mitome tsukasa「真鍮・ブロンズ・シルバーのアクセサリー」(20日)

「ただそこに静かにあるような、飾り立てるのではなく、そっと寄り添うようなアクセサリーを作りたいんです」

作家活動を始めて今年で10年目になるmitome tsukasaさん。落ち着いて、でも生き生きとした口調で、そう語ってくれました。

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mitomeさんは、大学で金工の1つである鋳金を専攻し、この世界に入りました。

「絵は手で描くけれど、結局は眼で観るもの。それに対し、工芸品は触れることができる。そういう結実の仕方がいいなと思ったんです。美術館に行っても、通常、絵は触れない。工芸品のように人が使うものは、実態を確認できる。ガラスや陶器は割れてしまうことがあるし、染織品は色褪せてしまう。その頃は、変わっていくことが悲しすぎて耐えられなかったので、少しでも丈夫で残していけるものを作りたかったんです」

鋳金とは、型を作って、溶けた金属を流し込む、金属工芸の技術のひとつです。型を作ればまた再生できることから、mitomeさんは永遠につながるもの、と考えました。「1点ものだと私の性格では、手放せなくなってしまう」。型を用いて作品を作って行くことはまるで、分身を作って行くような作業。ひとつひとつにmitomeさんの想いが詰まっています。

とはいえ、簡単なものではありません。作品が完成するまでは、いくつかの工程があります。まず、直径1mmの線状のロウで、原型を作っていきます。気温が高ければ溶けてしまい、低ければ簡単に折れてしまう繊細なロウ。少しずつ少しずつ曲げたり切ったり、ハンダゴテでくっつけたりしながら形作っていきます。それを工場で鋳造してもらい、それをやすったり磨いたりして形を整えた後、シリコンゴムで型をとります。その型を使い、ロウで“分身”を作ります。それらを再び鋳造してもらい、形を整えて、初めて、作品が完成するのです。

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また、成分や配合も指定して金属にしています。通常の美術鋳物のブロンズには、ごく少量の鉛が含まれますが、mitomeさんは、鉛が0になるものを選び、かぶれにくいようになど気を付けて、真鍮、ブロンズ、シルバーの特徴をそれぞれ生かしながらアクセサリーにしています。 

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葉山で生まれ育ち、ご自宅の敷地内にあるアトリエで制作するmitomeさん。海の香りが漂いながらも、山の緑に囲まれている、この場所だからこそ生まれている作品もたくさんあります。日々歩いているときに出合う、木々や草花たち。観たもの、感じ取った空気などから、世界観を拾ってきます。

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8月。mitomeさんの個展に伺いました。acacia、lilac、dahlia、elder flower、sirakabaなど植物をモチーフにしたもの、flow、spangle、mizu、doily、arabesqueなど現象や模様をモチーフにしたもの、その他にも目移りしてしまうほどにたくさんの種類のピアスやイヤリング、ネックレス、ブレスレット、リングなどが並んでいました。私が迷っていると、mitomeさんがそっと似合うものを選んでくださいました。つけているとやさしい気持ちになれる、毎日つけたくなるようなアクセサリーです。

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「つけているのを忘れてしまうくらいのものがいい」

mitomeさんが自然の中で出合う空気が織り込まれているから、私たちの日々にもそっと溶け込むような作品になるのかもしれません。いっしょにいたくなるような、毎日の暮らしに馴染んでいくようなアクセサリーを探しにいらしてください。mitome tsukasaさんは20日のみのご出店ですので、お間違えありませんように。

【mitome tsukasaさんに聞きました】
Q1 もみじ市に来てくれるお客様に向けて自己紹介をお願いします。
金属でアクセサリーを作っています、mitome tsukasa と申します。金属だけど、やわらかいようなあたたかいような…、そんな風合いになるよう心掛けて、制作をしています。

Q2 今回のテーマは「カラフル」ですが、あなたは何色ですか?
葉っぱが重なってできる緑色。透明が重なってできる青色。

Q3 今回はどんな作品をご用意してくれていますか? また「カラフル」というテーマに合わせた作品、演出などがあれば教えてください。
真鍮・ブロンズ・シルバーの、ピアス・ネックレス・ブローチ・リングなどいろいろ。定番のものが多いですが、わたしなりのカラフルな空間の中にずらーっと並べて、いつもと違う表情を感じていただくことができたらいいなと思っています。お選びいただいたアクセサリーは、カラフル巾着袋に包んでお渡しいたします!

Q4 ご来場くださる皆さんにメッセージをお願いします!

さて、続いてご紹介するのは、あの活版印刷ユニットです! 毎回さまざまなワークショップを行なってくれるこの方々。今回はどんなワークショップをご用意してくれているのでしょうか。

文●鈴木 静華