取材の本題そっちのけで話が盛り上がり、その人に興味が出てきてしまって、聞かなきゃいけないことを忘れてしまったりする時がたまにある。でも、これ、すこぶる楽しいんです。今回の取材は完全に、このパターンでした。
今回ご紹介させていただくのは、フォトノスタルジアを営む金子洋一さん。フォトノスタルジアは35mm、中判カメラ、二眼レフカメラ、トイカメラなどのフィルムカメラを販売するフィルムカメラ専門店。今、お店の移転を計画中で、現在は手紙舎2nd storyでの販売とイベントでの販売などをメインにしています。
金子さんにお店を始めたきっかけを尋ねると、軽やかに当時のことを語ってくれました。
「うちの実家は八百屋さんだったんです。それで、当時これからくるぞと思ったコンビニの展開を始めました。それから、子供が生まれたこともあって写真を撮るようになって、フィルムの現像に出す機会が増えました。それで、これはいい商売になるぞ! とフィルムの現像のチェーン店の経営をしました。根っからの商売人なんでしょうね(笑)。でも、当時は現像なんかしたこともなかったし、お客さんから現像のことを教えてもらったりしてね。そうこうしてるうちに、写真に詳しくなっていきました。そして嫁さんの実家にヤシカのカメラがあって、古いのにすごくキレイに撮れてびっくりして、ヤシカを集めるようになりました。それでお店にもカメラを置くようになって、お客さんと盛り上がっていって…」
と、ここまでが、売るものが「野菜」から「カメラ」になるまでの物語。さらに話は続きます。
「それから友達がビレッジバンガードのFCをしていて、これもいいなと思ったんですけど、資本がたくさんいるからって諦めて(笑)。でも、その友達がきっかけでビレッジバンガードに古いカメラとか珍しいトイカメラなんかを卸すようになったんです。それがうけてね」
当時はまだ、トイカメラとかカメラ女子なんていう言葉がない時代。金子さんはいち早くその可能性に気づいたのです。
「その後、カメラ女子ブームの火付け役となった雑誌『カメラ日和』のライターさんから取材の連絡が入り、トイカメラなどの珍しいカメラを紹介する連載が始まって、通販も始めたら反響が大きくてね。今に至るわけです」
どうですか、このバイタリティ。時代の流れをキャッチして、それをおもしろがり、自分のものにしていく。
「最近ね、車を買ったんですよ!」
嬉しそうに携帯のアルバムを見せてくれる金子さん。そこにはレトロなフィアットチンクェチェントが。とってもかわいい!
「レトロカーも好きでね。古いものはいいですよ。古い物こそ修理すれば直りますし、残していけます。壊れることもありますけど、それはご愛嬌。便利さだけではおもしろくないですからね」
興味が尽きませんねと金子さんに言うと、
「結局ね、僕は人が好きなんですよ。フィルムカメラにしても、レトロカーにしても、それ自体もちろん魅力に溢れてますけど、それを好きでいて、いろいろな所に行くと人と繋がっていく。それが一番楽しいんですよ」
金子さんの真骨頂がこれなのだなと納得。フィルムカメラをどんなモノとして捉えるかは人それぞれだと思いますが、フィルムカメラも、レトロカーも、つまりは人との繋がりを広げてくれ、楽しみを増やしてくれ、自分の世界を広げてくれる、人生を楽しむためのきっかけなのかもしれないと思いました。
おっと! 取材につられて、本題を忘れるところでした。もみじ市では、金子さんが集めたフィルムカメラたちの他に、周辺機材、そして、アンティークなフィルムカメラにぴったりのトランクも。オリジナルのストラップも持ってきてくれるとのことなのでお楽しみに。フィルムカメラはもちろん。もみじ市で大好きなものを見付けて、それをきっかけに人の輪が広がって、みなさんの人生が豊かなものになりますように!
【フォトノスタルジア 金子さんに聞きました】
Q1 もみじ市に来てくれるお客様に向けて自己紹介をお願いします。
フィルムカメラ専門店「フォトノスタルジア」です。今は移動販売やイベントを中心に展開しています。
Q2 今回のテーマは「カラフル」ですが、あなたは何色ですか?
お店のロゴもそうなのですが、テーマカラーにもなっているグリーンです。
Q3 今回はどんな作品をご用意してくれていますか? また「カラフル」というテーマに合わせた作品、演出などがあれば教えてください。
フィルカメラ、三脚などの機材とフィルムカメラに合うアンティークトランクを販売します。カメラは黒かシルバーの単色なので、オリジナルのストラップを制作して、カラフルなものを用意しようと思っています。
Q4 ご来場くださる皆さんにメッセージをお願いします!
さて、続いてご紹介するのはメインビジュアルを手がけてくれたあの人たちですよ! さぁ、みんなあつまれ〜!
文●竹内省二