kuboぱん「ベーグルとマフィン」

気持ちのいい人だな。彼女とはじめて会った時、直感的にそう感じた。清潔感のある真っ白な服。飾らないまっすぐな言葉。ご挨拶をすると、しっかり目を見て、華奢な両手で私の手をぎゅっと握ってくれた。

彼女と彼女の作るベーグルに出会ったのは、木の葉も日の光も秋色に染まった10月頃だったと思う。少し冷たい風が吹く中、温かい珈琲と一緒に食べたベーグルがあまりにもおいしくて、今でもその時のことを鮮明に思い出すことができる。あの日以来私は、すっかりベーグルの、というよりも、彼女のファンになってしまったのだ。

kuboぱんの久保輝美さん。埼玉県でパン教室を開きながらパンの販売も行っている。この夏いちばんの台風が過ぎ去った3連休の最終日、念願だった久保さんのお店兼教室を訪ねた。木の扉をそっと開けると、久保さんがひとつひとつ丁寧に集めた古道具や家具が並んでいる。はじめてお会いした時と同じように真っ白な服を着た彼女は、その空間にとてもよく似合っていた。

kuboぱんのベーグルは、“よくあるベーグル”とはちょっと違う。白くて柔らかそうなそれをはじめて見たとき、ベーグルだとはなかなか気づかなかったほど。私の記憶の中にあるベーグルは、表面がつるっとしていて真ん中に穴が空いていて、噛むとぐっと歯ごたえがあるベーグル。けれど、彼女の作るベーグルは少し違う。細長いコッペパンのような形だったり、かわいらしいハート形だったり。そっと手に取ると、しっかりとした弾力は感じるのに、どこかふわっと柔らかい。一口頬張ると、ベーグル特有のもっちりとした食感の中に、しっとりとした甘みが広がる。食べやすい! ベーグルはちょっと食べにくいものだと思っていたので、正直とても驚いた。

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今から7、8年前。いまのようにベーグルが世の中に浸透する前のこと。パン教室を開いていた久保さんは、ベーグル以外のパンを教えていた。もともとマニュアル通りが嫌いな久保さんは、もっと自由に作りたい! 自分が好きなパンを作りたい! と思っていたそう。ちょうどそのタイミングで、カフェを立ち上げたお友達にベーグルを作ってくれないか? と頼まれ、そこで久保さんはベーグル作りを始めたという。ここでひとりの友人が登場する。小さな頃から本場アメリカのベーグルに親しんできた友人だ。久保さんはその友人に試食をお願いするが、ジャッジは厳しく、何度も「これは違う」と言われてしまう。レシピもない中、記憶の中にある感覚だけでベーグルを伝えてくるお友達に応えるべく、何度も何度も、繰り返し作る日々。結局、その感覚にぴったり当てはまるベーグルは出来なかったけれど、この経験のなかで、自分が「おいしい」と思えるベーグルが出来上がった。kuboぱんのベーグルが誕生した瞬間だった。

それからも久保さんは、ニューヨークで本場のベーグルを食べ歩いて勉強したり、材料や配分を変えてみたり、作る工程を変えてみたり。自身の作るベーグルにたくさんの改良を重ねてきた。もっとおいしいベーグルを作りたい。その想いに、ただひたすらまっすぐに向き合って。

最近、 “ベーグルのkuboぱん”に新しい仲間ができた。マフィンである。なぜマフィン?
「おいしいマフィンになかなか出会ったことがなくて。だったら自分で作ってみようと思ったんです。ちぎるとぽろぽろっと崩れてしまうマフィンではなく、食べやすくておしいしいマフィンを作れないかな? そう思って。試行錯誤しながら作ってみたら、理想のマフィンが出来たんです! おいしかったので教室でも作ってみたら生徒さんにも好評で。これからはベーグルとマフィン、両方届けられたらいいなと思っています」

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毎回もみじ市に出店してくださっているkuboぱん。2年ぶりの開催になる今回、マフィンが初登場する(甘いおやつマフィンとごはんにもなるおかずマフィンを準備してくれる予定)。おやつマフィンは、6月に北海道で行われたイベント「森のカフェフェス」でも大人気だった、フランボワーズとマスカルポーネのマフィン。しっとりとしてずっしりと重く、冷やしてケーキのようにいただくととてもおいしい。他にも新作を試作中とのこと。

「ベーグルやマフィンには、そのときいちばんおいしい季節のものを入れるようにしています。他にも、北海道産の小麦粉を使ったり、ベーキングパウダーもアルミニウムフリーで極力優しいものを使ったり。材料は、ベーグルを作りはじめたころからずっと、自分の目で厳選しています。でも、あまりそれを全面には出したくなくて。おしいしいものを作りたかったら自然とそうなるでしょう? 食べればわかってしまうから、きちんと自信を持っておいしくなるようなものを選びたいんです。なんとなくでも、わかってもらえたら嬉しいかな?」

かっこいいな。やっぱり久保さんは、常にまっすぐでとても気持ちのいい人だ。

そんな久保さん、ふだんは予約で完売してしまうことも多いkuboぱんのベーグルとマフィンをたくさん持って、20日の日曜日に多摩川河川敷にやってきます! 晴れた秋空の下、芝生の上にシートを広げて、温かい飲み物と一緒に真っ白なベーグルを食べてみませんか? 久保さんがベーグルやマフィンに込めたまっすぐな想いを、感じることができるはずです。

【kuboぱん 久保輝美さんに聞きました】
Q1 もみじ市に来てくれるお客様に向けて自己紹介をお願いします。
パンのある幸せな暮らしを提案する教室とベーグルの販売をしております。北海道産小麦など美味しい小麦を何種類もブレンドしシンプルな材料で、小さなお子さま、ご年配のお客様も食べやすいよう追求したベーグルを作っています。

Q2 今回のテーマは「カラフル」ですが、あなたは何色ですか?
白です。1番好きな色。ベーグルの白でもあります。フラットな色なので、みなさんのお好きな色にしていただければ。

Q3 今回はどんな作品をご用意してくれていますか? また「カラフル」というテーマに合わせた作品、演出などがあれば教えてください。
フランボワーズなどのいろいろな色の果物を使ったベーグルやマフィンを持っていきます。
もみじ市のための新作も準備中なので、楽しみにしていてくださいね。

Q4 ご来場くださる皆さんにメッセージをお願いします!

さて、続いて登場するのは、もみじ市エンタメ部門の雄、究極の映画ファンのあのお二人です!

文●高松宏美

きんのむつみ「フェイスペイント」

小学生の時に「将来の夢」について書く作文があった。たしか私は、「学校の先生になりたい」と書いたように思う。しかし、1年後には、「ラジオのアナウンサーになりたい」と言っていた。大学の進路を決める時、ちょうど月曜21時にフジテレビで放送していたドラマ「やまとなでしこ」を観て、「空港で働く仕事に就こう」とエアライン科のある専門学校を探し進学。卒業後の就職先は、空港ではなく、地元・徳島県にある出版社だった。思い返せば、私の夢は毎年変わっていて、30歳になった今もやっぱり変わり続けている。

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現在、フリーのメイクアップアーティストとして活動するきんのむつみさん。メイク、ヘアスタイル、ファッション…中学生の頃からオシャレに敏感な、いわゆる「ませがき」だったそう。出身は、岩手県。当時から都会に、東京に、強い憧れをいだいていたという。ファッション雑誌を読んでは、制服のスカートの丈を短くしたり、ルーズソックスを履いたり、厚底のブーツを履いたり。美容雑誌を読んでは、近所にある化粧品売り場に足を運び、マスカラ、アイシャドウ、グロスなど、あらゆるメイク道具を買いそろえていたのだとか。今のきんのさんからは、想像もできないけれど、ギャルメイクやヤマンバメイクにも挑戦していたそう。

「流行のものは、すべてトライしたように思います。やんちゃでしたね。先生には、よく怒られていたし、ポーチなんかも没収されていました」

そんな彼女が、美容師やスタイリストではなく、メイクアップアーティストの道を選んだのには理由がある。

「肌が好きなんですよね。当時、肌荒れがひどくて、スキンケアにも興味があったんです。肌をキレイにすることが楽しくて。そこからメイク道具を使ってキレイにするということにつながっていったんだと思います」

メイクで新たな魅力を引き出す。いつもは、広告、雑誌、舞台などのヘアメイクを担当しているきんのさんは、モデルさんや役者さんと接する機会が多いと言う。

「美しい方をより美しくする。もちろん、それはそれでやりがいがあります。だけど、一般の方も同じように美しくしたいんです」

そんな金野さんが、一般の方を対象にペインティングを始めたのは、子ども向けのイベントに誘われたことがきっかけだ。

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「最初は、ペインティングなんてしたことがなかったから、どんな道具を揃えたらいいかもわからなかったし、何を描けばいいかも…それに、絵を描くことが苦手なんです。でも、やってみたら楽しかった。赤ちゃんや子どもの顔にペインティングすることが多いんですけど、肌がもうツルツルなんです。ペインティングをする時も、すーっと筆が入って」

きんのさんは続ける。

「子どもたちはかわいいし、癒されます。それと、顔に描かれることが嬉しいみたいなんですよね。『この絵描いて』とか、『描いてもらったものが消えた…』と泣いてしまう子もいて。自分が思っている以上に、みんなが喜んでくれているから、私でよければ描きますよ! って」

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ペインティングを始め今年で6年。細い筆や太い筆、100円ショップで買ったもの、画材の専門店「世界堂」で購入したもの、いつのまにか15本以上もの筆を使うようになった。赤ちゃん、子ども、お父さん、お母さん、さまざまな人たちの顔に絵を描くことで、どの筆が適しているかを厳選していったそう。

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使う絵の具は9色。色と色とを混ぜ合わせて使うことはない。その色が持つ、その色の個性をしっかりと生かしてペインティングをしてゆく。原色だからこそ表現できるカラフルな世界。それぞれが持つ肌の質感に絵の具が馴染み、その人だけが持つカラーへと変化するのだ。

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「絵は苦手」と言いながらも、顔に描くデザインはきんのさんがすべて一人で考えている。メイクをすることで、いつもと違う自分に出会える。モチベーションが上がる。ペインティングもそうであってほしい。

一人の少女が、夢を叶えた。時には、悩み、とまどうことあるけれど、自分の夢は「これだ!」と疑うことなく言い切れてしまう姿がとてもかっこよかった。もみじ市は、プロのメイクアップアーティストであるきんのさんにフェイスペインティングをしてもらえる貴重な機会。カラフルな出で立ちで、カラフルな顔で、もみじ市のカラフルタウンを闊歩しよう!

【きんのむつみさんに聞きました】
Q1 もみじ市に来てくれるお客様に向けて自己紹介をお願いします。
メイクアップアーティストのきんのです。もみじ市当日は、みなさんの顔に模様やイラストを描きます。ぜひ遊びに来てくださいね。

Q2 今回のテーマは「カラフル」ですが、あなたは何色ですか?
白です。何色にも合うことと、肌色がよく見えます。それと、女性らしい色な気がしています。

Q3 今回はどんな作品をご用意してくれていますか? また「カラフル」というテーマに合わせた作品、演出などがあれば教えてください。
もともと「カラフル」な色使いを意識していますが、さらに「カラフル」にできればと思っています。皆さんの顔がよりカラフルになるように、描くデザインも増やします。

Q4 ご来場くださる皆さんにメッセージをお願いします!

続いては、もっちりとした食感が病みつきになりそう。美味しいベーグルを携えて、あの方がやってくる!

文●新居鮎美

atelier h 本間節子「ジャム菓子屋」(20日)

美味しいお菓子を食べたら、誰もがみんな幸せそうな笑顔になる。美味しい笑顔がもっと見たい。「atelier h」を主宰する本間節子さんがお菓子作りの世界に入ったきっかけも、そんな思いだった。

もともと子ども時代からお菓子作りは好きだった。スコーンを焼いたり、クッキーを焼いたり……。でもそれはあくまで趣味の範囲。20代の頃は普通のOL生活を送っていた。

「たまたま会社のそばにあったお菓子屋さんの教室に参加して、本格的なお菓子作りの面白さに目覚めたんです。そのころからお菓子作りを仕事にしたいなぁと思い始めました」

結婚してOLを辞めた本間さんは、家の近所のケーキ屋さんで働くことにした。しかし、プロの世界は思っていた以上にハードだった。

「新米主婦との両立はやっぱり無理があって、結局挫折しました」

でも、「好きなことを仕事にしたい」という本間さんの情熱は冷めなかった。そのあともお菓子作りの勉強を続け、1999年「atelier h」を立ち上げた。

「最初はカラーコピーで作った手製のパンフレットを友人知人に送って、『ぜひ食べてみてください』とお願いしたという感じです。そこから頒布会という形がスタートして、数年にわたってたくさん人に季節の焼き菓子をお送りしました」

その当時から「材料は国産で、できるだけ添加物の少ないものを使う」というポリシーは変わっていない。

「バターは使わないとか、砂糖は使わないとか、そういうことはありません。ただ、外で買うお菓子って味が濃いでしょう。少しならいいんですけど、お菓子を作るのが好きな人、お菓子を食べるのが好きな人は食べる回数も量もついつい多くなってしまう。ですから甘さも最低限に抑えるようにしています。ワンホールのケーキを焼くにしても、家で美味しく食べきれるようなレシピを心掛けているんです」

いい素材を使って、ていねいに作る、お店では買えないお菓子。それが「atelier h」のお菓子だ。

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OLYMPUS DIGITAL CAMERA月に一度自宅で「12か月のお菓子教室」をひらいている。少人数のアットホームな雰囲気の中で「atelier h」のお菓子作りが学べる

本間さんのお菓子には、美味しそうな季節の果物が使われる。イチゴ、レモン、ナップル、リンゴ、栗……。

「思わず皮まで残さず食べてしまいたくなるような果物ってあるでしょう。そういうのを見つけると、すぐに生産者の人に連絡をとって、毎年送ってもらうようにしているんです」

全国に広がる「美味しいものネットワーク」から取り寄せた素材を前に、それを使ってどんなお菓子をつくろうか、熱くなったオーブンのなかで生地がふくらんでいくように、本間さんの頭の中でもイメージがどんどんふくらんでいく。

「まずは味ですね。この素材を使って、こんな味を作るためには、どんな組み合せにしたらいいか。そこからスタートです。それが決まったら、じゃあどんな形にしようかと考えます」

お菓子のデザインは「プラス」ではなく「マイナス」。「シンプルだけど、ちょっとカワイイ。思わずマネしたくなるようなデザインが好き」だという。

anzu2_000【7月】杏のタルト

blue2【8月】ブルーベリーのミルクレープ

apple2_000【9月】りんごとサツマイモのパイ
*写真は「atelier h」のホームページから

もみじ市への出店は2年ぶり、3回目。今年のテーマ「カラフル」のために本間さんが用意してくれたお面は、なんと、本物のクッキー! (下の動画をご覧下さい)

「焼き菓子って、見た目がどうしても地味なんですよね。いろいろ悩んだけど、やっぱりみんなが大好きなクッキーかなと思って」

オーブンでこんがりと焼けて、満面の笑みを浮かべるクッキーくん。シンプルだけど、すごくカワイイ。「atelier h」のお菓子には、やっぱり笑顔がよく似合う。

【atelier h 本間節子さんに聞きました】
Q1 もみじ市に来てくれるお客様に向けて自己紹介をお願いします。
お菓子作りの「atelier h」です。人の手から生まれるものが好きです。着るもの、使うもの、もちろん食べ物も。食べた人をにっこりさせてくれるお菓子作りを教えています。

Q2 今回のテーマは「カラフル」ですが、あなたは何色ですか?
好きな色はグレー。いろんな色と相性がいいでしょう。

Q3 今回はどんな作品をご用意してくれていますか? また「カラフル」というテーマに合わせた作品、演出などがあれば教えてください。
わたしのジャムはシンプルに果物と砂糖とレモンだけで煮ます。少なめの砂糖でしっかり煮詰めて糖度を上げているから、おいしさがぎゅーっと詰まった濃厚なジャムが出来上がります。杏、ラズベリー、無花果、ブルーベリー、レモン、栗。初夏から秋にかけて、わたしがお気に入りの素材から作ったジャム。それを使って焼き菓子を作りました。この機会に楽しんでいただけたら嬉しいです。ちょっと地味な焼き菓子だけど、味わいはカラフルなのかなって思っていただけるような形に表現できたらと思います。

Q4 ご来場くださる皆さんにメッセージをお願いします!

さて、続いてご紹介するのは、あなたの顔をカラフルにしてくれるあの方です! 当日はフェイスペインティングであなたもカラフル人になりましょう!!

文●秋月康

カラフル人スナップ#2 at 調布PARCOプレイベント

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2013年もみじ市のテーマはカラフル! ということで週末に行った調布PARCOでのプレイベントでは、カラフルなお面を作れるコーナーを設置しました。二日間を通してたくさんの方々にご参加いただきありがとうございます。とっても素敵なカラフル人が来てくれましたので前回に引き続き写真をご紹介いたします!

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残念ながらプレイベントに来られなかったみなさんも、只今、出店者の方々を通してお配りしているお面型フライヤーのウラ面を使ってカラフルなお面を作ることができます。手に入れた方はぜひ、自作のお面を作ってみてくださいね。

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10月19日・20日の当日はお面を片手にとびきりカラフルな装いで会場へお越しください。最もカラフルな人には良いことがありますよ。詳細はまた後日、こちらのブログでご紹介させていただきますので、どうぞお楽しみに!

今週末10/13(日)20:00〜 「もみじ市TV」を放送いたします!

いよいよ間近に迫って参りました2013年のもみじ市。
今週末10/13(日)20:00〜は2回目の「もみじ市TV」を放送いたします! 今回は、スタジオに2組のゲストをお迎えして21:20まで放送です。
 
まず1組目のゲストは……

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自家製酵母クイーン「ヘブンズテーブル」のトミヤマトモミさんとトミヤマカズヤスマキさん!
なんとその場で焼き立ての酵母ワッフルを食べさせてくれるそう。みなさんの代わりに事務局スタッフがその美味しさをレポートします。
 
そして、2組目のゲストは……

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 「高鈴」の山本高稲さんと山口彰久さん!
 
聴く人の心を揺さぶる繊細な楽曲で、注目を集めるおふたりをお迎えし、今回初出演となる意気込みやお客さまへのメッセージなどを伺っていきます。なんと、スタジオでの生演奏も行なってくださいますよ!
 
その他もさまざまな内容で当日の楽しみをお届けしていきます。
豪華ラインナップでお届けする「もみじ市TV」。ご視聴はこちらからどうぞ!

【もみじ市TV】放送日:10月13日(日)
放送時間:20:00〜21:20
チャンネル:http://ustre.am/rzUF
*iPhoneからもご覧になれます

【プレイベント情報】パンやジャムに焼き菓子。美味しいものも日替わりで販売します!

いよいよ明日から、もみじ市のプレイベントが始まります。もみじ市に出店するパン屋さんやカフェから、日替わりでパンや焼き菓子などが届きますよ! どうぞお楽しみに。

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たに農園(10/4~)
大学時代に農業に魅せられ、全国各地の農家で修行をした谷洋一郎さんと淳子さんが営む農園から届くのは、にんじんジュース。一年で一番美味しい真冬のにんじんとリンゴを合わせた、甘くて飲みやすいジュースです

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アノダッテ(10/4~)
季節の果実が持つ甘味や風味。それを小瓶にぎゅっと詰め込めたジャムは、一度食べると虜になってしまう美味しさです。今回は、長野の黄金桃をアレンジしたジャムなどが並びます。

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SEED BAGEL&COFFEE COMPANY(10/4)
北海道・ニセコ町の静かな森の中にあるベーグル&コーヒー店。北海道産の小麦、羊蹄山の湧き水、天然酵母を使い、作る過程の茹でる際も湧き水を使うというこだわりよう。もっちりとした食感で食べ応えも十分です。

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畑のコウボパン タロー屋(10/5)
自らの手で育てる自然酵母は、年間でなんと約50種類! そのため、今しか味わえない香りがパンから漂ってきます。秋の風味を楽しめるパン、どんなものが届くのかとっても気になりますよね。

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てふてふ(10/5)
越川陽子さんによる「てふてふ」のかわいい焼き菓子も届きます。漫画家の越川律幸さんが描く大人気漫画「うんころもち」をデザインしたクッキーとパウンドケーキがセットになった「うんころもちのクッキーセット」も!

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七穀ベーカリー(10/5)
大阪・寝屋川市にある、お客さんが絶えない人気のパン屋さん。国産小麦とオーガニックレーズン酵母で焼き上げるパンは、穀物の滋味ともっちりとした食感で、毎日食べたくなる味わいです。当日はどんなパンが届くか、お楽しみに!

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CICOUTE BAKERY チクテベーカリー(10/6)
お店があるのは、東京・八王子市。店主の北村さん曰く「パン作りはパンにあわせて」。季節や温度で少しずつ変わる酵母菌と上手に付き合いながら、一つひとつ丁寧に時間をかけてパンを作り上げています。

イベント期間中は、毎日違うお店の商品が数量限定で並びます。日程は、こちらをご覧ください。

10/4(金)〜
・たに農園(ニンジンジュース)
あんざい果樹園(リンゴジュース)
・アノダッテ(ジャムと焼き菓子)
mado cafe(ジャム、シロップ、グラノーラ、焼き菓子)

10/4(金)
喫茶tayu-tau(焼き菓子)
・畑のコウボパン タロー屋(パン)
・SEED BAGEL&COFEE COMPANY(ベーグル)

10/5(土)
・七穀ベーカリー(パン)
pompon cakes(焼き菓子)
・てふてふ(焼き菓子)

10/6(日)
・CICOUTE BAKERYチクテベーカリー(パン)
Sunday Bake Shop(焼き菓子)

今週末、調布PARCOで皆さんにお会いできるのを楽しみにしています。

【プレイベント開催概要】
会場:調布PARCO(京王線「調布駅」前)1階正面入口および催事場
会期:10/4(金)〜10/6(日)
時間:物販/10:00〜20:30(金曜日のみ〜21:00)  ワークショップと撮影会/11:00〜16:00(土・日のみ開催)

カラフル人スナップ#1 at 調布PARCOプレイベント

10/5・6_at_parco

2013年もみじ市のテーマはカラフル! ということで週末に行った調布PARCOでのプレイベントでは、カラフルなお面を作れるコーナーを設置しました。二日間を通してたくさんの方々にご参加いただきありがとうございます。とっても素敵なカラフル人が来てくれましたので写真をご紹介いたします!

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残念ながらプレイベントに来られなかったみなさんも、只今、出店者の方々を通してお配りしているお面型フライヤーのウラ面を使ってカラフルなお面を作ることができます。手に入れた方はぜひ、自作のお面を作ってみてくださいね。

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10月19日・20日の当日はお面を片手にとびきりカラフルな装いで会場へお越しください。最もカラフルな人には良いことがありますよ。詳細はまた後日、こちらのブログでご紹介させていただきますので、どうぞお楽しみに!

generaL STORE「Antique, Vintage, MORCEAU D’EPOQUE」

「古い映画などを見ていると、街に一軒、必ずgeneral store(田舎の雑貨店)というお店が出てくるんです。村の人がみんな何かを楽しみにやってきて、楽しい会話やたまには小さなドラマまでも生まれてしまうようなお店。そんなお店がいいなと思っていました」

店主の奥澤知恵子さんは店のコンセプトについてこんな風に話してくれた。その店の名は「generaL STORE」。茨城県結城市にあるアンティークショップだ。と言ってもただのアンティークショップではない。「僕らの過ごす世界の豊かさに気づかせてくれるお店」とでも言ったらいいだろうか。

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JR水戸線の結城駅から2kmほど離れた閑静な住宅街の中に、突如として現れる異な世界。初めてこの場所を訪れた人は、胸が高鳴ることを押さえつけるのは困難だろう。フランス北部の片田舎に紛れ込んだような錯覚を起こすには十分な、異国感がある建物。錆びた鉄の質感がなんとも言えない柵を開けると、美しい庭が広がっている。さまざまな種類のハーブが茂り、ベリーが実を付け、チャボが自由に歩きまわる。その傍らには古い自転車とガーデンチェア、そして庭仕事の古い道具。店の扉を開けると、古き良き時代のブラックドレスやアンティークレース、ファイヤーキングなどの食器類、美しい色合いのガラス瓶などが迎えてくれた。たくさんのアンティーク雑貨の他に、奥澤さん自身がデザインをする「MORCEAU D’EPOQUE−モルソードエポック−」の洋服も置いてある。まるで、古い映画の1シーンに紛れ込んだかのようだ。かつて奥澤さんがそう思ったように、僕も思った。

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奥澤さんは以前、ファッション・デザインを学ぶためアメリカに住んでいたことがある。古い時代のものを扱おうと思ったのは、当時アルバイトをしていた店の影響だ。その街で一番古い家を改装したその店は、古着やアンティークを扱う店で、初めて訪れた時から魅了されたという。

『初めて扉を開けた時のあの感覚が今も忘れられない。その街で一番古い家は古着やアンティークの店になっていた。まるで古い映画の中に入り込んでしまったような不思議な感じ。手に取るものごとに昔の人の暮らしが巡り、少しだけ自分もその登場人物になれたような気がしてどきどきした。いつかどこかに場所をつくれたら、誰かにそんな気持ちになってもらえたらいいなと思った』

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ホームページの最初に綴られているこの言葉は、まさにその店のことを指している。しかし、そこでの経験は同時に、ファッションの世界に対する疑念も生んだ。仕入れのために目にする膨大な量の古着を見て、消費されていく最先端のファッションの世界に疑問を感じた奥澤さんは、一度は洋服を作ることをやめたという。

「世の中に溢れているから、私が作らなくてもいいんじゃないかと思って」

そんな奥澤さんが再び作り初めたのは、仕入れで訪れた店で出会った一枚の洋服がきっかけだった。それはおそらく200年近くも前のもので、ドレスではなく一般階級の人が着ていた作業服だったそうだ。汚れてはいたが何か光るものを感じた奥澤さんは、その洋服を買って帰り、きれいに洗濯をしてみた。袖を通してみると、100年以上も前のものとは思えない程しっくりと着心地がよく、「こんな服ならつくってみたい」と思ったという。

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高級な服は丁寧に扱われる分、きれいな状態で残っているものも多いが、一般の人たちの作業着は古い時代のものが残っていることは少ない。けれど、そんな日常の服にこそ、今の時代に通じる魅力を感じた奥澤さんはそれを再現することにした。そして立ち上げたブランドが「MORCEAU D’EPOQUE」だ。それ以来、資料になりそうな本や、昔の日常の風景が写った写真を集めたり、仕入れの時に見つけた昔の洋服を解いたりしながら少しずつ形にしている。「MORCEAU D’EPOQUEの服の売りにしているところはどこですか?」という質問に、奥澤さん自身が着ていたその服を指してこんな答えが返ってきた。

「昔の服は手縫いで縫いしろを始末していたり、なるべく真っ直ぐ無駄なく生地を使うような形になっています。そういう知恵を見習いながらも私はミシンメインで縫っていますので、どうやったらミシンで強度を保ちつつ裏側も美しく縫えるかとか、もう少し今の時代にあった形にとか、少しバランスを整えています。ちょっとマニアックですよね(笑)」

古いものに触れ、その知恵を学び、今の暮しに合うように細やかに気が配られている「MORCEAU D’EPOQUE」の服。奥澤さんにお話を伺った中で一番印象に残っているのは、昔の服の作りについて話しているときのことだ。

「作りを見たり、形を見たりしていると、『なるほど』って思うところがたくさんある。あと、想像が膨らむ。だれがどんな風につかっていたかとか、どんな時代の何に使われていたものだとか。想像を巡らせていると、いろいろな暮らしや物語が見えてくる様な気がするんです。」

生地の質感や縫い代の処理、機能的な形。決して裕福ではなかった当時の人達の服には、今のそれには見られないさまざまな工夫が凝らされており、そんな細やかな部分を知った時には感動すら覚えるのだと、奥澤さんは話す。

長く使われてきたものを愛する奥澤さんは、自ら洋服を作るときも“長く付き合える服”を念頭において作っている。よく使われる生地の1つとして、厚手の丈夫なリネンの生地がある。この生地はデッドストックのベッドシーツだそうだ。長い年月の着用にも耐えられ、使い込む程に味わいが増していく。染めは、化学染料ではなく、藍や泥などの天然染料を使う。そうすると生地はより丈夫になり、長く着られるものとなる。少しずつ染料が落ちて変わっていく色合いの変化も、長く付き合うことで味わえる楽しみのひとつだ。奥澤さんは言う。「一緒に歳を重ねられるものがいい」。

一緒に年を重ねた服は、やがて、誰かの元へ行くかもしれない。そうやって愛でられて来た服はきっと、次の持ち主の元へ行っても、確かなる光を放つだろう。
「古いものを普通にみんなが使えるようになったらいいなと思う。古着とか、古いものとか、みんなに使ってほしいなと思います」

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奥澤さんの言葉はシンプルだ。けれど、その目が見定め、その手が作り出すものには確固たる美意識が宿る。そして、その感性に触れることは僕の知る世界を豊かにしてくれる。僕たちが今いる世界を見回せば、“時”という魔法に彩られたさまざまものが、確かに溢れているのだ。

【generaL STORE 奥澤知恵子さんに聞きました】
Q1 もみじ市に来てくれるお客様に向けて自己紹介をお願いします。
雑貨・アンティーク・ヴィンテージの衣類から作家さんの作品、オリジナルまで盛り沢山の店内です。
古いものに囲まれた空間で、昔の映画の中に入り込んでしまったような気持ちになってもらえたら…と思っています。

Q2 今回のテーマは「カラフル」ですが、あなたは何色ですか?
むかし色

Q3 今回はどんな作品をご用意してくれていますか? また「カラフル」というテーマに合わせた作品、演出などがあれば教えてください。
アメリカや欧州の1960年代位までのヴィンテージ衣類やアンティーク雑貨を持っていきます。
また、ヨーロッパのデッドストックシーツやオーガニックコットンを使ったMORCEAU D’EPOQUEのプチ受注会を行います。

Q4 ご来場くださる皆さんにメッセージをお願いします!

さて、続いてご紹介するのは皆をにっこり笑顔にしてくれる、お菓子研究家のあの方です!

文●藤枝大裕

ニシワキタダシ「ポストカードといろいろ」

彼の描くキャラクターは、なんだかとんでもないことをしていたり、言っているのに、思わずふふふっと頬を緩めてなごんでしまうのはなぜでしょう。そんな、全てを許してしまえる絶妙な“空気感”を描くイラストレーター、ニシワキタダシさんのご紹介です。

「なんともいえない」

「昔、求人誌の専属イラストレーターをしていて、そのときに笑顔のイラストをたくさん描いていたんです。そのときの反動で、今は笑顔のイラストが少ないかもしれませんね」

ニシワキタダシさんのイラストを見ると、思わず頬が緩んでしまうものだから、なぜかニシワキさんの描くキャラクターもニコニコしたものが多いという印象を持っていました。展示会のたびに作っているというポストカードだって、どれも鮮やかでかわいくて楽しいものばかりだから、「まさかぁ」と思いつつ、改めて作品を見てみると……

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あれ? 笑顔はおろか、表情がない……。おもわず「どうしたの?」と話しかけたくなる表情のこどもやおじさんやどうぶつや……えーっと、謎の生命体たち。熱心に取り組んでいるような……でも、なんとなーくやらされているような。困っているような……でも、何か達観したような。考えはじめると、頭の中が不思議でいっぱいになって気になってしまいます。ニシワキさんの作品から沸き上がるこの気持ちはなんだろう? 思春期とはちがう、心のざわつき。ただ間違いなくいえる一言……それは、「なんともいえない」。

「なんともいえない」かけ算の使い手

そんな「なんともいえない」イラストたちはニシワキさんの言葉を纏うことでさらにパワーアップして1コマまんがに変身します。関西のことば約200語を、ゆるくてクスッと笑えるイラストで解説した大人気の書籍「かんさい絵ことば辞典」も、元を辿れば自身のwebサイトで定期的に公開していた1コマまんがが原点です。その後に出版された『あたらしいことわざ絵辞典』も『日々かるたブック』も、ニシワキさんのイラストと言葉で生み出された1コマが満載です。このイラストと言葉の組み合わせが絶妙で、例えば「かわいらしいサル×言葉=とてもしらじらしいサル」になったりと、パッと見の印象とのギャップがたまらなく、これまた「なんともいえない」気持ちになるのです。このかけ算を使わせたらニシワキさんの右に出るイラストレーターはいないのではないでしょうか。

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「なんともいえない」をなんとかいいたい

あまりにも「なんともいえない」気持ちになってしまい、「なんともいえない」をなんとかいいたくなってしまった私は、ついに思い切って「ニシワキさんの頭の中を見せてください」とご本人に頼んでみちゃいました。そんなリクエストを受けてニシワキさんが用意してくださったのは、A4のコピー用紙の束。「いつもこれで考えているんです」と広げられた用紙を見てびっくりしました。謎のキャラクターのスケッチでいっぱいなのかな、と思って覗いてみると、そこにはイラストのようなやさしいタッチでスラスラと言葉がたくさん書いてあり、スケッチは少しだけだったのです。

「『かんさい絵ことば辞典』を出してから、言葉を添えたイラストのお仕事をいただくことが増えたんです。まず言葉で書いてみて、良さそうだなと思ったものを描いてみます。なので、実際にイラストを描く時間より、言葉を書いている時間の方が長いですね」

ふっと思いついた言葉から着想してイラストへと広がって行くニシワキさんの世界は、ひょっとしたら言葉を思いついたニシワキさんすらわからない未知なものなのかもしれません。クスッと笑えてクセになる予測不能なニシワキワールドにますます心奪われてしまいました。

結局、「なんともいえない」については、なんともいえないけど、この心のざわつきのことを人は「虜」っていうのかも知れません。みなさんも是非、ニシワキワールドに触れてください。ひとたびクスっときたら、それは、虜になっちゃった証拠です。

【ニシワキタダシさんに聞きました】
Q1 もみじ市に来てくれるお客様に向けて自己紹介をお願いします。
イラストレーターのニシワキタダシと申します。
なんともいえないかんじの絵を描くのがすきです。
「もみじ市」への参加は二回目になります。
二回目なので、当日もそれほど緊張せずにブースに立てているのではないでしょうか。もし緊張していても、二日間出店するので二日目の終わり頃には、もう緊張していないはずです。よろしくお願いします。

Q2 今回のテーマは「カラフル」ですが、あなたは何色ですか?
黄色でしょうか。色に例えるとというより、好きな色かもしれません。小さい頃は青が好きだったんですが、大人(20歳頃)になったら黄色が好きになっていました。この流れで、もし20年くらいごとに好きな色が変わるとしたら、あと何年かで好きな色が変わるかもしれません。そんな流れに負けず、黄色が好きでいたいです。 

Q3 今回はどんな作品をご用意してくれていますか? また「カラフル」というテーマに合わせた作品、演出などがあれば教えてください。
日頃から作っているポストカードをメインに持っていこうと思っています。新作やテーマ「カラフル」に合わせた作品もあたらしくつくることができればいいのになぁと思っているところです。『かんさい絵ことば辞典』などの著書本も販売予定です。本の中にイラストも描かせてもらうので気軽に声をかけてくださいね。

Q4 ご来場くださる皆さんにメッセージをお願いします!

さて、続いてご紹介するのは、結城市にある美しすぎる雑貨店。異国情緒溢れるお店が河川敷にやってきます。

文●小木曽元哉

点と線模様製作所「2日間だけの青空手芸店」

どんな土地で育つかによって、目にする木々の形や花の色、肌で感じる温度や、光の強さは全く違います。生活していくなかで、そのひとつひとつが体に染み込んでいき、独自の表現が生まれます。「北の人には北の人の、南の人には南の人にしか表すことのできない色や形がある」。学生のころ、先生に言われた言葉。「点と線模様製作所」の岡理恵子さんの布を初めて見たとき、漠然としか感じていなかったその言葉の意味を、私ははっきりと実感しました。そこに描かれているのは、一度も見たことがない模様。なのに、私はこの色を、景色を知っている。そうだ、これは私の色だと思いました。私が生まれ育った、北国の色だ、と。

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雪かきの跡は鮮やかな赤と青で表現され、小さな植物たちはまるで微生物のように布の上を這い、点描によって描かれた森の陰からは動物たちの気配が伝わってきます。北海道に暮らす岡さんが描くのは、雄大な大自然ではありません。生活のそばにある山や川の風景、茂みにひそむ小さな命。短い夏と長い冬。日常に寄り添う自然に耳を澄ませ、そこに記憶や感情を重ね合わせながら、穏やかで美しい模様を作り出していきます。 

「自分と無関係なものを題材にするのは、すごく難しくて。一度心が移ったものでないと形にしづらいんです」

もともと、カーテンやテーブルクロスを取り替えると部屋の雰囲気ががらりと変わる様が好きで、模様に興味を持った岡さん。インテリアを学んでいた大学時代に、先生のすすめで”壁紙”を制作したことが、模様を作りを始めたきっかけとなります。「すぐに取り替えられる”生地”よりも、その中に長い時間身を置く”壁紙”の方が、(今まで模様の勉強をしていない私には基礎ができていないので)模様の基本の基が学べるのではないか」という先生の教えに共感し、図案の勉強をし、自ら木版を作って制作。色によって版を分けるなど行程は難しく、出来はあまりよくなかったと振り返りながらも「木を彫ることや色を混ぜて作るなど、手や目など体で学ぶようにできたことで模様のなりたちを勉強でき、それが今につながっています」とうなずきます。 

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大学卒業後しばらくして、模様作りを仕事にすることを決意。最初のうちは自分で模様を刷るなど、こじんまりと制作していましたが「繰り返しのある模様は、一定の量を量産する役割のあるもの」との思いから、2008年、「点と線模様製作所」という屋号のもと、本格的に生地作りを始めます。

「工場の人も、個人で生地を作るなんていう注文はあまり聞かないようで、最初はなかなか上手くいかず。意思疎通がすこしずつできるようになるまでには時間がかかりました。それは今も同じです」

自らの表現を理解してくれる工場を探し求めた岡さん。例えば、布への刺繍を依頼している工場は、糸をどう繋ぐかで変わってくる細かいニュアンスを、もともとの図案を活かしながら考えてくれるとか。その丁寧な仕事ぶりに惹かれ、刺繍加工をお願いしたそうです。

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そうして作られた生地は「北の模様帖」と名付けられ、ひとつひとつの模様を大切にしながら、少しずつラインナップを増やし続けています。

「オリジナルで販売している生地は、年に2作は新作を作ろうと思っています。少ないですよね。でも、10年経ったら20種類の模様の中からお客さんに選んでもらえる。20年なら40種類。色も含めたらその倍になります。今のお客さんが私と同じように年をとっていたら、その中から選んでもらえるんじゃないかなと考えています。ただそこにあって、気にもならないような、あるのが当たり前のような模様を作りたいんです」

今後の目標をそう語ってくれた岡さんですが、今ある模様は、どれも明るく楽しく可愛くて、見ているだけで幸せになれるような、じっくり眺めたくなるものばかり。

「クッションを作るのに使うくらいかな、と考えていた生地を、ある時お客さんが洋服に仕立てるということを聞いて、それならもう少し可愛らしい生地を作ってもいいのかなと思ったんです。植物らしい植物の絵を描くようになったり、鳥や動物がでてきたり。以前は模様を邪魔するんじゃないかと思って描いていなかったモチーフですが、それまで自分が考えていなかった楽しみというのも生地にいれたらいいんじゃないかと、がらりと考えが変わりました」

お客さんの思いに応えるべく、幅を広げた岡さんの模様はさらに愛され、コースターやカバンなどの小物や、ワンピースやコートなどの服にどんどん形を変えていきます。 

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 「この生地でワンピースを作ろうかしら」

「スカートにしたら可愛いかも」

お客さんのそんな言葉に、岡さんの創作意欲は刺激されます。ぜひ、カラフルな生地を手に取って、何を作ろうかな? と想像してみてください。そして、ぜひ岡さんとその思いを共有してください。そこからまた、新たな模様が生まれるかもしれません。

 【点と線模様製作所 岡理恵子さんに聞きました】
Q1 もみじ市に来てくれるお客様に向けて自己紹介をお願いします。
日常の風景や植物などを題材にしながら、北海道で模様作りをしています。その模様をのせて生地を作り各地転々と生地販売の旅をしています。

Q2 今回のテーマは「カラフル」ですが、あなたは何色ですか?
黄色と青が好きですが、紫と言われたことがあります。

Q3 今回はどんな作品をご用意してくれていますか? また「カラフル」というテーマに合わせた作品、演出などがあれば教えてください。
生地なので普通にしててもカラフルになるのですが
半端切れのセット
缶バッジ
ハンカチ
などを販売したいと思います。特別な演出はいつもできませんが並べるとカラフルになるのでお客様には楽しんでみてもらいたいです。

Q4 ご来場くださる皆さんにメッセージをお願いします!

さて、続いては大阪からやってくるあのイラストレーターさんの登場です! 誰もが思わずクスリと笑ってしまう紙ものは必見ですよ!

 

文●吉田茜