雑誌や書籍、雑貨などをフィールドに幅広い活動を続けるイラストレーター・松尾ミユキさん。もみじ市の“象徴”である、tico moonのCDアルバムのジャケットも、松尾さんが描いたイラストです。
もうすぐ4歳と2歳になるお子さんがいる松尾さん。子どもが生まれてから、描くイラストの雰囲気が変わって来たそうです。
「それまでは、雑貨や食器、インテリアなど無機物なイラストを好んで描いていました。とんがったカタチのものも多く、色も寒色を使うことが多かったんですよね。でも、子どもが生まれてから、植物や自然、動物など有機物を描くことが多くなりました。まるみのあるものを描くことも多くなり、暖色を使うことも増えました」
東京で6年間暮らしていた松尾さんですが、実は今年、東京以前に活動の拠点としていた名古屋に戻りました。そして今回、松尾さんはもみじ市に参加するにあたり、いま松尾さんの周りにいる“カラフル”な仲間たちの力を借りて何かをしたいと、なんとも楽しそうなたくらみを考えました。ここで、早速ご紹介しましょう。「白」「青」「ピンク」「赤」が似合う、カラフルな仲間たちと織り成す作品の数々をどうぞ!
白:コロンブックス
名古屋にあるブックサロン「コロンブックス」に松尾さんが抱くイメージカラーは「白」。松尾さんと滝村美保子さんとのユニット「les duex」が編集・制作をしていた伝説のリトルプレス『なごやに暮らす』のデザインや印刷を手がけていたコロンブックス代表の湯浅哲也さんは、紙やインクの組み合わせやデザインで、いつも表現を自在にしてくれるとのこと。「湯浅さんに頼めば間違いない!」と、湯浅さんの印刷技術やセンスに絶大な信頼を寄せている松尾さん。節目節目の大切なときには、必ず湯浅さんを訪ねるといいます。今回、そんな湯浅さんとのコラボ作品がもみじ市にやってきます。活版印刷で刷られた猫のイラストのポストカードは、猫の毛並みを確かめようと、思わず手を伸ばしてしまいます。
青:ミルブックス
名古屋出身の藤原康二さんが主宰を勤めるブックレーベル「ミルブックス」と松尾さんのコラボ商品は、いつも魅力的。今回は人気のコーヒー缶シリーズに、白熊・猫・白鳥の動物が加わり、多摩川河川敷へやって来ます。
(写真:手ぬぐい)
ミルブックスはスタートした当初「1000部限定」という出版スタイルをとっていました。松尾さんにとっては、その当時、出版していたきれいな青い本のイメージが強いそう。そんな鮮やかなイメージのような、空・大地・海の物をモチーフにした手ぬぐいもお楽しみに。
ピンク:suirenco
名古屋で活動を続ける「suirenco」の西尾淳子さんは、松尾さんの高校時代からのお友達。イベント等で、手づくりのお菓子を販売しています。今回、もみじ市のために松尾さんと西尾さんが作ったのは、かわいいイラストの箱に入った「贈り物クッキー」。素材を活かしたお菓子が得意なsuirencoが手がける、ほろほろ・ザクザク・プチプチと食感の異なる3種類のクッキーを包むのは、松尾さんのイラストが描かれた箱。松尾さんにとってのsuirencoのイメージカラーである「ピンク」をアクセントにして描かれました。ずっと居心地のいい関係が続いている松尾さんと西尾さんのように、クッキーを食べた後も傍にあったらうれしい贈り物になること間違いなし。イラストは2種類あるので、贈り物用・自分用にどうぞ。
赤:自家焙煎喫茶店「milou」(ミル)
手作りの懐かしい空間で、極上の深煎りコーヒーを楽しめる「milou」とのコラボレーションは、コーヒー豆の巾着袋。春になるとmilouの駐車場にやってくるツバメをモチーフにしたイラストの袋には、深煎りコーヒーの魅力にすっかり深入りしてしまったmilouの店主・鈴木義弘さんが厳選した珈琲豆が入っています。珈琲豆は、鈴木さんを自らが焙煎したもの。
店内のところどころにある「赤」が、松尾さんにとってmilouのイメージカラーです。
魅力的なカラー(個性)をもった、4組の作り手のコラボレーションは、松尾さんだから実現できること。ワクワクしないわけにはいきませんね。
いまの松尾さんの暮らしの周りにいる作り手と一緒に生み出される作品、いまの松尾さんの暮らしの中から生まれて来るイラスト。松尾さんの描くイラストは、松尾さんの“暮らしの挿絵”なのかもしれません。
【松尾ミユキさんに聞きました】
Q1 もみじ市に来てくれるお客様に向けて自己紹介をお願いします。
こんにちは、松尾ミユキです。雑誌や書籍を中心にイラストの仕事をしています。その他雑貨を作ったりもしています。
Q2 今回のテーマは「カラフル」ですが、あなたは何色ですか?
自分の色のイメージ ふつふつと燃えたぎる炎のような赤でしょうか。でも白でありたい、と思っています。
Q3 今回はどんな作品をご用意してくれていますか? また「カラフル」というテーマに合わせた作品、演出などがあれば教えてください。
テーマが「カラフル」ということで、今年はいろいろな人とのコラボレーション作品を用意しています。
私がずっと好きで通っている名古屋の喫茶店「ミル」のコーヒー豆と、それを入れるイラストを施した布の巾着のセット。
名古屋のお店やイベントなどでお菓子を販売しているsuirenco(スイレンコ)の3種類のクッキーをイラストボックスに入れた贈り物クッキー箱。
名古屋出身の藤原氏が主催する出版社ミルブックスとのコラボレーションで作ったコーヒー缶とてぬぐい。
作っていたリトルプレス、「なごやに暮らす」を印刷してくださっていたコロンブックスの湯浅さんに、イラストに合う紙やインクを選んでもらい作ったポストカード。
Q4 ご来場くださる皆さんにメッセージをお願いします!
さて、続いては、日曜日にしか開かないあのお菓子屋さん! もみじ市では土曜日にもオープンしてくれるらしいですよ!
文●小木曽元哉