ヘブンズテーブル「自家製酵母パン&スコーン、焼きたて酵母ワッフル」&「自家製酵母ワッフル作りワークショップ」(20日)

外を見ると、猫が一匹。ガラス戸の前にちょこんと座っている。「今日は何をしているの?」といった様子で外からこちらをじっと見ている。目が合うと、ゴロンと丸くなった。

ここは、ヘブンズテーブル。埼玉県川口市にあるアトリエでは、日々、自家製酵母やイーストを使ったパンづくりのレッスンと季節ごとのおいしい食材を使った料理教室が開かれている。仕事帰りのOLさんや主婦の方、パンづくりに興味のある若者からおばあちゃんまで、様々な人たちがここを訪れる。主催するのはトミヤマトモミさん。第1回のもみじ市から参加してくださっている作り手だ。もみじ市やイベントのときには、アトリエを飛び出して小さな食堂をオープンしたりケータリングをすることもある。“たくさんの人にオイシイ物を食べてシアワセな気持ちになってもらいたい”という思いから始まった、出張食堂なのだ。

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トミヤマさんとの出会いは、私が料理教室に参加したことがきっかけだった。自家製酵母とはどういうものなのかまったく知らなかった私に、今まさに発酵してプクプクと泡のついた果物の瓶を見せてくれて、パンの生地がふくらむしくみと、その楽しさを教えてくれたのが彼女だった。そのとき食べた焼き上がったばかりのパンの鮮烈な香りと美味しさは、今でもはっきりと覚えている。酵母の香りを生かすために独自の方法で焼かれた、しっとりおいしいパンなのだ。

さきほどの猫は、ノラ猫の“しっぽ”。短いしっぽがくるりと丸まっている茶色の猫。目つきは鋭いけれど、甘え上手で人なつっこい。食べているものがいいのか、毛並みにハリがあり、身体もがっしりしている。しっぽは、この場所とここに訪れる人たちのことをとても気に入っているようだ。だからこのアトリエに人が集まりはじめると、それを待っていたかのようにいそいそと店先までやってくる。まるで、自分もその一員であるかのように。

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ヘブンズテーブルは、たくさんのお客さまや教室に通う生徒さん、そしてこれまでの出会いやご縁に紡がれて、2014年4月に10年目を迎える。

「10年目に向けて、この場所を少し変えようと思っています。パンやお菓子をここで販売できるように、そしてもっとこの場所へお客さまが気軽に立ち寄ってもらえるように。初心にかえって、ゼロからスタートするくらいの気持ち」

きっかけは、トミヤマさんのご家族が大きな病をわずらったことだった。いままで当たり前と感じてきた関係性が、いとも簡単に失われてしまうかもしれないという絶対的な喪失感、そして圧倒的な無力感。食を通じて、出張食堂や教室で人と触れ合う毎日を過ごしながらも、人と人との縁、絆というもののかけがえのなさに、どこか自分は無頓着ではなかったかと自問の日々が続く。自分になにかできることはないだろうか? 彼女が出した結論は、とても根源的でシンプルだった。「ここでパンを直接販売しよう」。それぞれが“点”として存在していたご縁を、この場所で“線”、つまり、つながる場所にしよう、そう考えたのだ。

あいかわらず今日もしっぽはヘブンズテーブルにやってくる。なんでかって? しっぽは、もうとっくに気付いているのだ。ここがすでに、人と人がつながる場所になっていることに。

今年もまた、ヘブンズテーブルが多摩川河川敷にやってくる。もみじ市の公式応援歌となった「東京都調布市多摩川河川敷」を書いてくれた、夫であるミュージシャンのトミヤマカズヤスマキさんとともに。多摩川河川敷という“天国”の食卓(ヘブンズテーブル)でサーブされるパンは、そこに訪れた人と人を、そっと、だけど確かにつないでくれるはずだ。

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もみじ市で大人気のヘブンズテーブルのワークショップを、今回も青空のもとで開催してくれます。2010年のもみじ市で初登場し、焼きたてをその場で販売して大人気だった酵母ワッフル。今回はそれをご自宅で作ることができるように、トミヤマさんが教えてくれます。

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<ヘブンズテーブル「自家製酵母ワッフル作り」ワークショップのご案内>
開催日時:
10月20日(日)13:30〜15:00
参加費:3500円(当日のお支払い)
定員:8名(事前お申し込み制)
※定員に達しましたので受付を締め切らせていただきました。たくさんのお申し込みありがとうございました!

お申し込み方法:件名を「ヘブンズテーブルワークショップ申し込み」とし、ご希望の人数・お名前・お電話番号・メールアドレスを明記の上、【workshop02@momijiichi.com】へメールでご連絡ください。
お申し込み開始日:

<ワークショップの流れ>
酵母についてのお勉強(難しくないです)

生地作り

ワッフルの焼き上げ、試食

自家製酵母の場合は発酵に最低で6時間位かかるので、作ったワッフル生地を持ち帰って頂いてご自分の家で発酵させ、焼いていただく形です。(ワッフルメーカーをお持ちでない方は、フライパンでパンケーキの様にも焼けますのでご心配なく。)ワッフルの発酵状態のサンプルは、こちらで作った物を用意しておきますので、参考にしていただければ幸いです。自家製酵母&ワッフルを作るための詳しい資料もお渡しします。

【ヘブンズテーブル トミヤマトモミさんに聞きました】
Q1 もみじ市に来てくれるお客様に向けて自己紹介をお願いします。
埼玉県川口市でパン教室&酵母パン販売をしておりますヘブンズテーブルです。

Q2 今回のテーマは「カラフル」ですが、あなたは何色ですか?
その時々で好きな色は変るのですが、今は青色かな。

Q3 今回はどんな作品をご用意してくれていますか? また「カラフル」というテーマに合わせた作品、演出などがあれば教えてください。
自家製酵母のパン、焼き菓子。その場で焼き上げる焼きたてワッフル。季節の飲み物。パンを使ってカラフルを表現出来れば良いのですが‥ 作戦会議中です。

今回のヘブンズテーブルのユニホームは、私たちも大好きな作家さんの布でエプロンを作りました。これはカラフルです。

Q4 ご来場くださる皆さんにメッセージをお願いします!

続いては、美しい北の模様を描き出すあの作家さんの登場です!

文●増田千夏