Rui「フェルト帽子と巻きもの屋」

春先の夕暮れの帰り道、Ruiさんのレースをふわり、と纏ったら。
薄着の後悔はすぐに消え、口元に笑みが生まれるだろう。おへその上あたりにはりついていた人間関係のモヤモヤも、ふっ、と一吹きで綿毛のように飛んでいきそうな気持ちになる。

晩秋の駅のホームで、Ruiさんのフェルトの帽子をぽん、とかぶったら。
日が短い心細さは羊の毛の中に溶けていき、肩の力が抜けるだろう。自信がなくて曇っていた心も、シャワーの後のようにすっきり、視界良好な気持ちになる。

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Ruiさんの作品に触れると、体の奥のぐっとした結び目がゆるむ。そして気がつくと、明日が来るのが楽しみになっている。

Ruiさんの第一印象は「すくすく育つ夏の植物みたい」。派手でなく地味でもなく、土から栄養を得て太陽の下、つるを上下左右にぐんぐん伸ばしていくへちまや朝顔のような人。私は、すぐにRuiさんを好きになった。

Ruiさんが織りの道へ進むのを決めたのは高校1年生の時。「身に着ける布がいい。一から布を作るなら、織りだ」。大学でテキスタイルデザインを学び、アパレル企業に入社。トップス専門としてスタートしたブランドでディスプレイ担当だったRuiさんは、商品に合わせる帽子やスカートを作り始める。そこからレースとフェルト、2つの道が開けていった。

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Ruiさんのレースの作り方はおもしろい。水に溶ける特殊なシートに、絵を描くように布や糸を置いていく。そしてミシンで自由にステッチをかけていく。水につけてシートを溶かすと、糸が縮んでくしゅっとした手触りの、世界でひとつのレースが現れる。魔法のように。

一方、フェルトは地道な作業。色とりどりの羊毛に温かい石鹸水をかけてごしごし擦る。棒を縦、横、表、裏、約800回も転がして一つの生地を作りあげていく。大変ですね、と思わず目を丸くした私にRuiさんは、「そう大変!でもよろこんでもらえるからやれるんだよね」と笑った。

今回のもみじ市には、これからの季節にアクセントとなるような、ぴかっ、と明るい色のフェルトのブローチやリング、帽子、ストールが中心に並ぶ。身に着けて多摩川河川敷を歩く姿を想像する。きっと背すじが伸びて足どりは軽く、ついスキップしてしまうかもしれない。作品が放つエネルギーに、体が反応するのがわかる。

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淡く、繊細で美術品のようなレースと、カラフルで身近な存在のフェルト。対照的な “静” と ”動” の空気をもつ2つの作品を、Ruiさんが作り続ける理由。その答えは、「やめられないの、どっちも」と困った笑顔で返ってきた。

やめられなくてよかった、と思う。私たちはこれからもRuiさんの作品に出逢い続けることができるから。

【Ruiさんに聞きました】
Q1 もみじ市に来てくれるお客様に向けて自己紹介をお願いします。
手づくりのレースとフェルトを作っているRuiです。

Q2 今回のテーマは「カラフル」ですが、あなたは何色ですか?
朝日色?ちょっと元気なかんじ。

Q3 今回はどんな作品をご用意してくれていますか? また「カラフル」というテーマに合わせた作品、演出などがあれば教えてください。
小石柄、リース柄のストールのカラフルバージョンと、新作アクセサリー!!

Q4 ご来場くださる皆さんにメッセージをお願いします!

続いてご紹介するのは、自由ヶ丘のあのお店。カラフルな海外の文房具をずらりと並べて迎えてくれるはず。

文●小澤亜由美

2013年もみじ市の全出店者を大公開します!

「2013年もみじ市」まであと3週間。ここで、なんとなんと、第1会場115組、第2会場10組の総勢125組の出店者・出演者を発表致します! 一組一組のご紹介は、引き続き「出店者紹介ブログ」で綴って行きますので、どうぞお見逃しなく!

 ・第1会場:多摩川河川敷
【CRAFT】
石川若彦
うずまき堂
大図まこと
緒方伶香
kata kata
黒澤洋行
クロヌマタカトシ
こばやしゆう
小谷田潤
五月女寛
左藤吹きガラス工房
Siesta Labo.
Chappo
SHOESbakery シューズベーカリー
杉田明彦
generaL STORE
chiho yoneyama cogin works
charan 山田亜衣
点と線模様製作所
西本良太
nuri
norioはんこ店
845
はしもとみお
feltico 麻生順子
福田利之
bocca
夜長堂
Rui
丸林佐和子(19日)
mitome tsukasa(20日)

【ILLUST/PHOTO】
イシイリョウコ
岡崎直哉
柴田ケイコ×drank
祖敷大輔と根本真路
高旗将雄
Naoshi
西淑
ニシワキタダシ
makomo
松尾ミユキ
すげさわかよと木下綾乃(19日)
堀口尚子(19日)

【FOOD】
アンリロ
uguisu × organ
café tojo
サカヤカフェマルヨシ
食堂souffle
成城・城田工房
たかはしよしこ
手紙舎
TORi
日光珈琲
hinatabocco
mado cafe
mikumari(19日)
wato kitchen×ナカキョウ工房(19日)
喫茶tayu-tau(20日)
noyama(20日)

【BREAD】
SEED BAGEL&COFFEE COMPANY
七穀ベーカリー
ルヴァン
get well soon(19日)
畑のコウボパン タロー屋(19日)
petit a petit (19日)
きりん屋(20日)
kuboぱん(20日)
CICOUTE BAKERY チクテ ベーカリー(20日)
パンと器 yukkaya (20日)
ヘブンズテーブル(20日)
わいんのある12ヶ月 (20日)

【OYATSU】
アノダッテ
Sunday Bake Shop
てふてふとうんころもち
POMPON CAKES
otome-graph. 焼き菓子店(19日)
甲斐みのり(19日)
平澤まりこ と 桑原奈津子(19日)
marutoとle perchoir(石坂しづか・口広真由美)(19日)
atelier h 本間節子(20日)
カオリーヌ・かのうかおり(20日)
たいやきやゆいとお菓子屋ミモザ(20日)
ひなた焼菓子店(20日)
まっちん・町野 仁英(20日)
monsoon donuts(20日)

【VEGETABLE】
あんざい果樹園
たに農園
鈴木農園+ゼルコバ(20日)

【STATIONERY / PRINT】
あちらべ
six
つる9テン (つるぎ堂・ 九ポ堂・knoten)
水縞

【ANTIQUE】
houti
古書モダン・クラシック
フォトノスタルジア

【ENTERTAINMENT】
井田耕市
キノ・イグルー
きんのむつみ
近藤康平
杉見朝香
tupera tupera
DOM.F..
HammockRefle kikuya
hokuri
マールコ
早稲田大学ジャグリングサークル〜infinity〜
ウィスット・ポンニミット(タムくん)(19日)

【LIVE】
うんころもち劇団(19日)
高鈴(19日)
ヒネモス(19日)
高野寛(19日)

コロリダス(20日)
空気公団(20日)
コトリンゴ(20日)
tico moon(20日)

・第2会場:東京オーヴァル京王閣
【ゆかいなものづくりカンパニーマーケット】
イケダコーポレーション&Natura Y’s
mt-マスキングテープ-
東京オーヴァル京王閣
福永紙工
proto(egg)product project × 奥田染工場
吉川紙商事
レトロ印刷JAM
SUNDAY SPICE(19日)
Novel Cell Poem(20日)
PIZZA FORNO(20日)

史上最大規模の会場に、珠玉の作り手たちが全国から集い行われる2013年もみじ市。会場企画も充実し、事務局一同、“世界最高のものづくりの祭典”とするべく臨んでいます。10月19日、20日の2日間は京王多摩川河川敷へ、ぜひお越しください!

クロヌマタカトシ「木彫り」

涙がこぼれそうになった。なぜだろう、なぜだかわからない。彼が「少壮の狼」と名付けたオブジェを見た瞬間、ものさびしい気持ちが心から溢れ出し、「哲学者」や「遠望の羊」と名付けられたオブジェの表情をみると、不思議と心が落ち着いた。それ以来、いつかこの作り手に会いたい、話をしてみたい、と心のどこかで強く願っていた。念願叶って、小高い山の麓にある彼のアトリエを訪ね、木の香りに包まれながら、言葉を交わした。

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クロヌマタカトシさん。木彫りで動物や林檎のオブジェ、ブローチなどの装身具を作り、ギャラリーや雑貨店での展示・販売を中心に活動している。しかし、“木彫り”に辿り着くまでは随分と長い道のりがあったのだという。

「学校で建築を学んだ後、1年間住宅メーカーで設計と現場監督を担当しました。しかし、家は自分にとってサイズが大きすぎて、中にある暮らしをイメージすることがなかなか出来なかった。自分がそれをつくっている感覚があまり感じられず、悶々としていました」

もっと暮らしに寄り添うものづくりをやろう、家具職人になろう、とクロヌマさんは木工の職業訓練校に1年通う。それでもまだ、自分がつくりたい“何か”と、実際に作っているものの焦点が合わない。そんなある日、ふと彫刻刀を買ってきて、手を動かしてみた。

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面白い。手のひらにおさまるものをつくった時に「これだ」と感じた。彫りはまったくの独学だった。当時は、彫刻刀の研ぎ方も知らなかったので、鎌倉にある刃物屋に行ってみせてもらったこともある。やがて、本格的に木彫りの活動をスタートした。最初の頃は木のカトラリーを中心に制作していたが、徐々にオブジェへと移っていった。

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「オブジェは人によっては用途のないものですが、それが部屋にあるだけで安心したり、自分にとっては必要なものだと感じます。作品がもつ“空気”のようなものをつくりたいのかもしれません。空間の雰囲気をがらっと変えるものを意図的につくる、ということではなく、人や空間と作品が無作為に交わって生まれる“風”と言えばいいのか…」

そんな話を聞いていて、クロヌマさんが自身の展示の時に残した言葉を思い出した。それは、僕が彼にどうしても会ってみたくなった、きっかけの言葉でもある。

古い大きな倉庫に手を加えた抜けと奥行きのある魅力的な空間。
自分の作ったものをそこに置いた時に生まれる
空気の揺らぎのような、あるいは静まり溶け合うような
共鳴なのか、対峙なのかは分からないけど
ものと空間の交わる一点を探して。
その一点が見つかった瞬間、そこからふわっと気持ちのいい風が吹き始める。
そんな感覚に襲われるときがこの場所の展示にはある。

追記

2日間の在廊を終えて改めてこの場所の心地よさを発見した自分がいた。
差し込む光、通り抜ける風、ゆれる緑。
時間とともに刻々と移りゆく空間にあわせて
表情を変えてゆく作品たちを眺める。
空間と作品と、時間と、光や風や緑といった自然。
それらの調和や共鳴によって生まれる何かに
自分の存在を委ねてみたくなる。
この場所に解けてしまいたくなる。

変わりゆく自然や空間とのつながりが生み出す偶発的な美しさ。見る人が重ねてきた時間・経験と響き合うことで生まれる印象の奥行き。つまりは、見る人の外にあるものと、中にあるもの。その二つの要素が交わって浮かび上がる作品の世界は、人によって、場所によって、まったく異なる。僕にとっては、遠吠えする狼がさびしそうに見えて、自分の孤独だった時間ときっと共鳴したのだろう。哲学者の表情が、そんな自分も理解してくれた誰かの微笑みのように見えたのだろう。

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遠方から、クロヌマさんの個展に訪れたある女性が、彼が彫った女性の像をマリア様のように部屋に飾っていると話したそうだ。

「自分との“接点”を見つけた人、作品を必要としてくれる人の話を聞いたとき、その人のために作ったと思えます。これが、生きている自分の役割なのかもしれないとさえ感じます」

クロヌマさんの彫る作品には、“生命”が宿っている。そんな風に思えてしまうほど、彼のオブジェは見る人の琴線に触れる。色つけも独学で、塗っては剥がしての繰り返しも多いという。まるで森の中を彷徨うように彫りと色つけを行う中で、狼がまさに狼になる瞬間がある、と彼は話す。それこそがきっと、クロヌマさんが彫ったものに“生命”が吹き込まれる、かけがえのない瞬間に違いない。

作品とそれをつくる作家。作品とそれを見る人。作品とそれを包容する空間。それぞれの運命的な交差によって生まれる世界そのものが、クロヌマさんの作品だ。大空の下のもみじ市の会場でもきっと吹くだろう。気持ちの良い、風が。

【クロヌマタカトシさんに聞きました】
Q1 もみじ市に来てくれるお客様に向けて自己紹介をお願いします。
クロヌマタカトシと申します。木を彫ってオブジェなどを作っています。

Q2 今回のテーマは「カラフル」ですが、あなたは何色ですか?
濃藍。

Q3 今回はどんな作品をご用意してくれていますか? また「カラフル」というテーマに合わせた作品、演出などがあれば教えてください。
動物や林檎などのオブジェや装身具をご覧頂ければと思います。全体的にモノトーンのものが多いのですが、新しい色にも挑戦してみようと思います。

Q4 ご来場くださる皆さんにメッセージをお願いします!

さて、続いてご紹介するのはカラフルなフェルトの作り手。3年ぶりにもみじ市に帰ってきます。

文●柿本康治

パンと器 yukkaya 「自家製酵母の季節のパン+粕谷修朗の陶器」( 20日)

新しくオープンしたお店のカフェスペースでひと休みしていると…このお店、さまざまなお客さまが訪れます。ガラスの引き戸を開けて、お年を召されたご夫婦がお二人。「天然酵母のパンなのですか?」

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そんなふうに地元の方がふらっと訪れることも多いそのお店とは、「パンと器 yukkaya」。東京都府中市、京王線・JR分倍河原駅から徒歩5分ほどの場所に今年(2013年)6月にオープンしたばかりの、器とパンのお店です。陶芸家・粕谷修朗さんの器と、粕谷奈津子さんの焼くパンを買うことのできるお二人のスペース。店内は奈津子さんが焼く香ばしいパンの香りに包まれ、そしてそのすぐ隣には修朗さんが作った器が並んでいます。

お店がオープンしてから2ヶ月後のこの8月、さらにイートインスペースも始まったことによって、おふたりの夢はようやく実現した、といいます。その夢とは、奈津子さんの焼いたパンを修朗さんの器で提供できること。それは、自分たちの生活に合わせて場所と形態を少しずつ変え、試行錯誤しながら、それでも“二人でできることを大切に”しながら歩んできたお二人にとって、いつか実現したい夢でした。

「ちょっとずつ夢に近づいていった感じですね。器とパンを作っているので、一緒にお皿に盛りつけて食べてもらえる空間が、ずっとほしかったんです。そういう場所がいつかできたら、と思っていて」

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そんなふうに話す修朗さんの作る器は、ご本人の柔らかな雰囲気がそのまま伝わってくるような、温かみの感じられる器。絵を描くように作られた、美しい形でありながらもそっと生活に馴染む、素朴な雰囲気をあわせ持っています。「もともと、仕事をしながら日本画を描いていたのですが、沖縄に住んだことがきっかけで陶芸の道へ進むことになりました。それが、とっても気持ちの良い場所だったんですよ。空が広くて青くて、緑がいっぱいで。そしてまた、そこで教えてくださった方がよかった。そんな親方や職人さんたちが建てた、大きな工房の中で働いていたんです」と語る修朗さん。東京へ戻った現在は、沖縄に住んでいた頃に培った技術をもとに、日々作陶にいそしんでいるそう。

そして奥さまの奈津子さんが作るのは、旬の果物や野菜をつかった自家製酵母のパンや、素材そのものだけが持つ謙虚な滋味が感じられる味わい深いパン。けれど、時にハッとする組み合わせのパン(あずきとシナモン!)で、私たちを新鮮な味覚で楽しませてくれます。

「一昨年まで営業していた東京都日野市のお店では、薪窯でパンを焼いていたのですが、東京で薪でパンを焼くことの難しさを実感しながらの日々でした。焼くこと自体は楽しいかもしれないけれど、毎回の焼き上がりが違うこと、薪を調達して保管することの難しさ、それに広い土地もあったら……と感じていました。イートインのスペースを作ることができなかったので、パンと器はそれぞれで販売だけを行っていて」

日野のお店はオープンしたものの、早い段階からお二人の間ではすでに次の場所へと気持ちが動いていて、新たな場所を探していたお二人。二年ほど過ぎたころ、ようやく見つけたというのが、現在の場所です。

「ここでは薪窯はできないけれど……。薪窯でも電気の窯でもどちらでも、もっとおいしいパンを焼けるようになりたいと思ったんです。道具はどちらでもいいのだなぁと。カフェスペースがきっかけで器に興味を持って下さる方がいらしたり、普段バゲットを召し上がらない方がカフェで食べたサンドイッチがきっかけになってバゲットを帰りがけに買って下さる方がいらしたりするのが今はうれしいです」

そんな「パンと器 yukkaya」へ訪れてガラスの引き戸を開けると……正面のカウンターには奈津子さんの焼いたパンが並び、左のスペースには修朗さんの作った器。そして、右にはオープンしたばかりのイートインスペースが。ずっと前から“二人でできることを大切に”しながらお二人が見ていた風景が、ここにありました。お二人の優しく温かい人柄が作り出す、心地よい空気がここには流れています。

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私が訪れた短い時間のあいだにも、地元のお客さまが「まだパンはあるかな?」とのぞいていったり、いつものお客さまがワンちゃんと一緒に訪れて、店先でお話ししている光景があったり。修朗さんの器で提供されるパンとドリンクを注文したお客さまが、一人ゆっくり休んでいる姿も。「パンと器 yukkaya」はもうすっかりこの街に溶けこんで、すでにここに暮らす人たちみんなのお店になりはじめています。

「今はお皿とカップだけだけれど、スープを出すようになればスープ皿も使うようになるし、スイーツもあったら少し小さなお皿も使うようになるだろうし。お皿からメニューがふくらむこともある。楽しみですね。」

夢をかなえたそんなお二人の物語は始まったばかり。もみじ市には、そんなお二人の手から作られた器とパンがやってきます。多摩川の河川敷に来たら、お二人とぜひお話ししてみてくださいね。

【パンと器yukkayaのお二人に聞きました】
Q1 もみじ市に来てくれるお客様に向けて自己紹介をお願いします。
今年6月お店を府中へ移転し、名前も「薪窯パンと器ユッカ屋」から「パンと器 yukkaya」になりました! 夫が陶器、妻がパンを焼いています。

Q2 今回のテーマは「カラフル」ですが、あなたは何色ですか?
修朗さん:あお(ずっと昔から好きな色です)
奈津子さん:からし色(からし色の洋服が多いんです)

Q3 今回はどんな作品をご用意してくれていますか? また「カラフル」というテーマに合わせた作品、演出などがあれば教えてください。
修朗さん:いつもは白と黒の器がほとんどですが、カラフルというテーマに合わせて青い器などを考えてみようかなと思います。沖縄の空と海の色を思い出すような……沖縄色を入れてみようかな?

奈津子さん:旬の果物や野菜を使ってカラフルなパンを焼いていきます!紫芋、かぼちゃ、ブルーベリーなどを使って作ろうと思っています。

Q4 ご来場くださる皆さんにメッセージをお願いします!

さて、続いてご紹介するのは今回が初出店となる木工作家さんです!

文●増田千夏

五月女寛「陶のオブジェ」

五月女寛さんは旅人のような人だ。

個展や企画展で日本各地に出かけては、ギャラリーのオーナー、その地域で創作活動をしている作家、その友人が営むおいしいお店…といった具合に、人から人へと交流の輪を広げ、たちまちその土地に溶け込んでしまう。五月女さんがいつも肩に掛けている大きなカバンにはスケッチブックと絵の具が入っていて、旅先で美しい風景に出会うと、写真を撮るのではなく絵に残すという。初めて出会った人や、場所や、風景にも、ずっと昔からの友人のように温かく接することができる人。それが、わたしの五月女さんの第一印象だ。

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陶芸家・五月女寛さんは、もみじ市になくなてはならない作り手の一人だ。2009年のもみじ市からずっと、小さく愛らしい「家」の形のオブジェを中心に、マットな質感と優しい色の作品で会場を彩ってくれている。手のひらにのるほどの愛らしい家がずらりと並ぶ光景は、まるで小さな町が現れたようで、そこに流れる時間や物語を空想せずにいられない。

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小さな家は、よく見ると一つひとつ色や形が違い、それぞれに表情がある。のっぽの家、斜めの家、古びた家、赤・青・黄色の家…。どれもシンプルなフォルムだけれど、時を経たような色や質感を表現するのに、五月女さんは惜しみなく手をかける。例えば、輪郭に錆びたような色がのぞく家は、赤土の上に化粧土を施した後、辺を削って下地をわずかに見せている。表面に細かなヒビが入った花入れは、化粧土の乾燥によって生じるヒビの表情を生かしたものだ。それらは決して強く主張することはないけれど、窓辺やテーブルの片隅に置くと、日常の風景が静かで優しい光を宿す。五月女さんは言う。

「使う人の暮らしの中で、初めて完成するような作品を作りたいと思っているんです。窓辺に置いた小さな家が、窓の外の空を背景に一つの絵になるような。花器に生ける花をわざわざ買わなくても、道ばたで見つけた花の方が似合うような」

そう言って屈託のない笑顔で笑う五月女さんのまなざしは、オブジェや花器を買ってくれた人の「帰る家」へと向けられている。オブジェは、ともすれば「嗜好品」として、暮らしとは遠い位置に置かれることもある。だけど、五月女さんの見つめる先は、家族が「おはよう」「おやすみ」と言葉を交わす暮らしの中に、自分の作るものが溶け込む風景だ。

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「なぜ、”家”を作るんですか?」

わたしのその問いに、五月女さんは少し考えてこう答えた。

「家って、世界中どこの国でも同じような形をしているからかもしれませんね。中に人が住まう空間があって、雨をしのぎ、地面へと流してくれる屋根があって、なんだか安心する。そんな形」

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その言葉を聞いたとき、わたしは、五月女さんを旅人のような人だと感じた理由がわかった気がした。旅人には、帰る場所があるのだ。日常を離れて、見知らぬ土地の人々や風景に感動しても、心が帰り着く温かな「家」。言葉が通じなくても、文化が違っても、三角屋根の四角い形を見れば、誰もが自分の帰る家を思い出す。五月女さんの作る家は、わたしたちの心の真ん中にある「家」そのものだ。

今年も、多摩川河川敷に小さな家々が並ぶ町が現れます。その中には、記憶の片隅でいつも自分を待っていてくれたような家が、必ずある。帰ったら家族に見せたくなるような、素敵な花入れやアクセサリーも並びます。お気に入りの作品を見つけて、「ただいま」と笑顔でおうちに帰ってくださいね。

【五月女寛さんに聞きました】
Q1 もみじ市に来てくれるお客様に向けて自己紹介をお願いします。
のどかで猫がたくさんいる雑司が谷に暮らしながら、日々陶のオブジェや花入れを作っています。

Q2 今回のテーマは「カラフル」ですが、あなたは何色ですか?
うーん、黄緑でしょうか。

Q3 今回はどんな作品をご用意してくれていますか? また「カラフル」というテーマに合わせた作品、演出などがあれば教えてください。
カラフルな家、積土などはもちろん、カラフルな紅葉が楽しめる野草盆栽などもご用意いたします。新作の家にはカラフルな旗がのってますよ。

Q4 ご来場くださる皆さんにメッセージをお願いします!

さて、続いてご紹介するのは、ご夫婦で営むパンと器のお店。新たな一歩を踏み出した二人がもみじ市に帰ってきます。

文●増田 知沙

SHOESbakery シューズベーカリー「靴から生まれた革小物」

「どうして ぼくだけ みんなとちがっているんだろう。だいたい、パッチワークのぞうなんて、へんだよね。だから、みんな わらうのかな、ぼくのこと」

「ぞういろ」をしたぞうたちの中で、エルマーだけは違っていました。黄色に、赤に、オレンジに、緑。エルマーはパッチワークのぞうだったのです。

世界20か国以上で出版されたイギリスの絵本作家デビッド・マッキーの名作『ぞうのエルマー』。お読みになった方も多いはずです。

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img-919231716-0003『ぞうのエルマー』 
文・絵/デビッド・マッキー 訳・題字/きたむら さとし 発行/BL出版株式会社

悩んだエルマーは、ジャングルの木の実でカラダを染めて、「ぞういろ」のぞうになるのですが、最後には、色とりどりのパッチワークが自分の個性=魅力なんだと気づくのです。

実はこの本、「SHOESbakery シューズベーカリー」の高橋吉行さんが大切にしている一冊なんです。高橋さんの本業は婦人靴メーカーの社長さん。普段はとある有名ブランドの婦人靴をOEMで作っています。でもOEMでは自分たちの会社名を出すことはできません。そこで作ったのが「SHOESbakery シューズベーカリー」というブランドでした。パン屋さんが窯から取り出した焼き立てのパンを店頭でお客さんに販売するように、自分たちもハンドメイドの婦人靴をECサイトで直接お客さんに販売しようと考えたのです。

「婦人靴をつくるには、一枚の革でも傷があったり染めムラがある部分は使えないんです。だからどうしてもあまり革が出てしまう。それをそのまま処分してしまうのはもったいないなぁと、ずっと悩んでいたんです。そんなときに、知り合いのスタイリストさんからこの『ぞうのエルマー』を教えてもらったんです。『いろんな色の、いろんな革が使えるって、シューズベーカリーの最大の強みじゃないの』って」

こうして捨てられる運命だった色とりどりの革は、シューズベーカリーのブックカバーやバッグ、クッションカバー、バブーシュとして生まれ変わりました。

P8210673高橋さんとスタッフの古川さん、そしてパッチワークのぞう・エルマー

P8210665ブックカバーの素材に使われる色とりどりの革

「革小物専門の人だと、ヌメ革を使うことが多いんです。厚みもあって強度も十分だし、使い込めば使い込むほど味が出てくる。ただ色味は限られています。それに較べるとパンプスの革は若干薄いけど、種類が豊富。クロコの型押しをアクセントで使ったり、単色では強すぎる色をちょっとさし色で入れたり、いろいろ遊びができるんです」 

いろいろな色を組み合わせることで、色の持つ魅力がどんどん広がっていく。それがシューズベーカリーの個性=魅力なのだと、高橋さんは話してくれました。

最近では、「嫌いな色はない」という天性のカラフル人・古川淑華さんが新たにスタッフとして参加。シューズベーカリーは、ますますカラフルに進化していっています。

P8210664シューズベーカリーのお面。ワクワク感がいっぱい!

今回は、お越しくださるみなさんに楽しんでいただけるよう誰でも参加可能なワークショップもご用意してくれました。革のハギレを使ったチャーム作りのワークショップです。

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革で作った葉っぱに、革ひもを通してオリジナルのチャームを作ります。用意された数種類の革の葉っぱと紐を自由に組み合わせることができます。お一人10~15分程度で完成出来ますので、ぜひお気軽にご参加ください!

<革のハギレを使ったチャーム作りワークショップ>
10月19日(土)11:00〜15:30
10月20日(日)10:30〜15:00
※両日とも開催時間中随時受け付けいたします。
参加費:500円(参加時にブースにてお支払いください)
お申し込み方法:事前のお申し込みなしでご参加いただけます。

【SHOESbakery シューズベーカリー 高橋吉行さんに聞きました】
Q1 もみじ市に来てくれるお客様に向けて自己紹介をお願いします。
「SHOESbakery シューズベーカリー」は、パンプスのあまり革を使ってブックカバーやバッグなど小物をいろいろつくっています。靴から生まれた革小物、ぜひ見てください。

Q2 今回のテーマは「カラフル」ですが、あなたは何色ですか?
好きな色はレッドオレンジと、緑がかった青。沖縄の海みたいな色ですね。それが僕のテーマカラーです。

Q3 今回はどんな作品をご用意してくれていますか? また「カラフル」というテーマに合わせた作品、演出などがあれば教えてください。
カラフルな革を使ったオリジナルのアイテムと、いままでにお客様からご要望の多かったトートバッグやクラッチバッグなどのバッグ類をお持ちします。それと、事前予約なしで参加できるワークショップを予定しています。いろんな色の革を使ってカラフルなアクセサリーを作りましょう。

Q4 ご来場くださる皆さんにメッセージをお願いします!

さて、続いては笑顔が眩しいあの方の登場ですよ。

文●秋月康

たに農園「玄米タコライスとカラフル野菜のいろいろ」

色とりどりの大きなスーツケースを持った人たちを横目に、東京から電車に揺られること1時間。成田空港まであと20分ほどの小さな駅に降り立つと、まだ朝だというのにすでに日差しは強く、誰もいないホームには蝉の声がにぎやかに鳴り響いています。長靴と作業着を詰め込んだバッグを抱えて改札へ急ぐと、そこには見覚えのある笑顔が私を待っていてくれました。その笑顔の持ち主が、本日ご紹介するたに農園の谷洋一郎さんです。

たに農園は、2010年10月に谷洋一郎さんと淳子さんの手によって、千葉県佐倉市に誕生しました。東京のごく普通のサラリーマン一家に生まれ育った谷さん。大学時代に農業に魅せられ、日本各地の農家で修行をし、一代でたに農園を築きあげたのです。

とことん味を追求した野菜を作りたい。食べた人が「おいしい!」と思ってくれる野菜を育てたい。

いつでも忠実にその想いを貫いてきた谷さんの野菜作りは、この秋で4年目を迎えようとしています。

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私が初めてたに農園を訪れたのは2年前の9月、前回のもみじ市のちょうど1カ月前でした。念願だった農園を始めて1年。大好きな野菜やお米に囲まれる谷さんはとにかく楽しそうで、畑に育っているたくさんの野菜を見せてくれました。

あれから2年。もみじ市の取材で再びたに農園を訪れることになった私は、谷夫妻と農作業をしながら1日を過ごしました。真夏の作業は大変で、強い日差しと虫たちとの闘いでした。でもそれ以上に、谷さんの野菜への想い、野菜を育てるということの手間暇、そして、生き物としての野菜の力や繊細さを目の当たりにした時間でもありました。日々成長する野菜を相手にしている谷さんに、休む暇はありません。暑い日も、雨の日も、嵐の日も、いつでも畑と向き合い、野菜の声を聞き、寄り添う。谷さんの野菜には、その手間暇がおいしい栄養分になって、ぎゅっと詰まっているのです。

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口に入れた途端にとろけてしまう茄子。ぷちっと弾けて中から甘い種が溢れ出すトマト。青々しくシャキっと歯ごたえが良いピーマン。

野菜って、こんなにも味がしたかな? 谷さんの作る野菜を食べると、いつもそう感じます。野菜そのものの味が濃くて、でもほっとする優しさで、“生きている”味がするのです。口に入れるとすうっと肩の力が抜けて、カラダが喜んでいるのを感じます。

品種の豊富さも、たに農園の特徴です。例えば“茄子”と聞いて多くの人が想像するのは、紫色でつやつやした「中長なす」と呼ばれ市場に多く流通している一般的なものだと思います。たに農園で育っている茄子にはこの一般的な茄子以外にも、どーんと大きな米なす、アクがなく柔らかい緑色の青なす、紫に白い縦縞がまだらに入るのが特徴のイタリア生まれのカプリスなど、その種類は多岐に渡ります。これらの茄子は、スーパーで見かける茄子と比べ量産がしづらく、決して育てやすいとは言えないのですが、こういった品種ほど、野菜本来のおいしさが詰まっていることも多いのです。夫婦2人で営むたに農園では、スーパーに並べられるほど量産はできません。だからこそ、野菜の品種選びから妥協せず、食べた人が「おいしい!」と言ってくれる、味がおいしくて見た目も美しい野菜をたくさん作っているのです。

茄子だけに限らず、たに農園で育てられている野菜の種類の多さにはおどろくばかりで、それはそれはいろんな野菜が、約4,000坪もある畑に育っています。茄子、トマト、ピーマン、ズッキーニ、ししとう、カボチャ、いんげん、人参、空芯菜、オクラ、さつまいも、落花生、里芋、きゅうり、つるむらさき、パセリ、スイカ、お米、小麦、大豆、胡麻、油用の向日葵、そして畑の肥やしになるソルゴー。書ききれないので、これくらいにしておきましょう。

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初出店を果たした前回のもみじ市、谷さんの中でハッとする瞬間がありました。

「一生懸命育てた野菜を直接手にとって眺めてくれる。育てた野菜を使った料理を、目の前で美味しそうに食べてくれる。それがもう嬉しくて嬉しくて。野菜を届けるだけではなくもっとこういった機会を増やして、育てた野菜を直接食べてもらいたいと思ったんです」

そう思った谷さんは得意の行動力を発揮し、ハイエースを購入。自らの手で改装を施し、立派なキッチンカーを作り上げました。それからというものの、平日はいままでと変わらず畑や田んぼの世話をし、休日には千葉県内のイベントを中心に、自慢のキッチンカーで出店するようになりました。おいしく食べてくれる人の笑顔が、おいしい野菜を作る谷さんの原動力となっています。 

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さて、今回のもみじ市。たに農園のキッチンカーで一番人気メニューの「たっぷり野菜のタコライス」を持って、多摩川河川敷まで来てくれます!たに農園で収穫した玄米の上に、たっぷりのカラフルな野菜とソース、そしてチーズが乗った、渾身の一品です。野菜は、その日にたに農園で採れた一番新鮮なものを持ってきてくださるそう。

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まいにち食べるものだからこそ、カラダが喜ぶものを。大切な人とおいしく食べたいからこそ、丁寧に作られたものを。

きちんと心をこめて丁寧に作られた谷さんの野菜とごはんは、そんな願いを叶えてくれます。だからみなさんももみじ市で、配送が中心のため直接買える機会がめったにないたに農園の野菜や、谷さんの人柄にぜひ触れてみてください。

まだ知らない野菜の魅力に、必ず出会えるはずです。

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【たに農園  谷洋一郎さんに聞きました】
Q1 もみじ市に来てくれるお客様に向けて自己紹介をお願いします。
平日は千葉県佐倉市にある3,000~4,000坪の田畑で米・麦・大豆・野菜(年間40~50種)を栽培してます。週末はその農産物をキッチンカーで調理して販売してます。

Q2 今回のテーマは「カラフル」ですが、あなたは何色ですか?
野菜色です。昔は、自分のセンスと能力で野菜を育てようと思ってました。今は、野菜が健全に育つように遠くから見守ってやって、必要な時だけ手を差し伸べてやるほうが健全で美味しい野菜になることに気がつきました。そんな私たちは野菜色です。

Q3 今回はどんな作品をご用意してくれていますか? また「カラフル」というテーマに合わせた作品、演出などがあれば教えてください。
この秋はもみじ市に合わせていろんな色の野菜を栽培してます。そんなカラフルな野菜を使った玄米タコライス、オレンジが綺麗なにんじんジュース、赤が綺麗な赤しそジュースなどをお持ちします。他にも、畑の様子によっていろいろ持って行きます。

Q4 ご来場くださる皆さんにメッセージをお願いします!

さて、続いては工場で余った革のハギレに新たな生命を吹き込むあの人たちです。

文●高松 宏美

petit a petit「pain et gateau」(19日)

アルチザン(フランス語で職人)とは、正しくは彼女のような存在のことを指すのかもしれない。「すこしずつ」という意味を持つpetit a petit(プ・ティ・タ・プ・ティ)は、中西麻由美さんが営むパン工房。石臼で挽いて細かくふるった小麦、そして自家製酵母で作った生地に吟味された素材を合わせてていねいに焼き上げられたパンは、ご自宅兼アトリエのある武蔵野市近郊なら直接、ご自身の手でお客さまのもとへ届けられる。

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「お店を持つのもいいんですけど、一人でやりたかったんです。自分がやれる範囲内で。そう、すこしずつ」

そんな彼女が作り出すパンは、ある意味とても独創的な味わいをたたえている。それぞれの素材がまっすぐにベースを支えながらも、ほのかな酸味としっかりとした歯ごたえは、どこか一つの芸術作品としての風格すら放っているのだ。それはあたかも、フレンチの一皿のごとく。「けっこう、好き嫌いがわかれると思います」と本人は笑うが、この繊細かつ、じつに力強い舌触りはちょっと感動を覚えるほど官能的で。なにより、そのパンに魅せられ虜になった10年来のリピーターの存在が、静かに熱い支持の多さを証明している。

だが、かといって孤高、というわけではもちろんない。

「ワインが好きで、スクールに通ったりしたんですけれど、けっこう奥が深くて。いくら学んでも追いつかない(笑)。でも基本的なことがわかってくると、『なるほど』ってことが意外とたくさんあって。(ヨーロッパの)南のワインと北のワインでは、ワインそのものの味わいもまるで違うし、それぞれに合う料理もまったく違うんです」

日照時間の多い、温暖な気候の中で育った葡萄を豊かに発酵させた赤ワインは、同じくそんなふうに育った果実をベースにした料理ととてもよく合うし、厳しい天気を耐えぬいた葡萄をベースにした静謐なたたずまいの白ワインは、身の締まった魚料理と相性がよかったりする。

「私が作るのはパンですけど、パンもいっしょに味わうほかの料理やワインがあってこそ、お互いが引き立てあって、はじめて成立するもので。だからこそ、私もただパン自体の味で勝負したいだけなんですよね。ほんとうは、具は何もなし、で作ってみたいくらい(笑)」

この揺らぎない作り手としての矜持(きょうじ)こそがpetit a petitの本質なのだろう。アルチザンたるゆえん、ここにありである。

そんなpetit a petitが今年もまた、もみじ市へやってくる。パン自体が主人公であり、食べてくれる人とのマリアージュ(幸福な組み合わせ)こそを願ってやまない、そんな穏やかなアルチザンの作品との邂逅がふたたび果たされるのは、調布河川敷にて、まもなく、だ。

【petit a petit 中西麻由美さんに聞きました】
Q1 もみじ市に来てくれるお客様に向けて自己紹介をお願いします。
03年から、主に通販と宅配でパンをお届けしています。

Q2 今回のテーマは「カラフル」ですが、あなたは何色ですか?
モノトーン?(笑)。選ぶ服も黒、グレー、ベージュとかばかりで。いつもおなじ服を着ているように思われちゃいます(笑)。

Q3 今回はどんな作品をご用意してくれていますか? また「カラフル」というテーマに合わせた作品、演出などがあれば教えてください。
パンはいつも通販などでお出ししているようなものを、いろんな種類持っていきます。あと、今回は焼き菓子も出そうかなと。外見からというよりは、中身にいろんなものを入れて、断面でカラフルを表現するというか。自分の範囲内でのカラフルに挑戦します(笑)。

Q4 ご来場くださる皆さんにメッセージをお願いします!

さて、続いてはあの農家さんが採れたての野菜を積んでやってきます!

文●藤井道郎

うんころもち劇団「うんころもち劇団とゆかいな仲間たち」(19日)

なんと、いま日本でもっとも、のんびりした三人組がもみじ市にやってきてくれます。ステージで人形劇とライブをしてくれる「うんころもち劇団」のみなさんです!

「うんころもち劇団」は、漫画「うんころもち」から飛び出したメンバーである、うんころもちさんと毛玉ちゃん、それから、のりゆきおにいさんの三人からなる劇団です。

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優しくて、ちょっぴり恥ずかしがり屋なのりゆきおにいさんが、ギターを弾いたり、歌をうたったり、のんびり屋のうんころもちさんや、いつもふわふわな毛玉ちゃんが、のりゆきおにいさんの音楽に合わせて、ゆらゆら踊ったり、楽しくおしゃべりしたりします。

2011年秋に行われたカフェ&ミュージックフェスティバルにて、初めてステージに立ったうんころもち劇団のみなさん。彼らを観ると、ついついほろりと口元が緩み、その場所にいるみんながたちまち、にこにこ笑顔になってしまう。そんな、どこまでもやさしい雰囲気に包まれた、とっても素敵なステージでした。

今回はどんなステージを見せてくれるのでしょうか? 何しろ、とっても謎多き三人組なのです。わたしは彼らのことをもっと知りたくなったので、うんころもちさんのご自宅におじゃましました。

毛玉ちゃんがお世話しているのかな、きれいに整えられた花壇がきれいです。あ、ちょうちょも飛んでいますよ。もう昼間だけれど、うんころもちさん、起きているかな。

私:
うんころもちさん、毛玉ちゃん、こんにちは!
今年の夏にすこしお会いしましたね。
あの日もご自宅におじゃましましたが、うんころもちさんはベッドですやすや眠っていて、あまりにも気持ちがよさそうだったので、起こしませんでした。今日はお会いできて、とーってもうれしいです。よろしくおねがいします。

うんころもちさんは、いつものんびりしている印象ですが、どんな毎日を過ごしていますか?

写真1・そのときの様子

うんころもちさん(以下 う):
のんびり暮らしているけど、いつもいろんなことを考えながら生活してるよ。
みんなとおなじように、たのしい日もあればつまんない日もあるよ。 

私:
うんころもちさんにもつまんない日があるんですね。なんだか、ほっとしました。
わたしもつまんない日があるけれど、うんころもちさんの本を読んだりして、
たのしい気分になっていますよ。

うんころもちさんは「これをすると、とってもいい気分になる」というものはありますか? 

う:
ぼくは毛玉ちゃんと近所の公園にいくのが好きだよ。

私:
ああ、そういえば、いつだったか夏の暑い日に公園で見かけたことがありました。
毛玉ちゃんといっしょに馬を見ていた気がします。
とっても楽しそうにしていたから、話しかけずに遠くから眺めていました。

 あの、そぼくな疑問なんですが、うんころもちさんはどんな食べ物が好きですか?

う:
好きな食べ物はフライドポテトだよ。じゃがいもとさつまいもが好きなんだ。 

私:
わぁ、おいもが好きなんですね。わたしもとっても好きです。
じゃあ、これからの季節は焼き芋なんかがおいしくなって良い季節ですね。
焼き芋パーティーとかもいいなぁ。

うんころもちさんは、誰と食べるんだろう。うんころもちさんには、どんなお友達がいますか? 

う:
いつも一緒にいるのは毛玉ちゃん。あと散歩中によく会うのはカメラじいさんだよ。きっとカメラじいさんも散歩が好きだからだろうね。 

私:
なるほど。うんころもちさんは、やっぱりお散歩が好きなんですね。
うんころもち劇団で一緒に歌をうたったり、お話をしていたりする、
のりゆきおにいさんはどんな人ですか? 

う:
のりゆきおにいさんはいつもいろんなことを教えてくれるよ。
落ち込んでるときは励ましてくれる。その逆のときもあるよ、ふふふ。

でも小言も多いからそういうときは適当にうなづいて流してるよ。 

私:
ふふふ。とっても仲がいい、ということですね。
今回のもみじ市でもおふたりのかけあいが楽しみです。
うんころもち劇団では今年が初めてのもみじ市出演ですね。 

う:
うん、前に手紙舎さんの「グッドフードマーケット」にもうんころもち劇団で遊びにいったんだけど、お客さんがとってもあたたかく見守ってくれたから、もみじ市もとってもたのしみにしてるよ。 

私:
あの時はうんころもち劇団を観たい! というお客さんで会場がいっぱいでした。
良い雰囲気で、本当に盛り上がっていましたよね。   

きっと、もみじ市も素敵なステージになるとおもいますよ。
今回は特別にうんころもち劇団の“仲間たち”が来られるそうですね。
どんな“仲間たち”が登場するのでしょうか? 

う:
今回はお友達の「ジ・オーナメンツ」が参加してくれるよ。
ジ・オーナメンツは昨年のクリスマスに結成したフォークグループなんだ。 

 メンバーは、
サックスのアルトン。お父さんはtupara tuperaさんだよ。
ウクレレのウクミちゃん。お母さんは木下綾乃さんだよ。
そしてタンバリンのジョイ・バミューン。お父さんは福田利之さんだよ。
彼はちょっと変わってるんだけどムードメーカーなんだ。 

私:
すごーい! それはビッグゲストですね。
ジ・オーナメンツの皆さんのお父さんやお母さんも、もみじ市に参加されるし、とっても楽しみですね。
さて、うんころもちさん、今日はいろいろお話をうかがってきましたが、
いま、もみじ市に向けてどんな気持ちですか? 

う:
いいお天気になることを願っているよ。
そして、たくさんの人に会えるのをたのしみにしてるよ! 

私:
みなさんもきっと、うんころもち劇団に会えるのを楽しみに待っていますよ。
うんころもちさん、毛玉ちゃん、今日はどうもありがとうございました! 

外に出たら、夕暮れがやってきていました。うんころもちさんと毛玉ちゃんは、にこにこしながら、わたしが遠く、見えなくなるまで、大きく手をふってくれました。

うんころもちさんと毛玉ちゃんに会ったら、なんだか心が「ふかふか」になって、のんびり自転車をこいで、おうちに帰りました。明日はきっと、いいことがありそうです。

今回なんと、もみじ市のステージのトップバッターをつとめてくれる、うんころもち劇団。秋空の下、のんびりした空気で、みなさんの心を柔らかくほぐして、ふかふかな気持ちで、その日いちにちを満たしてくれることでしょう。

【うんころもち劇団とゆかいな仲間たち うんころもちさんに聞きました】
Q1 もみじ市に来てくれるお客様に向けて自己紹介をお願いします。
こんにちは! うんころもち劇団のうんころもちです。
うんころもち劇団は、「ぼく」と「毛玉ちゃん」、そして「のりゆきおにいさん」の三人組だよ。
のんびりした三人組だよ。
お話をしたり、のりゆきおにいさんが歌を歌ったりするよ。

Q2 今回のテーマは「カラフル」ですが、あなたは何色ですか?
ぼくは何色かなぁ。ぼくが好きな色は「白」と「黄色」と「紫」だよ。

Q3 今回はどんな作品をご用意してくれていますか? また「カラフル」というテーマに合わせた作品、演出などがあれば教えてください。
今回はすごく広い場所でのライブで、にぎやかにできたらいいなぁと思っていたら、お友達の「ジ・オーナメンツ」ももみじ市に来てるみたい。なので、ちょっと参加してもらう予定だよ。きっと色もカラフルになると思うよ。ぜひ遊びにきてね!

さて、続いてご紹介するのは、あのパン屋さんですよ!

文●池永 萌

大図まこと「大図まことの飛び出せ! 青空手芸&工作教室」

「アイディア」

手紙舎 2nd STORYの雑貨店で働く私が、いつも探しているものだ。空を見上げては降ってこないか、目を向けた視線の先に落ちていないか。そんな私が、もみじ市の取材で彼に会いに行き、大切なことに気づかされた。

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クロスステッチデザイナーとして、多くの著書を持つ大図まことさん。メディアで取り上げられることも多く、人気セレクトショップとコラボした作品も数多く手がけています。大図さんは今年の春、若手のクリエイターが集まる「台東デザイナーズビレッジ」から、物作りの街として知られる浅草に事務所を移しました。新しい事務所の窓から見えるのは、自立式鉄塔として世界一の高さを誇る東京スカイツリー。部屋の中には、所狭しと並べられた“カラフル”な作品たち。オブジェ、時計、アクセサリー、陶器…そこを何かに例えるなら「おもちゃ箱」だ。手に取りたくなる、いつまでも見ていたい、触れていたい、そんな好奇心をくすぶられる作品の数々。大図さんはそんな“刺激的な”空間で、さらなるアイディアと作品を生み出し続けている。

「クロスステッチデザイナーとして活動される前は、何をされていたんですか。服飾とかデザイン関係のお仕事ですか」

私の質問に大図さんは、ニコニコしながら答えてくれました。

「酒屋です。友人からは、それが一番似合っていたって言われるんですけどね」

思っていた答えとあまりにもかけ離れていて思わず拍子抜けしてしまった。酒屋で働いていた大図さんが、一体どういう経緯でクロスステッチの世界に進むことになったのか。

「あの頃、時間がたくさんあったんです。何かを始めたいと思っていたら、友人のカメラマンが担当した手芸の書籍をプレゼントしてくれました。その本を見ていたら、自分でもできるんじゃないか、って思ったんですよね。実際、やり始めたら楽しくって。最初は刺繍ではなくて編み物でした。ニット帽を作ったんです。自分で言うのもなんですが、なかなかの出来でしたよ。それから、編み物以外の手芸を試すようになりました。その中で、自分がいちばん夢中になれたのがクロスステッチだったんです」

大図さんが、各方面で注目されるようになったのはひょんなことから。

「手芸を始めた頃、ブログブームだったんです。自分のブログに作品をアップしていたら、男性なのに手芸!? と評判になり、イベントの主催者や出版者の方から声をかけてもらうようになりました」

人生何が起こるかわかならない。「行動」と「タイミング」がちょうど交差した時、自分でも想像していなかった“何か”が訪れる。手芸界のルーキーは、こんな風にしてチャンスをつかみ取ったのだ。

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「自分が好きなものを作品にしています。ゲームのキャラクター、昆虫、名画…」

大図さんの作品は、一般的には手芸で描かれることがないものばかりだ。とはいえ、斬新なモチーフということではない。見たことのある、馴染みのあるものをクロスステッチという手法で描くことで、新しい表現を私たちに見せてくれる。それがとても面白い。

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「今、いろんなことに興味があるんです。趣味でドット絵を書いていたので、そういうものも作品に生かしています」

大図さんの表現は今や、クロスステッチだけにとどまらない。大図さんが描いたドット絵が陶器になったり、アクセサリーになったり…。

「アイディアを出すのは得意だと思います。何かを考える時にベースとなるのは、やっぱりクロスステッチですが、応用すれば違う形になっていく。展示会やイベントで出会った人に『こういう作品を作りたいんです』と相談したり、クロスステッチではない、別のものを作っている方の話を聞いたり、見にいったりしています。そうすることでまた新しいアイディアと作品が生まれるんです」

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さて、もみじ市では毎回大人気の大図さんのワークショップ。今回はなんと、2つのワークショップを行ってくれる予定。まずは2年前に開催されたもみじ市で大好評だった、水にも衝撃にも弱い、毛糸の腕時計「Knit-SHOCK!!」作り。

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もうひとつは、「パンチドットのカラフルキーホルダー」作り。針を使わず、簡単にクロスステッチが表現できる新たな工作だ。

「事務用パンチで穴を開けたときにできる丸い紙を使って、あらゆるモチーフを表現するんです。図案も約50種類考えました!」

子供はもちろん、手芸が苦手という人も楽しめるワークショップ。大図さんの「アイディア」は、作品だけでなくワークショップにも変化をもたらしている。

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冒頭で書いたように、大図さんは今たくさんの仕事をかかえている。自身の書籍の出版準備や、雑誌で掲載する制作物、そしてもみじ市の準備…めまぐるしい毎日を送っているはずなのに、その表情はとても生き生きとしている。

ものづくりをとびっきり楽しむこと。
型にはまらないこと。
自分の“好き”を信じること。

「アイディア」が溢れる場所は、自分の内側にこそあるのだ。


大図まこと「大図まことの飛び出せ! 青空手芸&工作教室」概要

<刺しゅうで作る毛糸の腕時計「Knit-SHOCK!!」を作ろう!>
開催日時:
① 10月19日(土)13:00〜15:00
定員に達しましたので、受付を締め切らせていただきました。お申し込みありがとうございました。
② 10月20日(日)13:00〜15:00
定員に達しましたので、受付を締め切らせていただきました。お申し込みありがとうございました。
参加費:2500円(当日のお支払い)
定員:各回10名(事前お申し込み制)
お申し込み方法:件名を「大図まことワークショップ申し込み」とし、ご希望の日時、人数、お名前、お電話番号、メールアドレスを明記の上、【workshop01@momijiichi.com】へメールでご連絡ください。
お申し込み開始日:定員に達しましたので、受付を締め切らせていただきました。お申し込みありがとうございました。

<事務用パンチを使ってカラフルキーホルダーを作ろう!>
10月19日(土)12:00〜15:00
10月20日(日)12:00〜15:00
参加費:200円(当日のお支払い)
お申し込み方法:事前のお申し込みなしでご参加いただけます。

【大図まことさんに聞きました】
Q1 もみじ市に来てくれるお客様に向けて自己紹介をお願いします。
こんにちは、クロスステッチデザイナーの大図まことです。今回でもみじ市は4回目の参加になると思います。「フジロック」のオファーを待つミュージシャンのように10月の週末は、毎年この日のためにスケジュールを空けています。去年は、開催がなかった分、今年は倍返しだ! 会場でお会い出来ることを楽しみにしています。

Q2 今回のテーマは「カラフル」ですが、あなたは何色ですか?
緑色です。単純に好きだからです。

Q3 今回はどんな作品をご用意してくれていますか? また「カラフル」というテーマに合わせた作品、演出などがあれば教えてください。
事務用パンチを使った楽しい工作「パンチドット」と、恒例の刺繍で作る腕時計「Knit-SHOCK!!」のワークショップを行います。

物販では、刺繍グッズのほかに2年前からスタートした陶磁器ブランド「The Porcelains」の商品も販売します。どちらもPOPでカラフルな仕上がりになっているので、ぜひお立ち寄りください。

Q4 ご来場くださる皆さんにメッセージをお願いします!

続いてご紹介するのは、ステージイベント。あの3人組がステージに登場です!

文●新居鮎美