「チーズはお漬物だと考えてほしい」
フランスチーズ鑑評騎士(シュヴァリエ・デュ・タストフロマージュ)の資格を持つ“カオリーヌ”こと、かのうかおりさんの言葉に、「へ?そんなんでいいの?」と力が抜けていきました。まるで、ちょっと遠い存在で憧れのあの子の意外な一面を知り、ぐっと距離が縮まった時のように…。
ピンチョス、チャコリ、ガルビュール、マミア、ガトー・バスク、バカラオ・アル・ピルピル… 、何かの呪文のようにも聞こえるこの言葉たち。気になったあなた、さては食いしん坊ですね! これらはすべて、バスク地方の食べ物(料理)。スペインからフランスにまたがるバスク地方は、まさしく食の聖地。世界中の食いしん坊たちはバスクに吸い寄せられるように、食の巡礼に出かけるのだとか。海あり、山あり、渓谷ありのバスク地方は、ワインにチーズ、生ハムに魚介、新鮮な野菜にフルーツなど、あらゆる食材が豊富。お菓子もおいしい。家庭料理もおいしい。バルでのちょい飲み・ちょい食べも最高。食いしん坊たちのお腹と心を満たしてくれる、素晴らしい場所なのです。カオリーヌさんも(実は私も)、そんな懐の深いバスクにすっかり魅了されてしまった食いしん坊の一人なのです。
2002年、恋人(現在のだんなさん)の友人がバスクで料理の修行をしていたところを一緒に訪ねたのが、カオリーヌさんの初バスク。その頃はバスクに一目惚れというよりも、好きな旅先のひとつくらいだったとか。でも、バスクってじわじわ来るんです。そう、友達だったのがいつの間にか好きに…というタイプ!
カオリーヌさんのお父さんのご実家は、壱岐の焼酎酒蔵。それもあってか、大学時代、カオリーヌさんは酒の肴にぴったりの「いかの塩辛」の研究をしていたそう。焼酎&塩辛からワイン&チーズへ興味は広がり、チーズスクールにも通い、「結婚して自由になったの」というカオリーヌさんは、だんなさんを日本に残してフランスへ旅立ちます。チーズ農家に住み込みでチーズ作りを学び、パリではチーズの販売も経験。帰国後は、チーズ講座と料理教室の『カオリーヌ食堂』と、チーズケーキ等を販売するWEBショップ『カオリーヌ菓子店』を立ち上げ、お子さんを育てながらもバスクを再訪したりと、楽しくパワフルにチーズの旅を続けています。
「チーズは派手なものでなくていい。お漬物なんだから」
そう語るカオリーヌさんが今年のもみじ市のために準備しているのは“チーズのためのジャム”。
バスクの伝統的なチーズの食べ方は、「羊のチーズに黒サクランボのジャム」の組み合わせ。
それをヒントに、このチーズにはこのジャム、あのチーズにはあのジャムという具合に、数種類のおいしい組み合わせを提案してくれるとのこと。フルーツやスパイスを使ったジャムそのものがおいしそうなのに、チーズと一緒になるとどんな世界が待っているのでしょう?百聞は一食にしかず。確かめるしかありません!
他にも、カオリーヌといえばこれ! の「ブルーチーズのチーズケーキ」や、発泡水「サンペレグリノ」も並ぶ予定。多摩川河川敷に1日だけ姿を現すカオリーヌのバスク食堂へ、一緒に旅に出ましょう!!
【カオリーヌ・かのうかおりさんに聞きました】
Q1 もみじ市に来てくれるお客様に向けて自己紹介をお願いします。
チーズのフィールドワーカー(野外調査人)、カオリーヌ・かのうかおりです。
Q2 今回のテーマは「カラフル」ですが、あなたは何色ですか?
ワイン色!商いのラッキーカラーです。好きな色は緑や青。
Q3 今回はどんな作品をご用意してくれていますか? また「カラフル」というテーマに合わせた作品、演出などがあれば教えてください。
チーズのための“カラフル”なジャムを持っていきまーす。お楽しみに♪
Q4 ご来場くださる皆さんにメッセージをお願いします!
さて、続いては国立の伝説のたいやき屋さんの登場ですよ。美味しい焼き菓子と一緒にどうぞ召し上がれ。
文●小澤亜由美