まっちん・町野 仁英 「おやつや まっちん」

甘い話に気をつけろ! というけれど、気をつけなくてもいい甘い話だってあります。それは、和菓子職人まっちんこと町野仁英さんの手から生み出される、おやつの話。

「和菓子っていうと堅いイメージがあって、食べてくれる人が構えてしまうかなと思ったんです。みんなで囲んで食べられて、和んでもらえるような、そんなおやつを作りたいんです」

まっちんは和菓子を独学で学びました。全国の和菓子屋をまわって技を見て学んだり、レシピを汲みほどいて、何度も何度も実践を重ねました。こうした経験を通して、まっちんは、素材の魅力の引き出し方と、技術を習得して行きました。

◆ まっちんにだからこそ生み出せるおやつ

素材の魅力を存分に引き出せるまっちんにだからこそ、生み出せるものがあります。

「和菓子という文化を大切にしながら、型にはまらない、自分にしか作れないおやつを作ろうと思いました。自分が食べたいおやつを考えた時、素材の味を活かした、栄養価の高いものだったので、和菓子ではあまり使われない全粒粉や玄米、粗糖を取り入れることにしたんです」

大地の実りがぎっしりと詰まったまっちんのおやつは、素材そのものが持つ本来の味や自然の甘さを、しっかりと感じることができます。

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今年、まっちんは初めての書籍を著しました。その名も『まっちんのおやつ』。

「だれでも気楽においしく作れるということを伝えたくて、どの家庭にもあるような材料で作れるレシピを考えました」

シンプルで簡単だけど飽きのこない、おいしくてやさしい味が詰まった一冊には「特別なものじゃなくて、日常のおやつとして、みんなに作ってほしい。おやつって、いいなぁって思ってほしい」というまっちんの想いが込められています。

◆ しあわせの塊

まっちんの技術、知識、経験、そして想いがぎゅ〜っと詰まった、この上ないおやつ。

わらびまんじゅうもその中のひとつです。

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何なんでしょう、ぽってりしたこの魅惑の塊は。人は、このぽってりした塊を「わらびまんじゅう」と呼んでいます。香り高いきな粉の下には、みずみずしくてぷるんぷるんなわらび餅。さらに、そのモチモチぷるんな食感の中から顔を出す、上品な甘みのこしあん。思わず、ため息まじりの「おいしぃ〜」が飛び出しちゃいます。全ての素材から、自然の甘味が風味として口の中にふわっと広がる、あの感じ。何なんでしょう、あの感じは。あの、思わず口角が上がって、ニヤっとしてしまうあの感じ。人は、あの感じを「しあわせ」と呼んだらいいと思います。

◆ 30年後のおやつ作り

まっちんの作る生菓子は他の生菓子と比べ、保存期間が短くなっています。これは、自然の甘さを引き出すために、糖度を極力落としているから。

「自分のおやつを全国の人に食べてもらいたいけど、生菓子は賞味期限がシビアなので……」

そこで生まれたのが「大地のかりんとう」です。

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全粒粉と厳選した卵を使用した、ザクザクとした噛み応えのあるかりんとうは、噛めば噛むほど口の中に甘みが広がります。

「親子三代に渡って食べられる『30年後のおやつ作り」をテーマにして、開発に開発を重ねました』

素朴な味だけど、きめの細かい丁寧な味。『30年後のおやつ作り』というだけあって、これはおやつタイムの定番になりそうです。おじいちゃん、おばあちゃん、おとうさんにおかあさん、おにいちゃんにいもうと、みんなの中心にある、いつのまにか増えた家族のようなおやつ。「おとうさんが小さいころ、こんな話があってね」とか「今度の日曜日どこ行こっか」とか、いつも会話の真ん中にいる。「大地のかりんとう」は、そんなイメージが浮かぶような、誰かと一緒に食べたくなるおやつです。

まっちんの作るおやつは、「おいしい」を生み出すのはもちろん、みんなでおやつを囲む楽しい時間を生み出してくれます。大切にしたいそんな時間を、さりげない甘さで日常のワンシーンにしてくれるまっちんのおやつ。

まっちんのおやつが届いた先に、おいしくて、楽しくて、うれしくなってほっぺが弾む、そんな甘い話が待っています。

【まっちん 町野 仁英さんに聞きました】
Q1 もみじ市に来てくれるお客様に向けて自己紹介をお願いします。
はじめまして!お久しぶりで! まっちんこと町野仁英です。

三重県伊賀上野にて10年前に「和菓子工房まっちん」をオープン。後に岐阜市の和菓子屋「ツバメヤ」の立ち上げをきっかけに岐阜市に移り住み、現在は「山本佐太郎商店」で商品開発・販売を行いながら、岐阜市長良で月に一度のお店「おやつや まっちん」や、全国各地で まっちんのおやつ会を開催してます。

Q2 今回のテーマは「カラフル」ですが、あなたは何色ですか?
白と紺色がまっちんカラーです。

Q3 今回はどんな作品をご用意してくれていますか? また「カラフル」というテーマに合わせた作品、演出などがあれば教えてください。
今年は2年ぶりのもみじ市復活をこめ…

・復活! 「わらびまんじゅう」

・復刻! きりん屋&まっちんコラボ商品 (もみじ市限定モデル)
「まるける」
「餡バターサンド」
※パンの販売終了後にきりん屋ブースにて販売開始

・素材が命!
「大地のかりんとう」
「おいも泥棒」
「うのはな日和」
「まっちんのつぶつぶ粒あん」

・魂の一冊! 「まっちんのおやつ本」

もみじ市ならではの想いをこめて…自身のおやつをイメージとしたカラーと、もみじ市でしか味わえない華やかな演出でバッチリ決めたいと思います。

Q4 ご来場くださる皆さんにメッセージをお願いします!

さて、続いてご紹介する方は、同じく三重県から初出店。夫婦で営む小さなカフェながら、近年注目を集めるあのお店の登場です!

文●小木曽元哉