水柿、朝蘇芳、薄桜、江戸紫……これは「日本の伝統色」の名前だ。赤にしても、青にしても、微妙にニュアンスの異なる色ひとつひとつに趣のある名称が付けられている。さまざまな色の表情を敏感に読み取る感受性は、日本人ならではのものかもしれない。
「きものには、着るものの季節というのがあるんです。袷があって、単衣があって、夏物があって、また単衣の季節がめぐってくる。そういうローテーションですが、春の単衣と秋の単衣では、色味が違うんです。同じオレンジ色であっても、夏の一重は枇杷のようなさわやかなオレンジに心惹かれるし、秋の一重なら柿のような深みのあるオレンジがふさわしい。色を深く意識するようになったのは、日常的にきものを着るようになってからですね」
和のモチーフを取り入れた手づくりせっけんでおなじみのうずまき堂・鈴木万由香さんは大のきもの好き。それだけに、普段から色に関しても敏感だという。
「せっけんの材料となるオイルも、パーム、ココナッツ、アボカド、お米、アーモンド、それぞれに固有の色がありますからね。それに顔料をどのくらいの割合で入れるのがベストなのか、毎回、試行錯誤です」と笑う。
左から定番の「松風」「墨流し」、季節のせっけん「しゃぼん玉」
鈴木さんがうずまき堂の屋号で、本格的に手づくりせっけんをはじめたのは2008年のこと。「まわりを見てもヨーロッパとかアメリカンテイストの手づくりせっけんしかなかったので、あえて自分の好きな和テイストにした」という。
「せっけんって、そばに置いて毎日使うものでしょ。真四角で単色の素っ気ないものより、かわいらしいものがいい。それに季節のモチーフが加われば、もっと楽しくなる。遊び心と季節感がうずまき堂のテーマです」
和菓子をモチーフにしたシリーズは遊び心いっぱい。シリコンの型でひとつひとつつくる「たいやき」は、うずまき堂のヒット商品だ。
もともと肌が弱かったことがきっかけではじめた手づくりせっけんですから、合成界面活性剤や合成防腐剤など余計なものは一切使っていません。今回のもみじ市では手づくりせっけんを販売するだけじゃなくて、『せっけんってナニ?』っていう素朴な疑問にもお答えするトークイベントを予定しています。せっけんにまつわるアレコレ、ぜひ聞きに来てください」
この春、鈴木さんはそれまで渋谷にあったうずまき堂の作業場を浅草に移した。「渋谷の街って、ガチャガチャいろんな色があふれているけど、背景がコンクリートの汚い色でしょ。だから色が埋没しているんです。それに較べると、浅草は色がクリアー。ストレートにこっちに伝わってくる」
新しい作業場から、どんな手づくりせっけんが生まれてくるのか、いまから楽しみだ。
<「手作りせっけんトークイベント」at うずまき堂ブースのご案内>
知ってるようで、実は意外と知らなかった「せっけんアレコレ」についてお話します。
・せっけんを使うと、いいことあるの?
・ナゼ、せっけんをオススメするのか!
・そもそも、せっけんって何?!
そんな疑問にお答えします。
日時:
10月19日
13:00〜
15:00〜
10月20日
13:00~
15:00~
話し手:エステサロン講師・島田可奈子さん
参加費:無料 事前申し込みは必要ありません。
【うずまき堂 鈴木万由香さんに聞きました】
Q1 もみじ市に来てくれるお客様に向けて自己紹介をお願いします。
手づくりせっけんの「うずまき堂」鈴木万由香です。今回で3回目のもみじ市出店になります。
Q2 今回のテーマは「カラフル」ですが、あなたは何色ですか?
好きな色は赤と藍。赤は女性らしさ、藍は清楚。自分の高校時代の制服を思い出すんです。大好きでした。
Q3 今回はどんな作品をご用意してくれていますか? また「カラフル」というテーマに合わせた作品、演出などがあれば教えてください。
定番の商品に加えて、「ストライプ」「金平糖」「カラー」3種類のせっけんをひとつのパッケージにした「もみじ市オリジナルセット」を販売します。それと、せっけんのトークイベントは19日(土)20日(日)両日、13時と15時の2回。事前の申し込みは必要ありませんから、ぜひ遊びにきてください。
Q4 ご来場くださる皆さんにメッセージをお願いします!
さて、続いては高知からやってくるあのイラストレーターさんです! 今回は四国の紙ものまつりでお世話になったあの方とはるばる高知からやってきてくれます!!
文●秋月康