noyama「Bottled Foods Shop」(20日)

もみじ市に欠かせないものは、何だろうか。もちろん、最高の作り手・表現者である出店者の方々が集まってくれて、足を運んでくれるたくさんのお客さまがいるからこそ、こうして続けられている。ライブステージでの演奏があるから会場には一体感が生まれるし、手前味噌だけれどスタッフ(事務局とボランティアのみんな)がいなければ始まらない。それだけだろうか? まだ、重要な何かを忘れている気がする。もみじ市で感じた、喜び、感動。その記憶を呼び起こすと、同時に沸き上がってくる感覚がある。風のにおい、太陽の光、草の感触。青空はとびきりの舞台セットになり、芝生は柔らかな観客席になる。太陽の光を受けてキラキラ輝く川面は、どんな特殊効果が束になっても敵わない。一日の終わりに日が沈んで行く様子は、まさにエンディングにふさわしい演出だ。そうだ、いつだって、もみじ市は自然の中にあるのだ。

もみじ市が自然の中で行われていること。noyamaの4人に会って、私はそのことに改めて気づかされた。それは、noyamaの活動のテーマのひとつが「自然の楽しさ・美しさ」を伝えることであり、今回その舞台となるのが、我らが「もみじ市」だから。

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noyamaのメンバーは、自然の素材をモチーフに制作をする木工アーティスト・しみずまゆこさん、食・住・自然に関する企画やライティングを行う編集者・高橋紡さん、山を撮ることをライフワークとする写真家・野川かさねさん、玄米菜食を得意とする料理研究家・山戸ユカさんの4人。それぞれ、違うジャンルながら表現することを仕事としている。ユニット結成のきっかけは、アウトドア関連の仕事で、高橋さん、野川さんと一緒になることが多かった山戸さんの発案から。

「当時はまだ、女性のアウトドアがここまで定番ではなくて。私たちが山や川に行く時に着たい服がなく、女性目線の提案をしている雑誌もありませんでした。『そういう本を作りたいよね』って私が野川さんと高橋さんに声をかけて、本を出したいと書籍の企画をたてたんです」

3人の思いが一致し、noyamaとしての活動がスタートしたのは、”山ガール”ブームより少しだけ早い2008年。

「それぞれ、アウトドア雑誌の編集やメーカーと関わりがあったので、『自然と、もうすぐそういうブームが“来る”だろうな』という感じはありました。やりたいことが本になるタイミングと、流行がマッチしたんですね」

1年以上の歳月をかけ、出来上がった1冊目の本のタイトルは『つながる外ごはん』。初心者に向けた「外ごはん」のアドバイスや、毎日の暮らしにも役立ちそうな料理のレシピが盛り込まれている。章ごとに、3人のアウトドアにまつわる小さなストーリーが綴られていて、読み進めていくうちに心が山へ、海へと旅立って行き、体も後を追いたがってうずうずとしてくる。

「料理本は短い期限の中で撮影をすることが多いんですよね。でも、この本は期限がなかったので、季節を追いかけながら撮影していたら、自然と1年以上経っていました。四季折々の変化がちゃんと写りこんでいるので、写真の質が全然違うんです」

このときは、モデルやスタイリングなど撮影の手伝いをしてくれていたしみずさん。撮影に同行する機会も多く、同じ感覚を持っていたことから「一緒にやろう!」とメンバーに。そこから現在に至るまで、4人で活動を続けている。

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アウトドアと聞くと、道具をそろえるのがたいへんそう、と躊躇する人もいるだろう。けれどnoyamaが提案するのは、もっと簡単に、日常のすぐそばにある自然との関わり方だ。

「私たちの中でのアウトドアは、インドアに対してのアウトドアなんです。もちろん山や川で遊ぶことも楽しいんだけれど、もっと広い意味での野外。ちょっとした公園だとか庭だったり、身近なところにある自然を感じることを提案しているんです。身近に自然を感じたら、もうちょっと豊かな暮らしができるんじゃないのかなと」
今年の4月に発売された2冊目の本のタイトルは「noyamaのおつまみいろは」。お酒好きという共通点も持つ4人らしく、酒のつまみがテーマの本だが、ページをめくると目に飛び込んで来るのは、彩り豊かな野菜を使った料理の数々だ。
「おつまみの本だけど、五感で感じられたらいいなと思って章分けをしています。野菜の色がきれいとか、はごたえが楽しいとか」

大きくレイアウトされた色鮮やかな料理の写真に心が躍り、随所に差し込まれたしみずさんのイラストが料理の楽しさを引き立てている。1冊目とはまた違った角度からの提案。けれどnoyamaらしいと感じるのは、4人が共に抱える、創作に対する姿勢にブレがないからだろう。

「打ち合わせは真剣です。ビールを飲みながらしたいけど、飲んじゃダメよ。まだダメよ、と。で、終わったらプシュッと(笑)。やっぱり、みんなそれぞれの世界のプロになりたいと思っている。本は自分たち以外に多くの人の手を借りてはじめて出版できるものだし、買ってくださった方からはお金もちょうだいしています。趣味のつもりでやっていたらばちがあたる。満足してもらえる質が高い読みものを作りたいし、本を通じて楽しいことを多くの方とシェアしたいんです」(高橋さん)

「noyamaはそれぞれ得意とすることのジャンルが違っていて、尊敬できる人たち。普段はひとりで料理家として仕事をしていますが、3人から『すごくいいね』と言ってもらえる料理を提案しないといけないし。そうできなかったらいやだし。その辺の妥協ができないから、話し合いも長くなる。自分ひとりじゃ出来ないことですね」(山戸さん)

「(noyamaのメンバーは)友達というだけではなくて、仕事のつながりだけでもなくて、”自然がつないでくれた仲間”というのが一番しっくりくるかもしれないです」(しみずさん)

「マイペースに、そして今回のもみじ市のように色々な方たちと関わりあいながら、たのしく、ながく活動を続けていきたいと思っています」(野川さん)

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本だけを見ると料理の印象が強いnoyamaだが、自然をテーマにした様々なワークショップも行っている。

「毎年出させていただいているキャンプフェスのイベントでは、写真を展示したり焚火をしたり、料理教室をしたり、色々なことをやらせていただいています。出るイベントによって、『前回は料理だったから今回は違うのにしようか?』など、内容を考えています。しみずさんのものづくりや野川さんの写真のワークショップをすることも。イベントに出ると、『本を読みました』と言って来てくれる人もいて。出版の仕事をしているとそんなに読者の人とお話することってないから、すごくうれしいですね」(高橋さん)

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そして今回、もみじ市でnoyamaの4人が提案してくれるのは、簡単にできる外ごはんのすすめ。カレーペーストや季節のスープなど、4種類ほどの「外ごはんの素」となる瓶詰めが登場!

「テーマがカラフルということもあって、色のきれいな旬の野菜を使った、目にも鮮やかで口にもおいしい瓶詰めを販売します。それをもって出かければ、バーナーなどで温めるだけでどこでも食べられます。お手軽だけれど、化学調味料や保存料は入っていない。ちゃんとつくったものを食べようという提案です」

さらに、シングルバーナーを使って瓶詰めのスープを温めるワークショップも開催。山戸さんによる、ダッチオーブンのデモンストレーション付き(メニューは、チキンと野菜のダッチオーブングリル!)。漫談や小咄も飛び出すという、楽しいこと間違いなしのワークショップ。外ごはんを始めるきっかけがつかめない人の、入り口になるような内容になっている。

「文化系だった私もnoyamaがきっかけで外遊びの幅が広がりました。興味ないな、私には関係ないな、という人にこそ来ていただけると、新しい扉が開くと思います。小さいお子さんと一緒でも遠慮しないでください。老若男女問わず、下は0歳から、上は100歳まで来ていただきたいです!」(高橋さん)

青空の下、風のにおい、草の感触を感じながら、ぜひ、noyamaのテントを訪ねてみてほしい。ここで感じたことは、きっと、あなたの記憶に鮮やかな色をともなって、刻まれるはずだから。

<「noyamaの外ごはんworkshop」のご案内>

開催日時:
10月20日(日)12:00~13:00
参加費:2800円
定員:10組
お申し込み方法:件名を「noyama外ごはんworkshop申し込み」とし、ご希望の時間帯、人数、お名前、お電話番号、メールアドレスを明記の上、【workshop07@momijiichi.com】へメールでご連絡ください。
お申し込み開始日:10月15日(火)午後12:00から受付を開始いたします。

※参加費は1組あたりの値段です。料理を分けるということであれば、1組複数人でご参加いただけます。

【noyamaのみなさんに聞きました】
Q1 もみじ市に来てくれるお客様に向けて自己紹介をお願いします。
木工アーティストのしみずまゆこ、編集者の高橋紡、写真家の野川かさね、料理研究家の山戸ユカからなる出版、イベントユニット。日本中の野や山へでかけ、その土地の空気を吸い、食べ物をいただき、お酒を飲む。そんなふうに「食を通じてその土地とつながる」ことをテーマに活動しています。著書に『つながる外ごはん』(小学館)、『noyamaのおつまみ いろは』(大泉書店)があります。

Q2 今回のテーマは「カラフル」ですが、あなたは何色ですか?
山や木々、花々、空、雲など自然の中にある色。でも、緑や茶色など地味目……。

Q3 今回はどんな作品をご用意してくれていますか? また「カラフル」というテーマに合わせた作品、演出などがあれば教えてください。
オレンジ、緑、赤など野菜たっぷりの美しい色のスープを作ります。材料をじっくり炒めたり煮込むことで生まれる、自然な美しさを味と共にお楽しみ下さい。

Q4 ご来場くださる皆さんにメッセージをお願いします!

さて、続いてご紹介するのは、動物を彫ることに人生をかける彫刻家。もみじ市に初出店です。

文●吉田茜

ウィスット・ポンニミット「タムくんの青空似顔絵」(19日)

「ものづくり人が集う、世界一のイベントにしよう」

そんな掛け声とともに、半年前に準備がスタートした今年のもみじ市。“世界一”という言葉は、人によってはまったくの冗談に聞こえるかもしれません。でも、今年のもみじ市は一味も二味も違います。“日本一”を越えたイベントになるのでは……。なんと9回目の開催となる今回、初めて海外からゲストがやってきます! 

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彼の名前は、ウィスット・ポンニミット。タイ・バンコク在住のマンガ家・アニメーションアーティストです。日本では「タムくん」の愛称で親しまれています。1998年にタイでマンガ家としてデビューした後、2003年から3年間日本に留学。彼の描くマンガが単行本として2004年より日本でも出版され、「SAKEROCK」や「くるり」といった著名なミュージシャンのプロモーションビデオやアートワークも手掛けています。

buranko(C)ウィスット・ポンニミット/小学館

タムくんの描くマンガには、“こども”の自分と“大人”の自分、どちらにも響く不思議な力があります。初めて彼の作品に触れたのは、『月刊IKKI』というマンガ誌で連載されていた『ブランコ』という作品。だれかの傷を自分に移して治したり、過去の記憶を見ることができたり、不思議な力をもつ「ブランコ」という少女が主人公のお話です。家族や恋人、宇宙人や記憶を預かる不思議なおばちゃんなど、ユニークなキャラクターとともに主人公が時を越え、宇宙を越えて生きる壮大なストーリー。こんな風に書くとファンタジーばかりの物語に聞こえるかもしれません。確かに、未来の街やタイムマシーン、ビームの出るタバコ、魔法のような主人公の力に子ども心がドキドキします。でも、それだけではありません。彼の描くストーリーや、登場するキャラクターたちが体験する世界、彼らがそこで感じる思いやそこから溢れ出る言葉には、現実に大人として生きる自分たちへのメッセージが詰まっています。たとえばこの作品では、まさに「ブランコ」のような人生が主題となっています。振り返りたくない過去の記憶を消したり、望まない未来をいろんなものを犠牲にして変えようとしたり。過去と未来、それぞれに振り回されてなかなか上手くいかない主人公たちですが、最後に主人公・ブランコがこんな風に思うのです。

「現在に、今だけじゃなくて昔と将来も重なってる。ブランコに乗るみたいに、昔の懐かしいことを思ったり、夢のある将来を思ったり。ブランコは揺れて楽しい。楽しくて、また揺らしたくなる…。私達はいつから揺れてきたのかな。私達はいつまで揺れていくのかな。いつかそこから降りられて、平和な気持ちになれるといいな」

今生きているその時間を大切にしたい、そこで一緒に生きる人との幸せを願いたい。それは、ブランコをたくさん漕いできた大人の皆さんだからこそ、きっと感じられるメッセージです。

家族や友人、恋人同士など、人のつながりが描かれた日本のマンガにも影響を受け、自身もそうした関係や人となりを好んで描くというタムくん。そんな“人”好きな彼の個性が光る活動が行われています。東京・渋谷のギャラリー「SUNDAY ISSUE」とのコラボレーションで行っている「Myday Portrait 2013」というオンラインの似顔絵プロジェクト。Skypeや写真を使って、バンコクにいるタムくんが日本にいる人の似顔絵を描くのです。

今回のもみじ市ではなんと、タムくんがバンコクから、多摩川河川敷にやって来ます(本物ですよ!)。「タムくんの青空似顔絵」と題して限定16組で似顔絵イベントを行ってくれます! タムくんは「似顔絵を描いていると、描かれる方は笑ってくれる。うれしい」といいます。家族で、恋人と、友だちと、ぜひご参加ください。もちろんおひとりでも大丈夫。あなたのとびきりの笑顔を、タムくんがきっと描いてくれます。

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<ウィスット・ポンニミット「タムくんの青空似顔絵」のご案内>
開催日時:
10月19日(土)
①11:30~12:30(4組)
②13:00~14:00(4組)
③14:00~15:00(4組)
④15:00~16:00(4組)
定員:各回4組(事前お申し込み制)
お申し込み方法:件名を「タムくん似顔絵イベント申し込み」とし、ご希望の時間帯、人数、お名前、お電話番号、メールアドレスを明記の上、【workshop06 @momijiichi.com】へメールでご連絡ください。
お申し込み開始日: 定員に達しましたため受付を締め切らせていただきました。たくさんのお申し込みありがとうございました!

参加費:
1名様 4,500円
2名様 8,000円
3名様 10,000円
*幼児は1名様まで無料です
*すべて1枚に描く場合の参加費です
*ご予約のキャンセルはお受けいたしかねますので、予めご了承の上お申し込みください
所要時間:1組 約15分

【タムくんに聞きました】
Q1 もみじ市に来てくれるお客様に向けて自己紹介をお願いします。
タイ人のマンガ家です。日本にも住んでいたことがあります。マンガを描いたり、アニメーションつくったり、音楽の活動をしています。今回は似顔絵屋さんをやります。似顔絵屋はタイでも日本でもずっとやっていて、プレッシャーがなくていい。みなさんもゆっくりした気持ちで来てくださいね。あとマムアンちゃんっていうキャラクターかいたりしていて、そのマムアンちゃんのグッズをいろいろつくってるので、今回はグッズを売ったりもします。

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Q2 今回のテーマは「カラフル」ですが、あなたは何色ですか?
あまりこの色っていうのはないかな。好きな色は、ぼくのキャラクターに「したくん」っていうのがいるんだけど、そのボディースーツの色の緑かなあ。ぼく自身は透明な感じでいて、みんなのいろんな色感じれたらいいなあと思ってます。

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Q3 今回はどんな作品をご用意してくれていますか? また「カラフル」というテーマに合わせた作品、演出などがあれば教えてください。
もみじ市でみなさんの似顔絵をかけるの楽しみにしてます。「カラフル」というと似顔絵をカラフルに描くしかない!

Q4 ご来場くださる皆さんにメッセージをお願いします!

さて、続いてご紹介するのは、異なる分野で活躍する4人の女性が結成したあのアウトドアユニットです!

文●柿本康治

古書モダン・クラシック「秋の青空ふるほん屋」

偶然とは、時に喜びだ。
たまたま通りかかった道で懐かしい友人に再会したり。たまたま空いた時間に入ったお店でお気に入りの曲が流れていたり。たまたま見た時計が好きな人の誕生日と同じ数字をさしていたり。
偶然の中で見つけた喜びは、私たちの生活を彩ってくれる。

本とは、そういうものだと思う。

偶然の出会いの中から生まれる“知る喜び”を伝えるために、本と私たちをつなげてくれる人たちがいる。オンライン古書店「古書モダン・クラシック」の古賀大郎さん・加代さんだ。

つつじヶ丘にあるカフェ手紙舎には、壁一面を覆うほどの大きな本棚がある。焦茶色の長方形に区切られた棚には、少し色褪せた『暮しの手帖』や『クウネル』、数十年前の写真集や料理本が並んでいる。今では見かけなくなった書体やモノクロの写真で構成された表紙が、古いはずなのに新しく映る。ここは過去なのか未来なのか。タイムスリップしているかのような、不思議な錯覚をおぼえる。

「手紙舎に合ういい本が入ったら、ここに並べています。好きなようにやらせてもらっていますね」

持ってきた本を並べながらそう話す加代さん。ここは、実店舗を持たないオンライン古書店である「古書モダン・クラシック」がセレクトした本を直接買うことができる、唯一の場所でもある。

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これだけ魅力的な本がたくさんあるなら、自らお店を構えることもできるのでは?

「実店舗をやる気は、今のところまったくないんです。オンライン古書店ということを大切にしたくて。店舗だと、来てくださるお客さまが限られてしまう。でも、インターネットだと、24時間、日本中、世界中の人が買えますよね。営業時間が関係ないので、どんな時間帯の仕事の人でも本が買える。それがいちばんの魅力だと思っています」

より多くの人が古書に出会える場所として。古書モダン・クラシックは、インターネット上でのみ、開店している。

かつては会社員だった加代さん。オンライン古書店に魅了されたのは今から十数年前のこと。

「はじめてオンライン古書店の存在を知ったんです。当時、私が住んでいる街には古本屋さんがなくて。そんな時、インターネットで女性向けのテイストの古本屋さんを見つけて。その中に、古い『暮しの手帖』の表紙の写真が並んでいて、それに感動して買ってみたんです。それからちょくちょく買うようになりました」

すっかりオンライン古書店にはまってしまった加代さん。いつかひとりで古書店をやろうとひっそりと計画を立てていた中、特集やテーマがおもしろく、気がつけば常連になっていた古書店があった。それを運営していたのが、のちに一緒にオンライン古書店を立ち上げることになる大郎さんだった。それから時はすぎ、2007年元旦に、「古書モダン・クラシック」は誕生した。

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神田神保町に、日本中の古書店が買い付けにやってくる古本市場がある。数百冊単位の本が紐で結ばれ、束となり、売られている。それをまるごと買い付けた古書店主は、膨大な数の本の中から選び抜いた本をお店に並べていく。はるか昔からずっと変わらないこの古書の流通の中で、どんな本に出会い、どれを選んでいくか。そこに、古書店の個性が見えてくる。

古書モダン・クラシックには、大郎さんと加代さんそれぞれがじっくりと厳選した本だけが並ぶ。大郎さんは主に写真やデザイン関連、哲学や文学の本を。加代さんは、料理などの女性の暮らしにまつわる実用書を中心に選んでいる。

「作られたお話より、実際にあるものが好きなんです。筆者の普段の暮らしぶりがわかるエッセイとか。どんな暮らしをしているのかすごく興味があって。自然とそういった本を選んでいます」

膨大な数の古書の中で、ふたりと偶然の出会いを果たした1冊1冊が古書モダン・クラシックに並び、再び誰かと出会い、旅立っていく。本を人の手から人の手へ。古書モダン・クラシックは、その橋渡し役なのだ。

もみじ市ではどのような本をセレクトして持ってきてくれるのだろうか。

「いま、ラストスパートで準備中です! もみじ市のために少しずつこつこつと集めています。いつものように絵本が中心ですが、今回は、どんな年代の人が来ても何かしら好きな1冊が見つけられるようにしたいと考えています。大郎さんが選ぶ古い男性向けのものや、私が選ぶ女性の生活にまつわる実用書だったり。絵本もエッセイも小説も、いろんなジャンルをご用意して、みなさんに楽しんでいただけたらと思っています」

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子どもの頃にお母さんに「読んで」とせがんだ絵本。今にもおいしい湯気が出てきそうな料理本。異国の風景を写し出す写真集。そんな、懐かしい本に出会える喜び。そして、もしかしたら一生出会わなかったかもしれない古き良き本に“偶然”出会える喜び。そんな喜びを提供するべく、古書モダン・クラシックは、多摩川河川敷でみなさまをお待ちしています。古賀夫妻は、あなたがまだ知らない、あなたが思うよりもずっと鮮やかで楽しいこの世界を、きっと教えてくれるはずです。

【古書モダン・クラシック 古賀大郎さんと古賀加代さんに聞きました】
Q1 もみじ市に来てくれるお客様に向けて自己紹介をお願いします。
オンライン古書店の古書モダン・クラシックと申します。インターネットで、店主は男性向け、相棒のカヨは暮らしに根ざした女性向けの古本をセレクトして販売しています。
そして、つつじヶ丘の手紙舎さんの本棚でも古本を販売しております。

Q2 今回のテーマは「カラフル」ですが、あなたは何色ですか?
店主の色は「オレンジ」で、相棒のカヨの色は「パウダーブルー」です。

Q3 今回はどんな作品をご用意してくれていますか? また「カラフル」というテーマに合わせた作品、演出などがあれば教えてください。
本の中で「カラフル」といえば、やはり絵本。写真は、黄色の表紙の絵本を集めてみました。他にも、青や赤や緑色などもたくさんありますので、色別に並べてみようかと考えています。
今年も子どもたちの大好きな絵本をたくさん持って行きます。大人の皆さんにも懐かしい一冊を見つけていただけましたら幸いです。

Q4 ご来場くださる皆さんにメッセージをお願いします!

さて、続いてご紹介するのは、なんとタイからやってくるイラストレーターです!

文●高松宏美

norioはんこ店「オーダーはんこ+押してみようはんこ」

「私の作品は私だけのものじゃないんですよね。半分はお客様の作品なんです」

これは、norioさんの言葉。全国各地を飛び回り、お客さんと1対1で向き合いながら、その場ではんこを彫りあげるnorioさん。その活動を始めて、もうすぐ10年目を迎える。

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大学で日本画を学んでいたnorioさんがはんこを彫り始めたきっかけは、10年前に働いていた雑貨店。オーダーメイドはんこを作るイベントをそのお店で開催したことがきっかけだ。「恥ずかしいんですけど」と見せてくれた1冊のアルバムには、当時の作品が収められていた。そこには、はじめて作ったとは思えないほどの出来栄えの作品がずらりと並んでいた。
「彫り方も未熟だし、イラストもすごい偏っているんです。できることが限られていたから。この時来てくれたお客さんには感謝しかないですね」
norioさんはそう言うが、あきらかにセンスを感じさせる作品の数々。はんこ作家norioが誕生した瞬間だった。

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それからは、ひたすらお客さんのために彫りながら、技術を上げていった。10年経った今では、はんこが彫り上がるまでの一連の動きはスムースで、単に彫るための作業をしているわけではなく、その作業自体がエンターテイメントなのではないか、と感じる。

ここで、norioさんがはんこを彫っている場面を実況中継。

小さい机を挟んでお客様と向かい合うnorio さん。まずはお客さまの要望をヒアリング。その顔はニコニコ。
おっと、お客さまの話を聞きながらすでに鉛筆を走らせている。あっという間にひとつ目の図案(下書き)が完成。
それもつかの間、じゃあ今度は、と別の視点から描き出された図案が完成。
ふたつの図案を見比べながらお客さまと意見交換。もうこの時点でお客さまは嬉しそう。
図案が決定。トレーシングペーパーに描いたイラストをゴム版にぎゅっとこすりつけて絵柄を写す。
ゴム版を迷いのない手つきで掘り進めていく。手を動かしながらもお客様に話しかけるnorioさん。That’s Entertainer!
そうこうしているうちに世界にひとつだけのはんこが完成!
これで終わりではない。完成したはんこを使って、インクの付け方のコツを教えてくれる。
終了。お客さまはみな、とっても幸せそう。

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norioさんは、1組あたりにかける時間を決めていると言う。それには理由がある。
「時間があればいいというものでもないんですよね。時間があるとあれもこれもと悩んでしまって、お客さまの本当に欲しいものが見つけにくくなってしまうと思います。それと時間が決まっているからこその良いこともたくさんあって。前のお客様と次のお客様の交流が生まれたりするんです」
リピーターが多いのもnorioはんこ店の特徴。
「最初はおひとりではんこを作ってくれて、そのつぎは結婚して旦那さんとふたりで、子どもがうまれて3人で、家を建てた記念のはんこ、という風に節目で作りに来てくれる方もいて、本当にありがたいなと思います」

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今や、全国各地にnorioさんのはんこを待っている人がたくさんいる。
「毎年呼んでくださる方がいるのも本当にありがたいことだと思っています。そこに、これからは自分がはんこを作りに行きたい場所も加えられたらいいなとも思っています。自分の作品を作り続けるよりも、相手が必要としているものを作るというこのスタイルが、自分の性に合っているのだと思います」
そう、norioさんのはんこは、お客さまあってのもの。“半分はお客様の作品”なのだ。

どれだけ人気になっても変わらず、お客さまひとりひとりに向き合ってはんこ作りを続けていくnorioさん。ファンを増やし続けるnorioはんこ店は、今年ももみじ市の会場で、各日8組様限定でオーダーはんこづくりを行います。ご希望の方は開場後、norioさんのブースまでお越しください。参考となる印刷物や写真もぜひお持ちくださいね。

また今回は、ポストカードと切手、はんこをセットにした「押してみようはんこ」を販売します。ポストカードの絵柄を、norioさんのはんこで自分なりに彩ることができますよ。この日のためにnorioさんは、カラフルなインクやマーカー、特製のポストを用意して、みなさんのお越しをお待ちしています。

<norioさん オーダーはんこのご案内>
10月19日(土)11:00〜16:00
10月20日(日)10:30〜15:30

お申し込み方法:
もみじ市当日「norioはんこ店」ブース前にて先着順で受付をいたします
一日8組限定/お一人様30分ご予約制

お客様と一緒にモチーフを決め、はんこ(ゴム版)を制作し、その場で販売いたします。 皆様のはんこにされたいイメージをお伝えください。お写真や印刷物などの資料、大歓迎です!
はんこは何点でもお受付可能ですが、1点のご注文ですと当日お渡し、2点以上のご注文になりますと(モチーフの内容や個数によります)後日ご郵送となる場合もございますのでご了承ください。(11月中旬お渡し予定)

はんこ(大)税込3675円…内容の細かいもの。文字やモチーフの多いもの。3人以上の人物、動物。
はんこ(中)税込2940円…2人までの人物、動物、物+お名前、屋号などの文字。
はんこ(小)税込2100円…文字のみ。

※ 制作内容により大きさが変わります。お値段はモチーフご相談の際にお伝えいたします。

【norioはんこ店 norioさんに聞きました】
Q1 もみじ市に来てくれるお客様に向けて自己紹介をお願いします。
はんこのnorioです。京都精華大学日本画学科を卒業後、2005年より活動を開始。お客様と対面でお話をしながら図案を決め、オーダーでゴム版はんこを作っています。北海道から沖縄まで色んな土地にひょっこり現れます。

Q2 今回のテーマは「カラフル」ですが、あなたは何色ですか?
サンドベージュ。はんこのベースによく使うインクの色にサンドベージュという白い紙にも押せる白色があります。今年は白く新しい気持ちでもみじ市に参加したいという想いもこめて。

Q3 今回はどんな作品をご用意してくれていますか? また「カラフル」というテーマに合わせた作品、演出などがあれば教えてください。
いつものはんこオーダーに加え、ご来場の皆様にはんこをその場で押してカードを作れるようなスペースを用意したいと思います。カラフルなインクやマーカーとはんこを用意してお待ちしております!

Q4 ご来場くださる皆さんにメッセージをお願いします!

さて、続いてご紹介するのは、手紙舎つつじヶ丘本店の本棚を飾ってくれるあの人たちです!

文●市川史織

早稲田大学ジャグリングサークル〜infinity〜「infinityジャグリングパフォーマンス」

もう何年も使っていない言葉を文字にしたら、なんだか照れくさくなった。
「青春」
彼らを見ていると、そんな言葉が思い浮かぶ。照れくさい? いや、本当はうらやましいのかもしれない。だって彼らは、キラキラ輝いているから。

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待ち合わせの場所に指定されたのは、早稲田大学のキャンパスからすぐのところにある戸山公園。制服や部活のユニフォームを着た学生、小さな子どもを連れたお母さん、昼下がりを楽しむおじいちゃん。都会の真ん中とは思えない緑溢れる環境の中で、それぞれの時間を穏やかに過ごす、微笑ましい風景があった。早稲田大学ジャグリングサークル〜infinity〜のメンバーたちが集う一角を除いては。

テンポのいい音楽と、公園いっぱいに響き渡る笑い声。ボール、ボックス、コマなど、舞うはずのないものが空を駆け巡る。
「何だ、あれ?」
通りすがりの人も、ついつい足を止めてしまう、インパクトのある光景だ。

「授業がない時間にふらっと来てみるといつも誰かがいるんです。練習するのは、木曜日と土曜日って決めているんですけどね、いちおう」

そう話してくれたのは、早稲田大学3年生の藤森壮也さん。彼らのジャグリングを見るのが初めてだった私に、彼はいろんなことを教えてくれた。サークルとして結成されたのは7年前で、当時のメンバーは5人しかいなかったこと。現在の部員数が70人を超えていて、OBだけでも100人以上いること。そしていま、ジャグリングに夢中であるということを。

藤本さんが、早稲田大学に数あるサークルの中でジャグリングを選んだのは、友人が入っていたから。ジャグリング未経験だった彼は、最初はものを投げることも受けとることもできなかったという。でも、ジャグリングが楽しかった。ここに来れば仲間もたくさんいる。練習が苦になることはなかった。

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「サークルに入る人の半分が経験者、半分が未経験者なんです」

どの競技においても言えることだけど、努力をすればするほどできることが少しずつ増えていく。藤本さんも日が経つにつれて、空にいろんなものを飛ばせるようになった。だんだんとジャグリングの魅力にはまっていった。

「合宿に行く時は、大きな体育館を借りて1日中ジャグリングをやっています!」

テレビの出演、企業、保育所、老人福祉施設のイベントなど、あらゆる方面からオファーがあるという。アマチュアと言えども、プロ並みの活躍だ。実際、彼らからは“アマチュア感”は漂って来ない。もっとうまくなりたい、たくさんの人を楽しませたい。そんな熱い想いが、しっかりと伝わってくる。

「1曲を通して、やってもらうことってできますか」
練習風景だけでも、「おー」「わー」「すごーい」とはしゃいでいたけど、やっぱり最初から最後まできちんと見ておきたいと思った。音楽が始まり、手に持った道具がリズムと一緒に宙を舞う。道具ひとつで人を愉快にさせたり、驚かせたりできるジャグリングっておもしろい。

「ジャグリングの魅力ってなんですか」
最後に問いかけてみた。
「どんなやつでも、ヒーローになれるんです」
なんてこった! 予想以上にイキイキと、キラキラとした答えが返ってきた。ひとことで言えば……、やっぱり青春だ。

【早稲田大学ジャグリングサークル〜infinity〜さんに聞きました】
Q1 もみじ市に来てくれるお客様に向けて自己紹介をお願いします。
早稲田大学ジャグリングサークル〜infinity〜です。コマやボールなど、ものを投げたり、取ったりしながら、常に1つ以上のものを浮かせた状態を保つパフォーマンスを披露します。

Q2 今回のテーマは「カラフル」ですが、あなたは何色ですか?
赤、青、黄色など、あらゆる色を持つ虹色です。使う道具や人によって、全く違うカラーのジャグリングを披露します。

Q3 今回はどんな作品をご用意してくれていますか? また「カラフル」というテーマに合わせた作品、演出などがあれば教えてください。
自由にパフォーマンスをすることで、当日にしか見られないジャグリングが生まれると思います。楽しみにしていてください。

Q4 ご来場くださる皆さんにメッセージをお願いします!

さて、続いてご紹介するのはもみじ市では毎回大人気の手彫りはんこのあの人の登場です!

文●新居鮎美

丸林佐和子「こども工作」(19日)

「子供とお母さんの気持ちを、いちばんわかってあげられる造形作家になりたいんです」

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丸林佐和子さんは造形作家。その経歴は、児童館での工作の先生に始まり、雑誌付録のアイデアプランナー、 NHK教育テレビ『つくってあそぼ』の造形スタッフなど、多岐に渡ります。現在では著書を手掛けたり、全国各地で子供たちのための工作のワークショップも開催するなど、とにかく忙しい日々を送っています。そんな丸林さんが、子供に教える楽しさに目覚めたのは、大学一年生の時。画家になろうと美術大学に通っていた頃に、友人に誘われて、児童館で工作の先生をしたことがきっかけでした。

「子供って作ったときに、ものすごい笑顔になるんです。自分が教えたことでこんなに喜んでもらえることってあるんだ! って、ものすごい嬉しくなっちゃって」

丸林さんの父親は学校の先生。それも、休日のたびに生徒が家に遊びにくるような先生でした。子供と対等に話すことができる人だったと言います。そして、そんな父の姿を幼い頃から見ていたからでしょうか。丸林さんもまた、自分が子供の声を受け止められるタイプである人間だということに気付きます。

「そういうことが当たり前だと思っていたので、子供とすぐに馴染めたんです。自分では普通に接しているつもりでも、子供からしてみたらそれが接しやすかったのかもしれませんね。今思えばですけど。本当に合っていたんだと思います」

絵を描いて、観てもらうよりも、より直接的に伝わる“教える”という作業に、丸林さんは、いつしか自然とのめり込んでいきました。
ここまでは「子供」の気持ちをわかってあげたいと願う、丸林さんの一つ目の側面。そしてここからは、もう一つの側面である「お母さん」の気持ちをわかってあげたいと願うお話です。

大学を卒業してから、早い段階で子供を授かった丸林さんは児童館の先生を離れざるをえませんでした。子育てに奔走する日々の中で、お子さんが通う幼稚園でバザー係になった丸林さん。ふたを開けたら、例年と比較にならないくらいものが売れたそうです。そりゃそうだ。なんたって丸林さんが作ったものがバザーに出てるんですよ。木のリースを糸ノコで作れる主婦なんて、めったにいない。

そのことは、たちまちお母さんの間で話題になり、手作り教室をやろうということになりました。丸林さん、なんと市役所に掛け合いに行ったんです。

「とにかくお母さんが楽しめる場所を作りたいんです!」

丸林さんの熱意がよっぽど伝わったのか、ひとり、そしてまたひとりと巻き込んで行き…、結果、託児所付きの教室を開催できるようになりました。

お母さんが子育ての合間に、どんなことをやりたいか。当時の丸林さんは、そんなことばかりを考えていました。お洒落なこともしたいし、自分の趣味の時間も持ちたい。もちろん子供とも遊びたい。そんな気持ちをどうやって解消してあげられるかを。その結果、カフェご飯を作ったり、ちょっとおしゃれなバーベキューをやったり、果てはフラワーアレンジメントまでも。とにかく、お母さんが興味を持ちそうなことは全てその教室に盛り込んだそうです。

「だから私、子供のこと大好きだけど、それと同じくらい、お母さんのことも大好きなんです」

丸林さんの工作といえば、見た目の可愛さはもちろん、シンプルでとってもわかりやすいものばかり。自分でも作れるかも! そう思わせてくれます。それにもかかわらず、その作品のクオリティーはとても高いことが大きな特徴です。それには、今まではあまり語ってこなかった真意があるようです。

「見た目をよくしてるのは、子供だけでなく、出来た作品が、お母さんにも愛してもらえるようにしているからなんです。お母さんが喜んでくれると、子供も参加もしてくれるし、子供が苦手でもお母さんが参加しようとしてくれるし、一緒に作ったものを飾ってもらえれば、家にあたたかい空気ができたりして、全てが良いほうに向かって行くことに気付いたんです。作品を綺麗なものにすることで、すごく広がりが生まれるんだなって」

さらに丸林さんは続けます。

「工作って一緒にやってもらえると、楽しいだけじゃなくて、間近で子供の成長を見ることができるんです。それに、何が一番良いって、お母さんも一緒に作ってくれると、家に返って、それをもう一回やってくれるんです。さらに、他の友達にも伝えてくれようとするんです。広がりができて、お母さんの楽しみになっていくんですよね」

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子供がなにが好きで、なにがほしいのか、お母さんがどんな場所を求めているか。丸林さんが作品よりも大事にしていること。それは、子供の気持ちとお母さんの想いを汲み上げること。自分がやるべきことはそこなのだと、彼女はわかっている。

「だから、私の工作は、何を作るかじゃなくて、どんな場所を提供できるかなんです」

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テレビや書籍など、今となっては活躍の場が山ほどある丸林さん。それでも彼女が、ワークショップをやりたがる理由。この人はよっぽど子供に教えることが好きなんだなあ。今まで私は、その程度の認識でしかありませんでした。でもそれは大きな間違いでした。ワークショップは、丸林さんにとって最も大切にしている日常であり、ライフワークだったのです。

「教える仕事が一番初めだったということもあるんですけど、とにかく、子供とお母さんに会いたいんです。仕事しながら子育てするのも大変だし、子供と一日中いるのももちろん大変。ただ、私は幸運なことにそのどちらも経験しているので、お母さんとたくさんお話して、お友達になりたいんです。私のワークショップは、そういう場所にしたい」

最後に、丸林さんのこんなぼやきをひとつ。

「ワークショップの後に、お礼のメールをたくさんいただくんですけど、誰も先生って呼んでくれないんですよ。冒頭の書き出しは必ず『佐和子さん』なんです(笑)」

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そう嬉しそうに話す丸林さんは、誰よりも優しい工作の先生だ。

唯一無二の造形作家・丸林佐和子さん。彼女は多摩川河川敷の青空の下で、子供たちが来てくれることを、そして、その子供に手を引かれたお母さんが来てくれることを、誰よりも、誰よりも願っている。

〈丸林佐和子「カラフルなチョウチョをとばそう!!」ワークショップのご案内〉
開催日時:
10月19日(土)11:00〜15:30
(19日が雨天の場合は、以下に変更となります)
10月20日(日)10:30〜15:30

参加:900円
定員:とくになし(材料が無くなり次第終了)
お申し込み方法:当日ブースにて直接お申し込みください。

【丸林佐和子さんに聞きました】
Q1 もみじ市に来てくれるお客様に向けて自己紹介をお願いします。
造形作家の丸林佐和子です。わくわくさんの『つくってあそぼ』の造形スタッフを3月に卒業して今は、べねっせの『ぽけっと』の造形あそびの監修をしています。
沢山の子供達に会えるのを本当に楽しみにしています!!

Q2 今回のテーマは「カラフル」ですが、あなたは何色ですか?
私の色は…、なんだか、ちっとも思いつきませんでした。工作の作品も色を多く使いますので、多くの色に囲まれて生きていますが、自分はなんだろう?? 土の色かな?? 農婦でもありますのでそんな大地の土の色かもしれないです。

Q3 今回はどんな作品をご用意してくれていますか? また「カラフル」というテーマに合わせた作品、演出などがあれば教えてください。
今回は。色とりどりの『ちょうちょ』をつくります。ちょうちょを棒につけて、ゆらゆらと飛ばしながら、瓦を子供達が遊んでくれたらいいなぁと思っています。

Q4 ご来場くださる皆さんにメッセージをお願いします!

さて、続いてご紹介するのは、未来を担う若きパフォーマー集団の登場です!

文●加藤周一

hinatabocco「パンケーキと自家製ジャムのソーダ」

そこは、少女たちの生活に寄り添う“かわいい”が詰まった特別な空間。hinataboccoとは、そんな店だ。

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JR多治見駅を降りて、目的の店、hinataboccoまで歩く。天気のよい週末の昼間だったけれど、人通りは少ないのんびりとした道のりだ。大通りから少し入り、壁面をタイルで覆われたその建物に入ると、空気は一変した。女性客でいっぱいで、明らかに外とは違う世界が拡がっていた。

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あたたかみのある木のテーブルと、レトロな雰囲気の椅子やキャビネット。ゆったりとしたふかふかのソファ席には、おばあちゃんの家で昔見かけたようなかわいらしいニット編みのクッション。店内のそこかしこに置かれた小さな雑貨やドライフラワーは、どの席に座っても視界をにぎやかに彩る。

唯一の男性客であろうことに少々気後れしたが、幸運にも空いていた一席に案内されて腰を下ろす。ボリューム満点ではじめから持ち帰り用の袋まで付いていると噂の「野菜畑のフォカッチャプレートセット 」は残念ながら売り切れとのこと。

パンケーキが気になりつつも、名前に惹かれて「アフタヌーンティーセット」を注文。手持ち無沙汰に任せて壁に掛けられていた「今月のごはん」の説明をしげしげと眺める。「香ばしくグリルした3種のキノコとレンズ豆をたっぷりのせた秋のカレーライス」というのがなんとも魅力的だ(結局デザートを食べた後に我慢できず注文してしまうこととなる)。

しばらくしてベレー帽を被った女性スタッフが何やら大きな物を抱えてこちらのテーブルにやってきた。その正体は大きな籠に入って出てきたかわいらしい茶器とデザートのセット。目の前に置かれたそれを見て、でかい身体の自分の身なりとのギャップに、他の人の目を気にして周りを見渡してしまった。

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 当然、私の照れなど誰も気にしていない。おのおのが好きなデザートを食べながらおしゃべりに夢中になっている。ちょっと耳を傾けてみる。後ろのテーブルの女の子は、将来自分が開きたいという雑貨屋について夢中で語っているのが印象的だった。横のテーブルではつきあいはじめの恋人のことを熱心に相談しているようだ。

店内をよく観察してみると、なるほどこの店の世界観が好きであろう女の子グループのみならず、ギャルっぽい(死語?)女性ふたり組や、年配の女性グループもいる。私が注文したアフタヌーンティーセットが特別ボリュームがあるわけではなかったようだ。他のテーブルでも、料理が運ばれて来た時にはちょっとした歓声があがっていた。

“かわいい”が詰まった驚きのある盛りつけ。この店のご主人・近藤数敏氏さんは、人を驚かせることが好きで「お客さんに『わっ』と言ってもらわないとここに来てもらった意味はないと思うくらいなんです」と言い切る。食べることが好きな近藤さんが「自分が出されてうれしい料理」を提供する。それがhinataboccoの基本コンセプト。大きな皿を使った料理の見せ方は、大阪での修行時代に勤めていた店から学んだこと。この紹介ブログの動画撮影時には、「自分は表に出るタイプではないので」とスタッフに任せていた近藤さん。決して自分が自分が、と前に出るタイプではないのだが、店の料理のことを語る口調は静かだが力強い。ホールに出ることは少ないが、「お客さんはちゃんと驚いてくれているかな」と、いつも厨房から様子を伺っているのだそうだ。

“かわいい”で溢れた空間での楽しいおしゃべりと店からの嬉しいサプライズ。この店のことを噂に聞いて、はるばる県外から訪れてくるお客さんも少なくないという。みな、この店の世界観を求めて、気のおけない人たちとやってくるのだ。日常の延長にあるこのちょっと特別な空間で、ちょっとした夢を見て、良い気分になって、またそれぞれの日常に戻っていくのだろう。

そんなhinataboccoがもみじ市の会場でどんな驚きをみせてくれるのか。私は期待せずにはいられないのだ。 

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【hinatabocco 近藤さんに聞きました】
Q1 もみじ市に来てくれるお客様に向けて自己紹介をお願いします。
岐阜県多治見市のhinataboccoです。季節の野菜を中心にした料理と旬の果物を使ったデザートをお出ししていますを毎年メニューは変化させていて前の年よりもよいものを提供できるよう努力しています。

Q2 今回のテーマは「カラフル」ですが、あなたは何色ですか?
水色です。店名の「ひなたぼっこ」からも繋るんですが、太陽が出て晴れた青空がイメージできる好きな色なんです。

Q3 今回はどんな作品をご用意してくれていますか? また「カラフル」というテーマに合わせた作品、演出などがあれば教えてください。
「モンブラン」や「キャラメルソースとナッツ」などを使ったパンケーキと自家製ジャムのソーダをお出しします。これらに加えて土曜日はキッシュもお持ちしようと思っています。

Q4 ご来場くださる皆さんにメッセージをお願いします!

さて、続いてご紹介するのは、子どもを夢中にさせるワークショップを行なってくれるあの方です!

文●尾崎博一

平澤まりこと桑原奈津子「方舟クッキー」(19日)

「ふたりだからできるんだよね」

全国から、そして海外から珠玉の作り手が集うもみじ市。“もみじ市だからこそ”実現するお楽しみがある。それは、2日間限りのコラボレーション。陶芸家とグラフィックデザイナー、料理家と雑貨作家……、ジャンルの枠を超え、素晴らしき作り手がタッグを組む姿を目撃できるのは、もみじ市ならではの楽しみだ。そして、このおふたりがコラボしてくださるのは、まさにもみじ市ならではの贅沢だ。第1回目のもみじ市から参加して下さっているイラストレーターの平澤まりこさんと料理研究家の桑原奈津子さん。 

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いまでこそ多くの方に足を運んでもらえるようになったもみじ市だが、2006年に行われた第1回目は、今と比べれば小さな規模だった。そんななかで、ひときわ人だかりが出来ていたのが、平澤さんと桑原さんのお店だった。 

平澤まりこさんは、雑誌、書籍、広告など、さまざまな媒体をフィールドに活躍するイラストレーター。最近では、コーヒー飲料「LUANA」のビジュアル全般を手掛けられたのが強く印象に残っている。商品はもちろん、CMやポスターを目にしたことがある方も多いのではないだろうか。

平澤さんが描く人物や風景、暮らしの道具、旅先での一コマは、どれもすっと一本軸が通った、意志のある線で描かれる。すっと伸びた首に高い鼻、背筋がピンとした女性……、これは平澤さんが描く女性だが、“彼女”はまさにその意志を受け継いだようで、時には気高く、時には軽やかに、平澤さんが生み出す世界を動き回る。『京都ご案内手帖』『1ヶ月のパリジェンヌ』『ギャラリーへ行く日』など、多くの“旅の本”も著している平澤さんは、丁寧緻密な取材で文章を綴る良質の書き手でもある。平澤さんのお店を選ぶ視点、街を見つめる視線は、彼女の本を手に取る多くの人を、豊かな旅へと導いたのではないだろうか。

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桑原奈津子さんは料理研究家。大手製粉会社の食品開発室において、製菓・製パンメーカーのための試作・商品化の仕事に携わった後は加工でん粉メーカーにおいて研究職に従事。あくなき粉への探求心が彼女をいまのポジションへと導いた。手紙社のメンバーが彼女を評して言う「粉に愛された料理研究家」というキャッチフレーズは、あながちオーバーではないのだ。

『お砂糖レッスン』『やさいお菓子・くだものお菓子』『ピクニックの楽しい時間』など数多くの著書を持つ桑原さん。最新作『パンといっぴき』は、桑原さんと愛犬キップルの朝食を、来る日も来る日も定点観測的に記録した1冊。レシピはもちろんのこと、写真も、テーブルスタイリングはすべて桑原さんが手掛けている。レシピブックでもあり、写真集でもあり、エッセイでもあるこの本は、桑原奈津子という作り手の才能が集約されていると思う。自身の愛犬を主人公にしたこの本。普通につくれば、“愛情てんこ盛り本”になってしまいそうなものだが、そこは桑原さん、絶妙な距離を保ちつつ、不特定の人が見ても楽しめるよう、バランスをとっている。写真とスタイリングも、もちろん良い。決して押し付けがましいわけではないけれど、“魅せる力”が素晴らしいのだ。

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異なるジャンルで、しかしそれぞれ第一線で活躍している平澤さんと桑原さんがはじめてタッグを組んだのは2007年4月に行われた花市のとき(もみじ市は2008年まで、秋はもみじ市、春は花市の名称で年に2回開催されていた)。きっかけは、第1回のもみじ市。出店場所が、隣同士だったことが、物語の始まり。

「開場したらあっという間になっちゃん(桑原さん)のところにお客さんが来たんだよね。ひとりであまりにも大変そうで、気付いたら袋詰めとか手伝ってました(笑)」

と当時を振り返って話してくれた平澤さん。

「ひとりで心細かったので、とても嬉しかったです」

と桑原さん。7年前のことを振り返り、楽しそうに話すおふたりは、とても仲が良い。だけど、なんというのだろう、ただ仲が良いだけではなく、お互いがお互いを尊敬しあっているのが言葉の端々から伝わってくる。

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話を戻そう。2007年4月の花市ではじめてコラボしたふたりが用意してくれたのは、フォーチュンクッキーならぬ”haru no hitokoto cookie”。 桑原さんの作ったクッキーの中に、平澤さんが、メッセージを書いた紙片(もちろん、イラスト付き!)を入れたスペシャルクッキー。

「作業が細かくて大変だった覚えもあるけど、やっぱりふたりというのが心強かったです」

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あれから6年。もみじ市で、久しぶりにふたりのコラボレーションが実現する。ふたりが今回のために用意してくれるのは「方舟クッキー」。平澤さんが作る方舟に見立てた箱に、桑原さんがカラフルな人や動物のクッキーを作り、ぎゅぎゅっと詰め込む予定とのこと。

「今年はどうしようかと話していくなかで、わりあいスムーズに“箱”というキーワードが出てきたんです。箱っていいよね、と盛り上がって。箱の中にお菓子を入れて、それをたくさん並べたら、見た目にも”カラフル”になるんじゃないかな、と考えました」

方舟のアイディアはどこから?

「普通に箱を作るのではつまらないなと。美味しいお菓子はもちろん、“希望”を詰め込みたいな、と思いました。それには方舟というイメージがぴったりでした。人それぞれ抱えているものはあるだろうけど、これを手にしてくれた人たちに、ささやかかもしれないけど、幸せを届けられたらな、と思います」

それぞれお忙しく活躍されている平澤さんと桑原さん。もみじ市のために打ち合わせを重ねるだけでも簡単なことではないと思うのだが、それでも参加し続けてくれているのはなぜだろう? 平澤さんは言う。

「もみじ市に来てくれるお客さんは、なんだかみんなキラキラしているんです。ここでしか味わえない出会いがあるのがもみじ市の魅力じゃないかな」

続いて、桑原さんが静かに。

「普段はひとりでお菓子を作っていることもあって、たくさんの方と話せるもみじ市は楽しいです。大変だけど、楽しい」

2006年のもみじ市の会場でぐっと距離を縮めたふたり。会場の「森のテラス」の小さな泉を出航した小さな方舟は、平澤まりこと桑原奈津子を乗せて、7年後、多摩川までやって来ました。気づけばその船には、ふたりのほかにもうひとり、誰かが乗っています。乗客の名は、「希望」。ふたりと希望を乗せた方舟が、多摩川河川敷に寄港するのは10月19日(土)だけ。みなさまどうか、乗り遅れないよう。

【平澤まりこさん 桑原奈津子さんに聞きました】
Q1 もみじ市に来てくれるお客様に向けて自己紹介をお願いします。
イラストレーターの平澤まりこと、料理研究家の桑原奈津子です。

Q2 今回のテーマは「カラフル」ですが、あなたは何色ですか?
ピーコックブルー(平澤)

水色(桑原)

Q3 今回はどんな作品をご用意してくれていますか? また「カラフル」というテーマに合わせた作品、演出などがあれば教えてください。
地球上のみんなが仲よく、よい方向に向かいますように!という願いをこめて平澤まりこが方舟に見立てた箱を、桑原奈津子がそこに乗りこむ動物たちをクッキーで表現します。

私たちはそれぞれ色とりどり。カラフルな人や動物をとびきりハッピーな箱に乗せてみなさんにお届けしたいと思います。

Q4 ご来場くださる皆さんにメッセージをお願いします!

さて、続いてご紹介するのは、岐阜県多治見市から初参加のあの店です!

文●市川史織

【もみじ市 第2会場「愉快なものづくりカンパニーマーケット」出店者情報その1】

今年のもみじ市はなんと、2つの会場で開催されます。第1会場となる多摩川河川敷では個人のつくり手が中心となった出店ブースが並びますが、第1会場から5分ほど歩いた場所にある第2会場・東京オーヴァル京王閣では「愉快なものづくりカンパニーマーケット」と題して、手紙社(もみじ市実行委員会の運営母体)がいつも何かとお世話になっている、かつ、私たちが心惹かれるものづくりを行っている企業が出店くださいます。印刷・染色・漆喰・紙・競輪、さまざまな業界のものづくりカンパニーが集い、普段の生活ではなかなか体験できないワークショップやものづくり精神が宿った商品の展示・販売が行われます。ケータリングカーでおいしいフードを提供してくれるお店も登場しますよ。

本日は、4組の出店者をご紹介しましょう。ワークショップ情報などチェックして、第1会場とあわせて当日はお楽しみ下さいね!

●proto(egg)product project × 奥田染工場「秋の焼きたてパン祭りファイナル~あの夏を忘れない~」

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食パンをモチーフにしたTシャツやパジャマ、バッグなどのアイテムを“焼いて”きたデザイナー・大小さん率いるプロジェクト「proto(egg)product project」と若手デザイナーやブランドと積極的に協力して新しい布を生み出す染色工場「奥田染工場」によるワークショップが開催されます。お好みのジャムをのせたオリジナルバッグがつくれるなんて、パン好きにはたまらない企画。ぜひお見逃しなく!

<proto(egg)product project × 奥田染工場 ワークショップ「秋の焼きたてパン祭りファイナル~あの夏を忘れない~」のご案内>

パンの柄をプリントしたキャンバスバッグにジャムインクを塗り、自分だけのバッグを作ることができるワークショップです。お申し込みは当日、会場での受付となります。

開催日時:
10月19日・20日
①11:30〜12:30
②12:30〜13:30
③13:30〜14:30
④14:30〜15:30

定員:各回30名
参加費:¥3,500(オリジナルバッジ付き)
お申し込み方法:当日会場でのお申し込みとなります。

【proto(egg)product projectさんに聞きました】
Q1 もみじ市に来てくれるお客様に向けて自己紹介をお願いします。
今回テーマは「BREAD FAST CLUB」(通称、パン部)と題しまして食パンをモチーフにしたアイテムがたくさん登場します。パン派の人もゴハン派の人もたくさん見にきていただけると嬉しいです。今回はプリントにやたら詳しい八王子在住のパン好きの奥田さんにもご協力いただきスペシャルな焼きたてプリントパンTシャツを会場でたくさん焼きます!

Q2 今回はどのような商品やワークショップをご用意してくれますか? また「カラフル」というテーマに合わせた商品、演出などがあれば教えてください。
ぼくらの最後のパン部です。物作りは、必ずいろいろな人が関わって作っています。パン部最初で最後、僕らはみんなで焼きたてパンを届けます。今回はもみじ市の「カラフル」のテーマに合わせて初登場のカラーパンTシャツがいくつも、突拍子もなく登場します。ワークショップはキャンバスのバッグにバターナイフでジャムインクを塗り自分だけのバッグが作れるワークショップです。パンにジャムを塗ったことがある人なら簡単にできるワークショップなので是非ご参加下さい!

Q3 ご来場くださる皆さんにメッセージをお願いします!
今回のもみじ市でパン部は一旦お終いになるので、皆様お誘い合わせの上ご参加お待ちしております。

奥田染工場
http://www.okudaprint.com/

proto(egg)product project
https://twitter.com/taisyouking

●福永紙工「工場直送店」

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“紙”を加工するおもしろさをとことん追求する唯一無二の企業「福永紙工」。トラフ建築設計事務所と製作した「空気の器」シリーズや、建築家・デザイナーの寺田尚樹氏と立ち上げたブランド・テラダモケイによる「1/100建築模型用添景セットシリーズ」をご覧になったことある方も多いのではないでしょうか。紙から生まれるユニークなアイテムは、大人から子どもまでをも魅了してくれます。紙の楽しみ方をぜひ体験しに来てください。

【福永紙工さんに聞きました】
Q1 もみじ市に来てくれるお客様に向けて自己紹介をお願いします。
今年50周年を迎えた「福永紙工」は、立川市にある小さな工場。紙に印刷して加工する仕事をこつこつと続けています。

2006年からデザイナーと取り組んでいる「かみの工作所」は、紙を加工する楽しさを提案するプロジェクト。2011年には、そこから「テラダモケイ」というブランドも立ち上がり、2013年には、アーティストの鈴木康広さんとの取り組みもはじまりました。

この秋には、PAPER GAMEシリーズも発表し、紙ではじまるコミュニケーションを提供しています。今回の展示・販売では、立川の小さな工場から直売するユニークな紙製品を、地元多摩エリアの方々に楽しんでもらう機会になれば幸いです。

Q2 今回はどのような商品やワークショップをご用意してくれていますか? また「カラフル」というテーマに合わせた商品、演出などがあれば教えてください。
かみの工作所やテラダモケイ、鈴木康広×福永紙工という3ブランドの製品をご用意します。いろんな色・種類の製品がありますので、足をお運び頂ければ嬉しいです。

Q3 ご来場くださる皆さんにメッセージをお願いします!
紙の楽しさをお届けします。お待ちしております!

福永紙工
東京都立川市錦町6丁目10番4
tel.042-526-9215
http://www.kaminokousakujo.jp/

●Novel Cell Poem「トイミュージックを楽しもう!」(20日)

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音楽にまつわるワークショップを開いてくださるのは、トイミュージック・チルドレンミュージック専門の音楽制作会社「Novel Cell Poem」。音楽家・良原リエさんによる親子でも楽しめる楽器作りや、ぬいぐるみ作家・miouさんによる音の出るぬいぐるみづくりのワークショップ、トイミュージックのCDやおもちゃ楽器の販売が行われます。カラフルな音色に満たされたブースでお待ちしております。

<ワークショップ① miou「音の出るお人形作り・レコーディングドール作り」>

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人型のカラフルなぬいぐるみをベースにして、リサイクル布・毛糸・ビーズ・ボタンなど、たくさんの材料を使ってお好みの人形にカスタマイズしていただきます。切る、結ぶ、くっつける。簡単な作業で作ることができます。小さなお子様の場合、大人の方の積極的なお手伝いが必要かもしれません。親子一緒でも楽しんでいただけます。

開催日時:10月20日(日)10:30〜13:00
講師:miou
定員:30名
参加費:音の出るお人形 500円/レコーディングドール 1,200円(材料費込み)
お申し込み方法:件名を「miou ワークショップ申し込み」とし、ご希望の日時、人数、お名前、お電話番号、メールアドレスを明記の上、【workshop04@momijiichi.com】へメールでご連絡ください。
所要時間:20分〜1時間

*ご予約は10:30からの回、6名様のみ受付いたします。その後は席が空き次第随時受付とさせて頂きます

講師プロフィール:
miou
http://mioupeluche.jugem.jp/?cid=7

オリジナル人形カスタマイズワークショップを日本各地・フランス・ドイツ・デンマーク・台湾等で行う。また国内外のアーティスト達とのコラボレートによる、音や光をぬいぐるみを組み合わせた様々な作品を制作。様々なジャンルのアーティスト達とのコラボレートぬいぐるみを製作し、展覧会・イベントを多数企画。

<ワークショップ② 良原リエ「親子で楽しめるキッチンにあるもので作るカラフルな手作り楽器と楽しい合奏♪」>

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色とりどりのお豆やかわいい形のパスタなど、台所にはちょっとの工夫で楽器になるものがいっぱい。身近な素材を使ってシェイカーやマラカスを作ります。楽器ができあがったら実際に使って、皆で音をならして合奏を楽しみましょう。合奏は手作り楽器の他にもトイ楽器を使用してそれぞれの演奏レベルに合わせて役割をお願いしますので、楽器を演奏したくてたまらない方から「音楽なんて全くダメダメ!」という方までどなたでも大歓迎です。参加を心からお待ちしています!

開催日時:10月20日(日)13:30〜14:30
講師:良原リエ
定員:  親子10組(事前予約制)
参加費:1組1,500円
お申し込み方法:件名を「良原リエ ワークショップ申し込み」とし、ご希望の日時、人数、お名前、お電話番号、メールアドレスを明記の上、【workshop05@momijiichi.com】へメールでご連絡ください。
所要時間:40分〜1時間

対象年齢:生後6ヶ月から小学生まで(自分では難しいお子さまは親御さまに作って頂きます。赤ちゃんでも使える楽器なので、合奏はお楽しみ頂けると思います。ただし、赤ちゃん用の椅子はありませんので、膝の上に乗せてのご参加となります。高学年のお子さまはお一人での参加も可能です。その場合も料金は変わりませんのでご了承ください)

講師プロフィール:
良原リエ
http://tricolife.com/

音楽家。アコーディオンやトイピアノの鍵盤奏者。古いアコーディオン、トイピアノ、オルガンやトイ楽器を多数収集し、演奏する。国内外での自身のCDリリース、「空気公団」「World’s end girlfriend」などの他アーティストライブやレコーディング、TV、映画などのレコーディング、子供番組、CM音楽などのアレンジ、プロデュースなどに数多くのジャンルで関わる。また音楽のみならず、料理、庭など暮らしまわりに関する文筆、スタイリングなども手掛け、ライフスタイルのすべてを盛り込んだ独自の活動を楽しく展開。著書に『音楽家の台所』『こころとからだのためのきれいごはん』(共にコノハナブックス)がある。

【Novel Cell Poemさんに聞きました】
Q1 もみじ市に来てくれるお客様に向けて自己紹介をお願いします。
今年で設立15周年となるトイミュージック・チルドレンミュージック専門の音楽制作会社です。

CMやアニメーションなどの音楽制作、アパレルやインテリアブランドの年間音楽を担当するほか、玩具楽器を使用して演奏する国内外のアーティストのアルバムや、フランスの子供のジャズユニット「レ・プティ・ルー・デュ・ジャズ」などのアルバム作品をリリースするレーベルを運営。CDや楽譜、玩具楽器の卸販売も行っています。

Q2 今回はどのような商品やワークショップをご用意してくれますか? また「カラフル」というテーマに合わせた商品、演出などがあれば教えてください。
ノーベルセルポエムブースでは1人でも親子でも楽しめる楽器作りや合奏のワークショップの他、トイミュージックのCDやおもちゃ楽器の販売を行います。

今年のテーマは「カラフル」ということで、皆で一緒にカラフルな楽器作りを楽しみましょう♪ ワークショップは、「音の出るお人形作り」「レコーディングドール作り」「親子で楽しめる、キッチンにあるもので作るカラフルな手作り楽器と楽しい合奏」を開催します。

Q3 ご来場くださる皆さんにメッセージをお願いします!
トイピアノやおもちゃ楽器の試奏も出来ますのでワークショップに参加されない方も、お気軽にのぞきにいらしてください!

Novel Cell Poem
東京都渋谷区神宮前5-17-15サンバレイ原宿203
tel.03-6427-4753
http://www.novelcellpoem.com/info.html

●PIZZA FORNO 「薪窯移動ピッツァ」(20日)
第2会場でお腹が空いてもう歩けない、という皆さん。第2会場にもおいしいフードを提供してくれる出店者さんがいますよ。「PIZZA FORNO」はケータリングカーに石窯を乗せて移動するピザ屋さん。歩きつかれたら、香ばしく焼き上がった熱々のピザを味わってひと休みしてくださいね。

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【PIZZA FORNO 近藤さんに聞きました】
Q1 もみじ市に来てくれるお客様に向けて自己紹介をお願いします。
千葉県を中心に、薪窯ピッツァの移動販売をしています「PIZZA FORNO」です。

Q2 今回はどのような商品やワークショップをご用意してくれますか? また「カラフル」というテーマに合わせた商品、演出などがあれば教えてください。
当日は、車に積んだ石窯で焼きたてアツアツのピッツァをご提供したいと思います! 目印は赤い車とオレンジの炎! カラフル!

Q3 ご来場くださる皆さんにメッセージをお願いします!
初めてもみじ市に参加させていただきます。一枚一枚、心を込めてピッツァを焼き上げてます。皆様のご来店をお待ちしております。

PIZZA FORNO
tel.080-6641-1757
http://www.pizzaforno.jp/

mikumari「色とりどりミクマリサラダ、カラフル果実酒」

顔を見た瞬間、お互い「あ! あの時の!」とピンときた。

彼との出会いは今から2年前の「カフェ & ミュージックフェスティバル」の打ち上げ。ひときわ盛り上がっている輪の中心にいたのがmikumariの高橋尚邦さんだった。ウイットに富んだダジャレを自信満々で言っていたのをよく覚えている(笑)。なぜだかツボにはまって、とても楽しかった。その時は「栃木県でカフェをやっています!」ぐらいのご挨拶だったので、mikumariの方だとは知らなかった。また、会えたらいいな、と思っていた。

あれから2年。栃木県にも野菜にも縁があったので、mikumariさんの担当に手を挙げさせていただいた。そう、あの時の人がmikumariの高橋さんだとは知らずに。ブログ用の取材をするにあたって色々と調べていくと、高橋さんのブログにたどり着いた。とっても詩的で、繊細で、でも男らしく、メッセージ性の強い文章。高橋さんは照れるかもしれないが、一説をご紹介させていただきたい。

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「想いを、込める」

いつもお店に来てくれる人達は、何を思って来てくれているのだろう。
人によって、思いや考えは様々だから、どんなに考えたって、きっと解らない。
だから今日も悩み続ける訳だけど、1つだけ解っている事がある。
「想いを込める」ことだ。
それをする事で、答えが解るわけではないけれど、今できる事はそれしかない。
いや、多分この先もそれしかないと思う。
だから今日も、想いを、込める。
ただ、それだけだ。 

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どんな人なんだろう。きっと思慮深く、もの静かで繊細な方なんだろう、と想像していた。で、冒頭の再会。偶然の担当と、再会の喜びと、ブログとのギャップで驚いた。あのブログの筆者が、あの時ダジャレを連発していた愉快な方だったなんて! でも、一瞬で場の空気はあたたかくなった。ご縁があったんだなと嬉しくなった。

mikumariは栃木県の芳賀町にある人気のカフェである。その料理と空気、そして高橋さんに魅せられて、県外からもお客さんが集まる。今年でオープンして7年になるという。元々は自宅として利用していた建物を高橋さん自らが改装し、お店に仕上げた。だからなのかお店のために作られた、作為的な感じがしない。とはいえ、生活臭とは違う、自然な佇まい。

「カフェとレストランの違いって何だと思いますか? 僕はね、レストランはお料理を食べさせる場所。カフェはライフスタイルを提案する場所だと思うんです」

その言葉の通り、お店には書斎もある。2階のロフトにはベッドも置いてある。所々に旅のエッセンスを感じる。恐らくここの住人は旅好きなのだろうと想像させられる。こんな暮らしができたらいいな。高橋さんの罠にまんまとはまった。

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高橋さんはお店をされる前はカフェ、ギャラリー、ショップを展開する益子にある人気店「starnet」で料理長を務めていた経歴を持つ。お子さんが生まれて自宅にいる必要ができて、自分でお店を開店することになったのだとか。mikumariといえば野菜、と言われるほどになったそもそものきっかけは、ある農家さんとの出会いだという。益子で30年以上農薬を使わず、有機肥料を使った栽培をしている山崎さんだ。

「山崎さんのところへ行った時に、玉ねぎを囲炉裏の火に突っ込んで焼いて、オリーブオイルと塩を掛けて食べさせてくれたんです。その味に衝撃を受けました。畑も見せてもらったんですけど、お花畑みたいでした」

mikumariの看板メニューであるプレートは、肉料理などの一般的にメインと呼ばれる料理の横に、野菜がもりっと盛られていて、まるで畑を再現したような一皿だ。その季節に、栃木で採れる新鮮な野菜を本当にたっぷりと使っている。明らかにこのお皿では野菜がメインだ。野菜は地元栃木県の安全に栽培をしている農家さんたちから仕入れている。

いい素材はそのまま食べるのが一番いい。こんな話をよく耳にする。確かに一理ある。でも、高橋さんの料理を食べて、ちょっと違うなと思った。過度に手を加えることはないけれど、適切にすることで確実に味はよくなる。サラダは特にシンプルなものだけれども、ひとつひとつの野菜にきっちりと仕事がされていた。大地の香りを感じるようなフレッシュなリーフ、じっくりローストされた玉ねぎにトマト、チーズとブラックペッパーが添えられた根菜。私はじっくりローストされたトマトの濃厚で甘酸っぱい味が忘れられない。ああ、この人は野菜を美味しく食べてもらおうとしているな、野菜の味を、良さを最大限に引き出しているなと思った。高橋さんの想いが込められた、いいお皿だった。

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もみじ市にも高橋さんは栃木の野菜をいっぱい積んでやってくる。栃木の野菜は、この農家さんの作る野菜はこんなに美味しいんだよって、伝えるために。看板メニューのミクマリサラダ、そしてシチューや栃木県のお酒と果実を使った果実酒などを用意してくれているそうだ。あの河川敷で食べるミクマリサラダは格別なんだろうな。19日(土)のみの出店ということが残念でならない。でも、それも高橋さんの「想いを、込める」ということだろうから、納得してしまうのだ。

【mikumari高橋さんに聞きました】
Q1 もみじ市に来てくれるお客様に向けて自己紹介をお願いします。
栃木県芳賀町で地元の野菜をふんだんに使った料理を、目の前に広がる田園風景、裏の山からは鳥たちのさえずりが聞こえる中、季節とともに味わえるカフェを営んでいます。

Q2 今回のテーマは「カラフル」ですが、あなたは何色ですか?
mikumariは水を分け与える場所というのを意味していますので、水色です。

Q3 今回はどんな作品をご用意してくれていますか? また「カラフル」というテーマに合わせた作品、演出などがあれば教えてください。
ミクマリサラダを持って行こうかなと思っています。野菜がとてもカラフルです。カラフルな帽子を被っていこうかなと思っています!

Q4 ご来場くださる皆さんにメッセージをお願いします!

さて、続いてご紹介するのは、料理家とイラストレーターの仲良し二人組。どんな美味しい組み合わせをご用意してくれるのでしょうか。

文●竹内省二