激しく、そして儚い2日間が終わりました。
目を閉じると、あまりにもたくさんの出来事がよみがえってきます。
開催の一週間前くらいから、天気予報を何度も何度も確認していました。ところが、もみじ市の2日間の予報は、日に日に悪化していくばかり。次に予報を見る時は、よい方に変わっていますようにと祈る毎日。現状を信じたくない、でも受け入れて対策を練らなければならないという、それはそれは、心臓が張り裂けそうな日々でした。
それでも信じていました。
2年ぶりのもみじ市は、きっといつもの河原で実現できると。
10月19日、早朝。広い河原の真ん中に立ち、東の空がうっすらとオレンジ色に光ってい様子をみたとき、「よし、今日は大丈夫だ」と確信しました。遠くからは、作家さんたちが、ひと組、またひと組と大きな荷物を抱えてやってきます。この半年間、この日のために同じ方向に向かって進んで来た、全国の作家さんたちが。
そして、全出店者が集まっての朝礼。オープン前からこの日を待って下さったお客様の長い長い行列。これだけの大好きな人たちと一緒に、またここでもみじ市ができるんだと思ったら、もう嬉しくて、ほっとして。感極まってしまったあの時、あの景色を、私はきっと忘れることはないと思います。
広い空と芝生。素晴しき作品とおいしい食事、ここちよく流れる音楽。走りまわる子どもたち。笑顔で会話する、作家さんとお客様。そう、これがもみじ市なのです。
1日が終了するとき、決めていました。明日の予報は雨。京王閣に移ろうと。その日のうちに、出店者さんとスタッフたちに伝えました。せっかく建てたお店も、河原に運び込んだたくさんの荷物も、すべてをきれいに片付け、移動し、組み立て直し。1日走りまわって疲れた体には、少し残酷な決断だったかもしれません。ただ、この状況に、苦言を漏らす人は誰ひとりとしていませんでした。むしろ、やってやろう、雨でももみじ市はできることを証明しよう、そんな意気込みさえ感じられる雰囲気がただよっていました。
10月20日、早朝。冷たい雨が降り注ぐなか、再びゼロから準備を始める、出店者とスタッフたち。もちろん、たいへんではあったのですが、それと同時に雨でも開催できることに、私は喜びを感じていました。2年前、中止になったときの苦しさを思ったら、雨の中だって走れる。
そして、その喜びに拍車をかけてくれたのは、こんな雨にも変わらず、外には驚くほどにたくさんのお客様が並んでくれていたことです。お目当ての作家さんのブースを訪ね、買い物と会話を楽しむ人、ワークショプを楽しむ人、ライブを聴きながら食事やおやつをほおばる人。いつもより少し狭い会場は、雨にもかかわらず熱気に満ちていました。これも確かに、もみじ市でした。
いつものように、最後を飾るのはtico moonの演奏です。もみじ市をきっかけに作られた曲『Raspberry』を聴き、舞台にヒラヒラと揺れるnuriさんの装飾をぼんやりと眺めながら、私は、大きな安堵の気持ちに包まれていました。
よかった。無事に終わって。
いま、私の心はもみじ市が再び実現できたことへの、感謝の気持ちでいっぱいです。敬愛なる作り手のみなさん、やっぱり私はあなたたちの作品とあなたたちが大好きです。雨の中走りまわってくれたスタッフたち、みんながいなかったらもみじ市の成功はありませんでした。半年間、この日の為に準備を進めて来た事務局の仲間たち。大きな苦難を一緒に乗り越えられて、ほんとうに良かった。そして何よりも、あの大きな会場でも、雨の中でも、もみじ市を楽しんでくださったお客様へ、感謝の気持ちを捧げます。
この先、もみじ市がどうなっていくか、いまははっきりと言葉にすることはできませんが、心のなかでは、また何かが動き出しています。きっと、新しいもみじ市が生まれそうな、そんな予感です。
それをきちんとお伝えすることができる日まで。
さようなら。
そして、
ありがとうございました。
もみじ市実行委員会事務局 渡辺洋子