成城・城田工房「自家製ハム・ソーセージ」

いつもそこにいてくれるからほっとする人。それは、毎日顔を合わせる家族だったり、あるいは友だちや恋人だったり。誰もがその存在に助けられ、支えられ、生きている。そして、その存在のために何かをしたい、してあげたいと想う。手紙社にとって彼は、まさにそんな存在だ。

もみじ市をはじめとする手紙社のイベントでは、必ずと言っていいほど彼の笑顔に会うことができる。あ、今回もいるな。それがわかると、私はつい嬉しくなってしまう。そして、いつものようにこう言うのだ。

「うずまきちゃん、ひとつください!」

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彼はニコっ、ともニヤっ、とも言える笑顔で、手際良くうずまきちゃんを炭火の上の網に乗せる。うずまきちゃんが焼ける香ばしい匂いが漂ってくる。あぁいい匂いだな、お腹空いたな。そう思いながら、ちらちらと匂いのする方に視線を向けつつ彼とおしゃべり。そろそろ焼けたかな? まだかな? せっかちな私のきもちが伝わったよう。炭火の熱といい匂いをまとった焼きたてのうずまきちゃんが手渡される。あつあつのそれを頬張ると、ぱりっとした歯ごたえの後に、じゅわーっと溢れんばかりの肉汁が口の中に広がり、ニヤっとせずにはいられない。生きてて良かった! 大袈裟なようだが、ついついそう思ってしまうほど幸せな瞬間なのだ。

みんなを幸せにしてくれるアイドル、うずまきちゃん。それは、長い1本のソーセージをぐるぐるに巻いて棒にさした、まるでキャンディーのようにかわいらしいソーセージのこと。見た目のかわいらしさとは裏腹に、おいしい豚肉がぎゅっと詰まっていて、ボリュームたっぷりの1本なのだ。このソーセージの生みの親が、「成城・ 城田工房」の城田豊仁さん。狛江市にハムとソーセージの専門店を構えながら、手紙社のイベントや地域のお祭りに出店しては、その笑顔と共にうずまきちゃんを私たちに届けてくれる。

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城田さんの作るハムやソーセージは、とことんおいしい。朝ごはんのパンにも合うし、ビールのお供にもなる。そのおいしさの秘密のひとつが、“時間”。私たちがスーパーなどでよく見かける一般的なハムは、「ファイブラスケーシング」と呼ばれるケーシングで整型・製造されている。そして専用機械を使い、数日間という短期間で、綺麗な丸型のハムを大量に作ることができるという。しかし、城田さんはそれを使わない。昔ながらの「布巻き」と呼ばれる手法を用い、2週間以上という長い熟成時間と手間隙をかけて、丁寧にハムを作っている。

「布で作ると形は少しいびつになってしまうんですけどね。でも、布で作ることで、肉の風味が増して、味わいもしっとりと良くなるんです。布でしか作り出せない、おいしいハムになるんですよ」

そう言いながら見せてくれたハムは、まん丸ではなくて少し楕円の形をしている。けれど、お肉の味をぎゅっと閉じ込めているピンク色と、口に入れたらとろけてしまいそうな脂身の白色がとてもきれいで、時間と手間をかけて大切に作られたていることがわかる。おいしそうなのだ。

群馬県吾妻郡の片桐農場から毎週お店に届けられる原料の豚肉は、農大時代の友人が井戸水と安全な飼料で丁寧に育てているもの。それを、約半分はハム類に、残り半分はソーセージに加工している。お肉の下処理から、加工・燻製まで自らの手で行っており、保存料・増量剤・着色料などはいっさい使用しない。

「とにかく、安全でおいしいハムやソーセージを作りたいんです。ただそれだけなんです」

シンプルなその想いが、城田さんのハムやソーセージに込められている。だから、城田さんのハムやソーセージを食べると、おいしいのはもちろん、贅沢な感じがするのかもしれない。

実家が喫茶店を営んでおり、自分も商売の道を進むのだろうと考えていた城田さん。大学を卒業してからは、大手ハムメーカーや日本各地のお店でハムやソーセージの作り方を学んできた。その後、念願のお店を構え、今年の7月で5周年を迎えた。

お店がオープンした3日後に手紙社のメンバーと出会い、その年から毎年もみじ市に参加してくれている城田さん。手紙社にとっても、もみじ市にとっても、城田さんとうずまきちゃんは、なくてはならない大切な存在なのだ。

5周年のお祝いには、「ありがとう」の気持ちを込めて、手紙社のメンバーが巨大うずまきちゃんをプレゼント! 今では、城田さんが出店するところには相棒のように連れて行くというこのうずまきちゃん。もちろん、もみじ市にもやってきます! 広い会場でも目立つこと間違いなしのこの大きなうずまきちゃんを目印に、城田さん特製の、もみじ市でしか食べることができない“カラフルうずまきちゃん”を食べに来てくださいね。

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【成城・城田工房 城田豊仁さんに聞きました】
Q1 もみじ市に来てくれるお客様に向けて自己紹介をお願いします。
群馬県吾妻郡で、学生時代の友人が大切に育てた安全な豚肉を使わせていただき、必要最低限の添加物で、じっくり熟成させ、手間隙かけて、「生きていくため」ハム&ソーセージを作っています。

Q2 今回のテーマは「カラフル」ですが、あなたは何色ですか?
うずまきちゃん色です。うずまきちゃん色に染まって、生きていくためにしゃかりきに売っちゃいますよ~!

Q3 今回はどんな作品をご用意してくれていますか? また「カラフル」というテーマに合わせた作品、演出などがあれば教えてください。
今年も、もみじ市オリジナルのうずまきちゃんをたくさん持っていきますよ! カラフルかぁ、何がいいかな。トマトの赤、黒こしょうもいいし、カレーの黄色もいいよね。楽しみにしていてください。

Q4 ご来場くださる皆さんにメッセージをお願いします!

続いてご紹介するのは、パンとワインをこよなく愛するあのチームです!

文●高松宏美