DOM.F..「会場装飾」

もみじ市初日の朝、多摩川河川敷に様々な植物を積み込んだボックス型の軽自動車が一台到着し、ひとりの男性がそこに降り立つ。まだ、テントの設営も始まっていないころ。河川敷は、無言で彼の前に広がっている。そこで彼は何を聞くのだろう。何を見るのだろう。会場に着いた瞬間から、頭の中で渦巻いていた彼のインスピレーションは外に開かれる。彼にとっての、もみじ市の幕が上がる瞬間だ。 

彼とは、小田急線の喜多見駅で「DOM.F..」という名の花屋さんを営む迫田憲祐さんのこと。第1回のもみじ市から、会場の装飾は全て迫田さんとその仲間たちの手によってほどこされている。

迫田さんが事務局スタッフと打ち合わせをすることは、ほとんどない。テーブルを囲み、図面と資料を広げて、「では今回の会場の説明から…」なんてことは、全くしない。直接会って話すことがあっても、迫田さんのお店で立ち話をするくらいで、電話だけですますことも珍しくない。テーマと装飾してほしい場所だけ伝えて、あとはただ「任せる」。それだけだ。どんなものができ上がるかは、当日、完成した装飾を目にするまで、事務局の誰も知ることはない。不可能だ。なぜなら、迫田さん自身が明確な完成像を描いていないのだから。先に頭の中で考えてしまうと、現場で思った通りのものが作れなかったときに、一度イメージを全て壊して組み立て直さないといけないのだそうだ。だから、現場に行って、その場で考える。事務局の誰もが迫田さんのインスピレーションを信頼し、期待している。

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もみじ市が1年なかった間に、もみじ市の運営母体である手紙社は数々のイベントを主催した。そこでも、迫田さんの装飾が会場を彩った。 

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例えば「東京蚤の市」。11月に開催された回では、クリスマスにちなみ、もみの木を切り出して会場まで運んだのだそうだ。そしてそのもみの木を、会場の中央に立てた……のではなく寝かせたのだ。そのインパクトは強烈で、会場の中でひときわ存在感を放っていたのは言うまでもない。 

いつも手紙社のイベントに関わってくれながらも、手紙社の中にはまだ、迫田さんとまともに会話をしたことがないスタッフもいるらしい。風のように現れて装飾を仕上げ、完成した後は風のように去っていく(実は会場にいることもあるらしいが、姿を見ることはない)。たぶん、どうやら、シャイらしい。

「いつ話しかけても、『ふーん』『へー』という返事なんだよね。『これは作るの大変だったんじゃないですか?』という質問をしても『まあねー』って。いつもペースが変わらないの。でも、誰よりも早く来て植物を組んでいる横顔は、すごく真剣なんだよね」(事務局M) 

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前回、2年前のもみじ市のテーマは「末広がり」だった。会場には神社が登場し、迫田さんには入り口に鳥居を立ててもらうようにお願いした。どんなテーマにも対応してくれる、発想の幅の広さ。普段、街角でディスプレイなどの装飾を見かけると、足を止めて観察するようにしているそうだ。努力家。仕事熱心。本人にそんな言葉を投げかけたら、どんな反応をするのだろう。「まあね」と、やはりそっけないのだろうか。

そして今年、事務局が迫田さんに提示したテーマは「カラフル」。装飾してもらうのは、これまでと同じ会場の入り口と、ステージ周りと、手紙の木。(※手紙の木の原稿にリンク貼ってほしいです)ただ、いつもと違うのは、会場が今年から2カ所に増えたこと。そして、ステージの装飾には、ある作家さんが作った、あるもの(今年、最後の紹介ブログで登場します)を使うこと。

「課題が与えられて、楽しいみたい。一年お休みしたことで、もみじ市スイッチが入りなおしたのかも」(事務局W)

はたから見れば無茶なお願いも、しぶしぶ引き受けてくれる迫田さん。「しょうがないな」と言いながらも、心の中では楽しんでくれているのだ。もみじ市を愛してくれていることは、完成した装飾を見れば、誰にだってわかるから。

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もみじ市まで、あと3日。いま、迫田さんの頭の中に渦巻いている様々なイメージ。それがどんな形になって現れるのか、それは、当日になるまでは本人にもわからない。10月19日の朝、2年ぶりに多摩川の河川敷に迫田さんが立つ。そのとき、河川敷はどんなインスピレーションを彼に与えるのだろうか?

ぜひ、もみじ市の会場で、確認してほしい。

【DOM.F.. 迫田憲祐さんに聞きました】
Q1 もみじ市に来てくれるお客様に向けて自己紹介をお願いします。
(* ̄ー ̄)y-


Q2 今回のテーマは「カラフル」ですが、あなたは何色ですか?
(* ̄ー ̄)y-~~~~~~


Q3 今回はどんな作品をご用意してくれていますか? また「カラフル」というテーマに合わせた作品、演出などがあれば教えてください。
(*ー_ー*)zzz

さて、続いてご紹介するのは、日本刀のように研ぎ澄まされた木工作品を生み出すあの人です!

文●吉田茜