主宰する本間節子さんがお菓子作りの世界に入ったきっかけも、そんな思いだった。

もともと子ども時代からお菓子作りは好きだった。スコーンを焼いたり、クッキーを焼いたり……。でもそれはあくまで趣味の範囲。20代の頃は普通のOL生活を送っていた。

「たまたま会社のそばにあったお菓子屋さんの教室に参加して、本格的なお菓子作りの面白さに目覚めたんです。そのころからお菓子作りを仕事にしたいなぁと思い始めました」

結婚してOLを辞めた本間さんは、家の近所のケーキ屋さんで働くことにした。しかし、プロの世界は思っていた以上にハードだった。

「新米主婦との両立はやっぱり無理があって、結局挫折しました」

でも、「好きなことを仕事にしたい」という本間さんの情熱は冷めなかった。そのあともお菓子作りの勉強を続け、1999年「atelier h」を立ち上げた。

「最初はカラーコピーで作った手製のパンフレットを友人知人に送って、『ぜひ食べてみてください』とお願いしたという感じです。そこから頒布会という形がスタートして、数年にわたってたくさん人に季節の焼き菓子をお送りしました」

その当時から「材料は国産で、できるだけ添加物の少ないものを使う」というポリシーは変わっていない。

「バターは使わないとか、砂糖は使わないとか、そういうことはありません。ただ、外で買うお菓子って味が濃いでしょう。少しならいいんですけど、お菓子を作るのが好きな人、お菓子を食べるのが好きな人は食べる回数も量もついつい多くなってしまう。ですから甘さも最低限に抑えるようにしています。ワンホールのケーキを焼くにしても、家で美味しく食べきれるようなレシピを心掛けているんです」

いい素材を使って、ていねいに作る、お店では買えないお菓子。それが「atelier h」のお菓子だ。

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OLYMPUS DIGITAL CAMERA月に一度自宅で「12か月のお菓子教室」をひらいている。少人数のアットホームな雰囲気の中で「atelier h」のお菓子作りが学べる

本間さんのお菓子には、美味しそうな季節の果物が使われる。イチゴ、レモン、ナップル、リンゴ、栗……。

「思わず皮まで残さず食べてしまいたくなるような果物ってあるでしょう。そういうのを見つけると、すぐに生産者の人に連絡をとって、毎年送ってもらうようにしているんです」

全国に広がる「美味しいものネットワーク」から取り寄せた素材を前に、それを使ってどんなお菓子をつくろうか、熱くなったオーブンのなかで生地がふくらんでいくように、本間さんの頭の中でもイメージがどんどんふくらんでいく。

「まずは味ですね。この素材を使って、こんな味を作るためには、どんな組み合せにしたらいいか。そこからスタートです。それが決まったら、じゃあどんな形にしようかと考えます」

お菓子のデザインは「プラス」ではなく「マイナス」。「シンプルだけど、ちょっとカワイイ。思わずマネしたくなるようなデザインが好き」だという。

anzu2_000【7月】杏のタルト

blue2【8月】ブルーベリーのミルクレープ

apple2_000【9月】りんごとサツマイモのパイ
*写真は「atelier h」のホームページから

もみじ市への出店は2年ぶり、3回目。今年のテーマ「カラフル」のために本間さんが用意してくれたお面は、なんと、本物のクッキー! (下の動画をご覧下さい)

「焼き菓子って、見た目がどうしても地味なんですよね。いろいろ悩んだけど、やっぱりみんなが大好きなクッキーかなと思って」

オーブンでこんがりと焼けて、満面の笑みを浮かべるクッキーくん。シンプルだけど、すごくカワイイ。「atelier h」のお菓子には、やっぱり笑顔がよく似合う。

【atelier h 本間節子さんに聞きました】
Q1 もみじ市に来てくれるお客様に向けて自己紹介をお願いします。
お菓子作りの「atelier h」です。人の手から生まれるものが好きです。着るもの、使うもの、もちろん食べ物も。食べた人をにっこりさせてくれるお菓子作りを教えています。

Q2 今回のテーマは「カラフル」ですが、あなたは何色ですか?
好きな色はグレー。いろんな色と相性がいいでしょう。

Q3 今回はどんな作品をご用意してくれていますか? また「カラフル」というテーマに合わせた作品、演出などがあれば教えてください。
わたしのジャムはシンプルに果物と砂糖とレモンだけで煮ます。少なめの砂糖でしっかり煮詰めて糖度を上げているから、おいしさがぎゅーっと詰まった濃厚なジャムが出来上がります。杏、ラズベリー、無花果、ブルーベリー、レモン、栗。初夏から秋にかけて、わたしがお気に入りの素材から作ったジャム。それを使って焼き菓子を作りました。この機会に楽しんでいただけたら嬉しいです。ちょっと地味な焼き菓子だけど、味わいはカラフルなのかなって思っていただけるような形に表現できたらと思います。

Q4 ご来場くださる皆さんにメッセージをお願いします!

さて、続いてご紹介するのは、あなたの顔をカラフルにしてくれるあの方です! 当日はフェイスペインティングであなたもカラフル人になりましょう!!

文●秋月康

てふてふとうんころもち「季節のお菓子と漫画(雑貨)」

たんぽぽの綿毛が風に揺れて、ふわっと舞い上がったような。
舞い上がった綿毛の周りを、淡い色の小さなちょうちょが飛んでいるような。
とおい春をなつかしみ、ぼんやり物思いにふけるような。

それは、どこまでもやさしく広がる風景。
てふてふとうんころもちには、そんな風景が、とてもよく似合います。

わたしは、おふたりのことを書こうとしたとき、「やさしい」という言葉をなるべく使わないよう、頭のなかで、それに代わる言葉をぐるぐる探してまわりました。けれど、この言葉ほど、おふたりにぴったり合う言葉を、わたしは知らないのでした。

とある8月の、照りつける太陽がとても暑い日です。わたしは、てふてふとうんころもちの取材をするため、自転車でご自宅まで会いに行きました。

メールでは、律幸さんが「こんな暑い日に自転車なんて、大丈夫かなぁ」と、しきりに心配してくれていました。たくさん汗をかいて、やっとご自宅に到着すると、やっぱりとっても心配そうな顔で、おふたりが玄関に出てきてくれました。それから、すぐにふんわりとした笑顔になって、わたしを迎えてくれました。初めて来たのに、田舎の親戚のおうちに遊びに来たような、そんな感じがしました。

それから、木でできた、小さなダイニングテーブルがある場所へ案内してくれました。腰掛けるとすぐに、陽子さんが、手作りの、冷たいパイナップルのソーダとマンゴーのムースを出してくれました。柔らかな光に包まれたなかで食べるムース。口のなかに入れると、ほんのりした甘さと、少しのすっぱさを残して、しゅっと溶けていきます。これが格別に美味しくて、自転車をこいだ疲れや外の暑さすら、すぐに忘れてしまいました。

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てふてふ」とは、お菓子作家である越川陽子さんのこと。ちょうちょモチーフが昔から好きだったのと、道を歩いてちょうちょを見つけたときのように「うれしいきもち」になるような、そんなお菓子を作りたいという想いから名付けたのだそう。陽子さんの佇まいや、表情、雰囲気もどこか、野原をふわりとかけまわる、小さなちょうちょのようでした。

陽子さんは、製菓の専門学校に通い、新潟のケーキ屋さんで一年働いたのち、上京。カフェで6年働き、その間店長などの経験を経て、独立しました。

「迷う余地もなく、お菓子を作ってきました」

とっても柔らかで静かな口調だけれど、陽子さんのお菓子に対する決意のようなものを、その芯のある言葉と、笑うとまあるく膨らむ、あかるいほっぺのうえに感じました。

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昨年のクリスマス。とある催しで、てふてふのアイシング・クッキーを買いました。靴下と、雪の結晶の形をしたクッキー。その可愛い小さなお菓子ひとつひとつに物語を感じ、あまりにも可愛すぎて、もったいない気持ちになって、ぎりぎりまで家に飾っていました。飾っているときも幸せな気持ちになったけれど、食べたときの幸せな味は、寒い冬の一日を温かく包み込むようでした。そこにはしっかりと、てふてふの“愛”があるような気がしました。

陽子さんの横で、穏やかに話を聞いているのは、漫画家の越川律幸さん。陽子さんとは、ご夫婦です。律幸さんは、いまや大人気の漫画「うんころもち」の作者。律幸さんの書く漫画は、人をおだやかにする小さな魔法です。

鉛筆で柔らかな線を描いたら、ぽんぽんと淡い色がのって、世界ができてゆく。「うんころもち」は、漫画のなかで、こんなふうに自己紹介しています。

ぼくの名前は 「うんころもち」さ
うんこか もちかは 分からないんだ
生まれた街は うんこロンドンさ
ぼくは うんこロンリーだから 旅に出ることにしたんだ

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ふんわりやさしく、たまにシュールでちょっとビター。うんころもちや他のキャラクターが繰り出すまさかの展開に、ふふふっと思わず口元が緩んでしまいます。うんこかもちかは、分からない。それはすべて、見る人に委ねています。

「みんなの生活に、すーっと入っていけたらうれしい。生活と一緒にあるものをつくっていきたいです」

律幸さんがそう言うように、うんころもちは、ファンタジーだけど、「わかる、わかる」と頷いてしまうような、日常の生活に寄り添ったお話ばかりで、読者が自由に想像できるような余白がたくさんあります。本を読んでみると、うんころもちは、ゆっくり生きながらも、いつも何かに悩んでいます。だけど、道を歩けば、ちょっと良いことがあったりして、「なんだか悪くないな」と思い、またゆっくりと歩き出す。

わたしは、うんころもちを読んでいると、日常のなかにある「ちょっとだけ気持ちがうごく瞬間」を、もっともっと見つけて、抱きしめてあげたい気持ちになります。

いっぱい悩んだり、ときにさびしくなったり、悲しくなったり、だれかのやさしさに触れたり。そういうことをたくさん知っていくうちに、うんころもちは、やさしく強くなっていく。まだまだわからないことはたくさんあるけれど、季節や人との出会い、別れを通して、少しずつ、いろいろな想いに触れる。そのひとつひとつのエピソードは、こころに寄り添いながら、わたしもうんころもちと一緒に、ゆっくりと歩いているような感覚になります。

10月末には、初めての絵本「うんころもち列車」を出版するという律幸さん。実は、この絵本は、一昨年のもみじ市にあわせて作った本を新たに描き直したもの。出版もちょうど、今年のもみじ市と時期が重なっていて、少し運命的な出来事なのでした。

今回のもみじ市では、てふてふとうんころもちのコラボレーションが見られます。今までにもたくさんコラボレーションしているおふたり。たとえば、こんなに愛らしい、うんころもちのアイシングクッキーは、見ているだけで幸せな気持ちになります。まるで、うんころもちや、ともだちの毛玉ちゃんがすぐにでも動き出しそう。今回はどんなコラボレーションが見られるのか、とっても楽しみで、想像するだけで、微笑んでしまいそうです。

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「誰かに喜んでもらいたい、楽しんでもらいたい」

てふてふとうんころもちの、そのピュアな想いは、美味しいお菓子や雑貨となり、あなたのもとへ、とんでゆきます。

それはまるで、野原を舞う、てふてふのように。
心にそっと寄り添う、やさしさという、おくりものなのです。

【てふてふ 越川陽子さんと、えちがわのりゆきさんに聞きました】
Q1 もみじ市に来てくれるお客様に向けて自己紹介をお願いします。
「てふてふとうんころもち」は、お菓子屋「てふてふ」とまんが家の「えちがわのりゆき」からなる二人組です。

Q2 今回のテーマは「カラフル」ですが、あなたは何色ですか?
僕らの色は、淡くて優しい色であれば良いなと思っております。

Q3 今回はどんな作品をご用意してくれていますか? また「カラフル」というテーマに合わせた作品、演出などがあれば教えてください。
今回は、うんころもち柄のカラフルな可愛い布バッグにてふてふのお菓子を詰めたものをメインで販売する予定です。そのほかにも、色々なお菓子やグッズもご用意しようと思ってます。

Q4 ご来場くださる皆さんにメッセージをお願いします!

さて、続いては大阪よりやってくる飛び出すパン屋さんの登場です!

 文●池永萌

POMPON CAKES「オーガニックでジャンキーなケーキ屋さん」

「よい週末を!」

自転車で街に現れたケーキ屋さんは、そう言って人々をうれしい笑顔に変えていく。“オーガニックでジャンキー”、そんなケーキを作るのは、鎌倉を拠点に自転車でケーキの移動販売を行う「POMPON CAKES」の立道嶺央さんだ。

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POMPON CAKESさんを初めて知った時、私は無性にこのケーキ屋さんに逢いに行きたくなった。それは美味しそうな“ケーキ”のせいなのか、私の地元にほど近い“鎌倉”を拠点にしているせいなのか、“自転車”で移動販売をしているせいなのか、はたまた何かで見かけた立道さんの“笑顔”のせいなのか。とにかく、無性に逢いに行きたくなった。

初めて会った立道さんは、まるで以前からよく知る近所のお兄さんのような人だった。「こんにちは」「久しぶり」と、顔なじみのお客さんも多く、多い時で12種類ほど用意するというケーキは、次から次へとお客さんの笑顔と共に消えていく。「たくさんのお客さんとお話をできるのが、商いをやっていて一番うれしいこと」と、箱にケーキを詰めている時も、お客さんとの会話に花が咲く。そして別れ際には「よい週末を!」と必ず声をかけてくれる。

家に帰ってケーキの包みを開けると、楽しかった一日の想い出と、立道さんが最後にかけてくれた言葉とが、ふわぁっと包みの中からあふれるようで、私をまた嬉しい気持ちにしてくれた。そして、その時食べたケーキの味は初めて食べた味なのに、どこか懐かしいような、じんわり暖かい気持ちになる味がした。

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POMPON CAKESさんのケーキは、アメリカンケーキがベースになっている。アメリカンケーキとは、パティシエが作る西洋菓子のそれとは違い、お母さんがおばあちゃんから受け継ぐ家庭の味のケーキ。POMPON CAKESさんのケーキは、お菓子研究家である立道さんのお母様のレシピを元に作られる、まさにホームメイドなアメリカンケーキだ。定番のチーズケーキ、キャロットケーキ、サバラン、ガトーショコラの他に、季節のフルーツを使ったレシピがなんと100種類以上もあるのだとか!

さらに、“毎日ぱくぱく食べられるケーキ”を広めたい、と言う立道さんのケーキは、無添加、国産、オーガニックの材料を使い、ひとつひとつ手作りで作られている。無添加だとパティシエが作るような見た目が繊細なケーキにするのは難しい。国産の素材だと原価はどうしても高くなる。さらにオーガニックとなると素材を探すのも一苦労だ。だけど「妥協しないでやっているうちにだんだん自分も楽しくなってきた。生産者さんのところに行って、直接買って作ることがとても楽しいことだと気づいた」と話してくれた。だから、同じ想いを持つ仲間と一緒に日本全国の色々な生産者さん訪ねてお菓子に使える素材を探す「素材探しの旅」はとってもとっても楽しくて、まだまだ行きたい場所がたくさんあるのだとか。

話が進み、もみじ市が開催される秋の話題になると、立道さんは本当に嬉しそうな顔をした。

「秋は、ものすごくおいしいものがたくさん。10月のことを考えるとワクワクしちゃうくらい。リンゴも出てくるし、栗も出てくるし、違った意味でのカラフルな部分、抜けた色ではないけれど、ちょっと落ち着いた色かもしれないけれど、味の豊かさのカラフルを持っていきますからね!!」

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たくさんのレシピの中から、もみじ市にはどんなカラフルなケーキを持ってきてくれるのだろう。みなさんも多摩川の河川敷で、手づかみでぱくぱくケーキを食べてませんか? POMPON CAKESさん、もみじ市初出店です!!

それでは、みなさん「よい週末を!」

【POMPON CAKES 立道嶺央さんに聞きました】
Q1 もみじ市に来てくれるお客様に向けて自己紹介をお願いします。
“鎌倉の街のどこかに突如あらわれる移動cake shop。無添加なアメリカンケーキを中心に販売しています。「オーガニックでジャンキー」を掲げて老若男女、毎日ぱくぱく食べられるケーキを作っています。

Q2 今回のテーマは「カラフル」ですが、あなたは何色ですか?
緑。インスピレーションを森や木から受けることが多いです。

Q3 今回はどんな作品をご用意してくれていますか? また「カラフル」というテーマに合わせた作品、演出などがあれば教えてください。
一生懸命、心をこめてケーキを作りますので、召し上がって頂けたらすごくうれしいです。秋はとても美味しい果物がたくさんあるので、美味しいケーキがたくさん作れると思います。たくさんの方とお話できるのが、この商いをやっていて一番うれしいことです。皆様にお会いできるのを本当に楽しみにしております!

Q4 ご来場くださる皆さんにメッセージをお願いします!

さて、続いては郷土玩具好きなあのイラストレーターさんの登場ですよ。

文●上村明菜